ロカ(と知人)の日常

美少女ゲームの批評、創作等

『乙女理論とその周辺』総括批評

《100点》

 

私は本当に悔しい!大変に気分が悪い!

何故か?発売から十年以上経ったのに『乙女理論とその周辺』における”脚本家の美しさ”に誰一人として気付かない事が。この作品は紛う事無き傑作であるのに!人生レベルで執着する程に私は悔しいから、購入者の一人としてこうして批評する事で皆に気付かせることに決めた。

 

 

(以下、ネタバレ有りです。ご注意ください)

 

点数を付けるなら文句なしの百点。私は脚本以外の審美眼に欠けるので、基本的には脚本だけの評価である。

 

誰も気がつかない美しさ…という事は私が気付いたのは即ち「新しい美」であると思われます。

新しい美を説明するには、どうしても文字数が多くなるがご容赦願いたい(結果、総文字数約1.8万字)。

批評の流れとしては、上から順に

 

一、結論(脚本家の美しさとは何か?)

二、キーとなる登場人物と小説

三、乙りろは『赤と黒』のオマージュである

四、本作における『リリアーヌ』『赤と黒』の重要性

五、リリアーヌとマチルド…リリアは乙りろ第4のメインヒロイン

六、意図的に隠された背景・脚本家の配慮と建前・私見

七、本音…脚本家はこんなシナリオを執筆したかったはず

八、総括…何故私はこのような見方をしたのか等

九、リリアーヌ√を殺したのは誰か

十、終わりに(私の美意識と余談)

 

…という流れです。文末表現が全く安定しませんが、その手直しはもう諦めました。よろしくお願いします(なおこの批評は、シナリオガチ勢向けの文章です)。

 

 

一、結論

 

では早速結論から述べましょう。

私が言う脚本家の美しさとは何か?

それは

 

【購入者の方々に乙りろを楽しんで頂けるようにする】

 

である。

 

『そんなの当たり前じゃん!』『こっちはりそな√を楽しみにして買ったんだから!』

そう思われて然るべきかと。何故ならエロゲは商業作品であり、一作品でも不評を買ったり売れなかったりしたら会社自体が倒産するかもしれないからだ(エロゲ業界自体が斜陽だから尚更)。

 

「お客様に作品を楽しんで頂けるように制作する」

 

至極当たり前な事である。

 

だが、脚本を詳しく調べていくうちに、私は本作の脚本全編を担当された東ノ助氏(以下、氏)にはその点で大いなる葛藤があったのではないかと結論付けた。

 

その葛藤とは、

「《氏が書きたいと思う楽しさ(面白さ)》と、《お客様が求める楽しさ(面白さ)》との乖離をどう受け止めるか」である。

 

勿論、脚本家が思う面白さとお客様が求める面白さが同じである事が理想ではある。

 

だが大抵の場合、面白さというのは必ずしも一致しない事を脚本家は嫌でも自覚させられる。脚本家自身が面白いと思うシナリオ構成が、社内会議であっけなく没にされる。その時に、全ての責任を背負う覚悟で意地でも主張を通すか(これはエロゲメーカーの中ではほぼないと思われる…社長でありライターでもある某有名企業以外は…)、上手く折り合いを付けるか、それとも完全に捨てるか…

 

「わたし(氏)は本当ならこんなシナリオを書きたい。けどお客様はそれを望んでなどいない…」

 

私は本作において、その葛藤が顕著に出ていたと感じました。

 

ちなみに、「こんなシナリオを書きたかった」のこんなとはズバリ…

 

”リリアーヌ√”です。

 

 

 

二、キーとなる登場人物と小説

 

では、どの部分を見てそう感じたか。

そこでキーとなるのが以下の登場人物と小説である。

それは

 

・『リリアーヌ』(乙りろのサブキャラ)

・『赤と黒』(スタンダール作の小説。作者はフランス産まれ)

 

である。リリアーヌ√と書いているのでまあ当然彼女はキーとなってきます。

 

 

さて、リリアーヌと言えば作中では

 

カーストを作って自分の手を汚さずにりそなをいじめる。りそなが触っただけで飼い犬を処分。金でクラスメートを買収し、田舎者であるメリルの衣装を従者に処分するよう指示し実行させる。りそなが必要な糸を買い占める …》

 

という、本作において悪役的ポジションのサブキャラである。とは言え、例の覚醒位は覚えている人も多いのではないか。

 

そしてもう一つの小説であるが…

読者の方々は、(作中)一月上旬に行われたデザインコンペにて、リリアーヌが描いたデザインを覚えているだろうか?そして、そのデザインのモチーフを覚えているだろうか?

 

恐らく誰も覚えてなどいないだろう。何せ『赤と黒』について購入者の誰一人として自身の感想に入れていないのだから。

 

 

以下、乙りろからの引用

 

《リリアーヌ》「『赤と黒』に登場するマチルドをイメージした『愛』です」

《リリアーヌ》「彼女の愛は苛烈かつ純情であったと私は思います。私はまだ初恋を知りませんが、だからこそまだ知らぬ恋に憧れる余地はあると思います」

 

そう。『赤と黒』という小説は、リリアーヌのデザインのイメージに用いられているのだ。

 

 

では、この『赤と黒』という小説は一体何なのか。

 

実在の事件が元になったこの小説。舞台は、ナポレオン・ボナパルトによる帝政が崩壊し、ブルボン朝王政復古の時代になった1800年代初頭のフランス。

 

この小説には多数の人物が登場するが、その中でも注目して欲しいのが以下の三名である。

 

・ジュリアン(主人公、貧しい製材屋の末息子で野心家、レーナル夫人・マチルドと関係を持つ)

・レーナル夫人(当時家庭教師だった主人公と不倫関係)

・マチルド(ラ・モーヌ公爵家令嬢、召使いとなった主人公を見下す)

 

物語のあらすじは、超ざっくりと説明するなら

「貧しい家庭に産まれたジュリアンという青年が、町長の妻であるレーナル夫人、そして公爵家令嬢のマチルドとの恋路を描いた物語」

 

という不倫系恋愛小説です。当時のフランス史も物語に反映されていますので面白いですよ。詳しいあらすじに関しては是非ウィキペディア等をご覧下さい。

 

以上、サブキャラであるリリアーヌと、小説『赤と黒』が本批評の鍵となります。

 

ここからは、これら一人の人物と小説が本作でどのような役割を果たしたのか、私と共に見ていきましょう。

 

 

注)以下、必要に応じてスタンダール作『赤と黒』(この小説は「上」と「下」の二つある)を引用する。この小説の日本語訳は現時点で三つある。今回は1957年に新潮文庫から発売された小林正訳を採用する。

 

 

 

 

三、乙りろは『赤と黒』のオマージュである

 

結論から述べると、「『乙りろ』(一部『つり乙』も)は『赤と黒』のオマージュ」だと思われる。リリアーヌのデザインのモチーフに用いられたのは無論、フランスを舞台に物語が展開されていくのは両作品とも同じである。だがそれ以外にもあるのだ。

 

以下、乙りろとつり乙が、『赤と黒』から影響を受けたのではないかと思われる点を挙げる。

 

1,リリアーヌ・遊星・りそな・(エッテとメリル)のキャラ設定

2,リリアーヌの口癖である「真心を込めて」

3,リリアーヌの日本嫌い

4,リンデやヴァレリアの国籍

5,遊星と屋根裏部屋

6,遊星は愛人の子である

7,大蔵家のお家騒動

 

見ての通り七つと非常に多い。以下、三の文章はこれら7つの点について詳しく見ていく。文量が多くなるので興味が無ければ読み飛ばして四の文章を読んで貰って構わない。つまるところ、私が読み取れるだけでもこれだけの影響を受けたのではないかという事なので。

 

 

1,リリアーヌ・りそな・遊星(・メリルとエッテ)のキャラ設定

 

赤と黒』は乙りろのキャラ設定にも多分に影響を与えていると思われる。以下、三人のキャラ設定において参考にしたであろうキャラを掲載する(矢印の左側は『乙りろ』、右側は『赤と黒』)。

 

・リリアーヌ → マチルド

・大蔵りそな → レーナル夫人

・遊星(朝日)→ ジュリアン

 

リリアーヌはマチルドで確定だろう。彼女自身がデザインのモチーフとしてマチルドを使っている事や二人の身分が似ている事からも明らかだ。また性格も似ていて、マチルドは傲慢で自分よりも下の人を見下す性格である。リリアーヌは…言うまでもない。

 

では、りそなと遊星はどうだろう。

 

赤と黒』においてレナール夫人は、ジュリアンと不倫関係でこれは”禁じられた恋”と言えるでしょう。

 

一方りそなは、遊星とは不倫関係ではない。

だが、二人の恋は”禁じられた恋(近親恋愛)”である。

 

それは、遊星自身もりそな√にて

 

《遊星》「(私とりそなが付き合う事について)大変な不義をお詫びいたします。世間的に認められてないことも理解しています」

 

と言っている事からも、不倫と同等にタブーだという認識で間違いない。性別も合っているし(レーナル夫人は女、ジュリアンは男である。りそなは女、遊星も男である、朝日は…)おおよそ、参考にしたのではないか。

 

ちなみにジュリアンは、元はナポレオンにあこがれて軍人志望でした。ですが復古王政により階級社会となり、彼は出世するために聖職者を志します。

 

遊星も以前酒蔵で戦っていましたよね?(つり乙参照)その時に助けてくれたのがジャンです。

そして今ではジャンにあこがれて服飾の道に進むため、女装して身分を偽っているのです。自分自身の夢のために。

 

そこからも遊星がジュリアンではないのかと思った次第です。

 

 

ちなみに、上記三名以外だと、(確証は持てないが)メリルとエッテのキャラ設定も本小説を参考にしているものだと思われる。

 

それは『赤と黒(上)』105頁、第十二章 旅行 から窺い知れる。

作者はまず、”シエース”(作者の生きた時代と同じ頃の仏出身)の一文を引用して第十二章の物語をスタートするのだが、その一文が興味深い。

 

『パリには伊達者がいるが、田舎には気骨のある人間がいるかもしれない。』

 

 

『パリには伊達者がいる』

伊達者とは、「人目につく、しゃれた身なりの人。特に、いきでおしゃれな男性(デジタル大辞泉)」と書かれてある。

 

”伊達者”という言葉は男性に用いられるのだが、私には『パリには伊達者がいる』の文章が何となくエッテっぽいなと感じた。パリ在住だし、身なりもおしゃれ(あくまで個人的感想です)だし、メリルに対しての態度は粋だなと感じるし(彼女のために服飾専攻にしたところとか)。

 

…少し私の考えすぎだろうか。

 

あるいは単にアンソニーかもしれない。あの男はまさに伊達者っぽいし…そこはよく分かりません。

 

一方で

 

『田舎には気骨のある人間がいるかもしれない』

 

私がパッと思いついたのは、田舎のサヴォア出身であるメリルである。メリルも充分に気骨のある人間と言えるのではないか。

 

何せ、りそな√にてショーで慌てるリリアーヌに対して

 

《メリル》「私、本当のことを言えば、最初に見た時から不思議でした。どうしてリリアーヌ様のデザインで最優秀賞を取ることができたんだろうって」

《メリル》「賞を取りつづけてきたのは、華花さんが苦しんで、型紙と縫製の力で良い衣装を仕上げていたんです。あの人は天才です。あなたにとって、華花さんは生命線だったんです」

 

と彼女に言い放ちますからね。従者身分で。この言葉が言えるのは余程気骨のある人間じゃないと無理ですよ。

 

その他のキャラは…分かりませんね。部分的には参考にしたんだなと思うキャラもいるにはいますが…この批評で触れる事は控えましょう。

 

 

2,リリアーヌの口癖である「真心を込めて」

 

「真心を込めて」という彼女の口癖は読者の方々も記憶に残っていると思う。その口癖というのも、実は『赤と黒』に頻出する言葉である。

 

一例を挙げるならば…(『赤と黒(上)』266頁)

 

『《(中略)その天職と称するものが永続的かどうか?真心から出たものかどうか》「真心から出た、か!」と、ピラール神父は、びっくりした顔つきでジュリアンを見つめながら、繰り返して言った。(中略)「真心から出た、か!」低い声でくり返しながら、また先を読みつづけた』

 

他にも『真心』という言葉は随所に書かれている。脚本家の印象にも強く残ったのだろう。

 

 

3,リリアーヌの日本嫌い

 

リリアーヌは、幼少期の真心事件により日本が特に嫌いである。

 

これにも理由はあると思われる。

それは『赤と黒』の小説に出てくるこの一文ある。

 

「マチルドはこの青い(日本製の)花瓶をことのほか汚らしいと思っていたので、こわれたのを見て内心大いに喜びながら、母親の動作を見守っていた(『赤と黒(下)』第二十章 日本製の花瓶 236頁)」

 

この文章を参考にしたに違いない。

 

従者の華花が日本人ではなく中国人なのは恐らくそのためだろう。日本人は嫌だけど中国人なら仕方ない…って感じかと。欧州の人から見れば、日本人も中国人も同じに見えると思うし、中国は日本と同じくアジア有数の国だから。…こんなこと言ったら右に怒られるのかも(苦笑)

 

 

4,リンデとヴァレリアの国籍

 

作中における二人の国籍は

 

・リンデ   → ドイツ…①

・ヴァレリア → ロシア…②

 

である。では何故国籍がドイツとロシアなのか。

 

①の理由

赤と黒』に出てくる”密書事件”(実際に起こった陰謀が元になっている)にて侯爵に頼まれたジュリアンが大使に手紙を届けた場所はマインツ…つまりドイツである。ここからリンデの国籍が決められたのではないか。

 

②の理由

手紙を届けた後に、ジュリアンはその人に命じられるままストラスブールで待機していたけど、その場所で再会したロシア人公爵から恋の手ほどきを授かった。彼は教えて貰った手ほどきを実行してマチルドを焦らしに焦らし、恋路を成就させる事に成功した。

公爵の国籍はロシア…ここからヴァレリアの国籍が決められたのではないか。

 

二人がイタリア人やスペイン人でないのは、恐らく上記理由からだと思われる。

 

 

 

5,遊星と屋根裏部屋

 

『つり乙』の最序盤。走馬燈編にて、遊星は過去に大蔵家の屋敷で《屋根裏部屋》に閉じ込められていた。

実はジュリアンも、ラモール家に秘書として来た際、ラモール家主人から与えられた部屋も《屋根裏部屋》だった(『赤と黒(下)』28頁)。

 

 

6,遊星は愛人の子である

 

遊星は、父親が大蔵真星で母親は本妻の金子ではなくアイルランド系の女性…つまり愛人の子である。

 

ジュリアンは愛人の子ではないが、彼はラモール家に来てから暫くして、とある事件がきっかけで愛人の子として振る舞う事になる。

 

彼はラモール家の秘書として務めていた際、ひょんな事から従男爵と決闘する事になる。

その決闘はすがすがしいものだったが、従男爵からするとジュリアンのような秘書分際と決闘したと知れ渡ったら、大恥をかくことになる。

だから、従男爵はジュリアンを『(ジュリアンは)むろんりっぱな青年ではあるが、ラ・モール侯爵の親友の私生児なのだと、あちらこちら吹聴してまわった(『赤と黒(下)』75頁)』と書かれてある。

ジュリアンはその吹聴に乗った…その方が彼や主人にとって都合が良かったから。

つまりジュリアンも遊星と同じく貴族身分の愛人の子として振る舞った…という訳だ。当時の身分制度は厳格故に、百姓身分なんかより貴族身分の私生児(愛人の子)の方が良いに決まっているのだから。

 

この部分を参考に、遊星は愛人の子であるという設定が決まったのではないか。

 

7,大蔵家のお家騒動

 

大蔵家のお家騒動も、見方によっては政治的な部分だなと思います。このゲームは恋愛ゲームですから、いきなり政治的な部分を見せられると「えぇ…」となるものです。ですが大蔵家を舞台にしたお家騒動なので、エンタメとして楽しめる訳ですね。

 

赤と黒』のように史実を元にしたバリバリ政治的な文章(密書事件のことです)を追加してもしょうがないので、お家騒動という形を取ったのでしょうか。これなら購入者も《音楽会の最中にピストルがぶっ放された(『赤と黒(下)』250頁)ような不快な気持ちにはならないですし。

恐らく氏は、スタンダールが政治的な史実を取り入れた事に感銘を受けて真似をしたのだと思います。でも単に政治的な話をしたらつまらないし不評を買ってしまう。だから大蔵家のお家騒動という形を取ったのでしょう。

 

 

ちなみに前作『つり乙』でも見方によっては政治的発言にも取られる箇所があります。

それは序盤にて、朝日が初めて瑞穂に会った時の台詞です。

 

《花之宮瑞穂》「構いません、もうお顔もお名前も覚えました。あさひさん、ですね。旭日の旗を象徴するような、我が国の女性に相応しい素敵なお名前ですね。あさひさんと呼んでも良いでしょうか」

《花之宮瑞穂》「それでは日章旗をお名前とされているのですね。とても素晴らしいことだと思います」

 

『旭日の旗』とか『日章旗』とか、見方によってはかなり政治的な発言ですね。

この発言も、もしかしたら『赤と黒』から影響を受けて取り入れたのかもしれませんね。上記5と6から見ても『つり乙』も一部影響を受けていると見て取れるので、少しは説得力の足しになりそうです。

 

 

以上七つを見てきた。七つはどれも「そう読み取れないこともないよね」という内容なので当然本当かどうか分からないが、『乙りろ』は『赤と黒』から多少なりとも影響を受けているのではないかと私は感じた。オマージュだと言い切りたいところだが…公式が言わないので言い切るのは控えるか。

 

 

 

四、本作における『リリアーヌ』『赤と黒』の重要性

 

このように、私が調べただけでも乙りろが『赤と黒』から多大な影響を受けている事が分かると思う。そしてサブキャラであるリリアーヌの重要性も理解して頂けたら。何せ、彼女のモチーフとなったキャラは『赤と黒』のメインヒロインのうちの一人であるマチルドなのですから(もう一人のレーナル夫人は、恐らくりそなのキャラ設定に影響を与えているはず)。

 

私が最初不思議に感じたのは(これは先程も言ったのだが)、『赤と黒』について購入者の誰一人として感想に入れていない事である。ま、当の私も初見プレイ時には印象にすら残らなかったので仕方ないと言えば仕方ない…そしてそれこそ脚本家である氏の狙いでもあったのだが、それは後述する。

 

 

五、リリアーヌとマチルド…リリアは乙りろ第4のメインヒロイン

 

リリアーヌがデザインコンペにて、自らのデザインのモチーフにした『マチルド』という女性…

 

私が思うに『赤と黒』に登場するマチルドは

 

・身分(家柄)を大事にする

・退屈な人生を歩みたくない

・とにかく自尊心を傷つけられたくない

 

という三つの信念がとにかく尋常ではありません。

 

マチルドは、自分より身分が低い召使いのジュリアンに、他の貴族の男性(しかもこの中には彼女の婚約者候補もいる)とは違う非凡なものを見いだします。

ですが、所詮召使い如きの彼に(恋愛面も含めて全部!)支配されるのが、マチルドにとって何よりも耐えられない事だったのです。

 

そんなマチルドをリリアーヌは自らのデザインのモチーフにした訳です。なので彼女の√を考えるとするなら、朝日はメイド身分(しかも日本人)ですので相当見下してくると思います。メンタルズタズタ、死にたくなるレベルで。

 

はい。あの…私は『赤と黒』を熟読したので分かるのですが、マチルドの言動には正直メンタル終わりかけました(苦笑)。なので、ヒロインの言動に対して直ぐにお気持ちしてしまう人には無理です。死にます。

だけど、マチルドとの恋路で見られる駆け引きは本当に面白かったです。既存のエロゲ作品では見たことのないような展開で、私とて先が読めませんでした。それくらい面白いのです。

 

だから『赤と黒』を熟読したであろう脚本家の東ノ助氏なら、間違いなく一瞬だけでもこう思うはずです。

 

「『赤と黒』に登場するマチルドを参考にしたキャラを『乙りろ』にも加えたい。絶対に面白いから!」

 

と。結果、マチルドを参考にリリアーヌが創られた(と思われる)訳です。ただ彼女の√が作られる事は無く、サブキャラ(悪役)止まりとなった…

 

ここに至るまでの氏の苦悩は、かなりのものがあったと思いますね。(Navelのライターとしてではなく、一創作者としての本心では)泣く泣く却下したのではないでしょうか。

 

私は思うのです。

「氏は、心の奥底ではリリアーヌを”第4のメインヒロイン”にしたかったのではないか」と。

 

その証拠となり得るのは、先程から話してきた『赤と黒』以外にもう一つあります。

 

それは『音楽鑑賞モード』です。

 

『Gallery』モードの音楽鑑賞をクリックすると、本作品に用いられているBGMや音楽を聴くことが出来ます。

 

その音楽鑑賞モードには全部で十八曲収録されています。

左上の三つは上から順に

 

・ゴシック†ロリィタ†プリンセス(りそなの曲)

・光を(メリルの曲)

・メヌエッテ(エッテの曲)

 

というメインヒロインのテーマ曲です。

 

メヌエッテの曲の下は、サブキャラであるリリアーヌ(あの日生まれた真心を込めて)のテーマ曲である。そしてその下は(パリと乙女と恋するなにか)である。これは日常のBGMとして用いられている。

 

ここまでなら何の違和感もなさそうだが、私が疑問に感じた点はここにある。普通、サブキャラのテーマ曲の下は、もう一人のサブキャラのテーマ曲が来るのではないかと。

 

そのサブキャラとは、リンデである。彼女のテーマ曲は(ゲルマニズム・ミニマル)だが、その曲の配置は上から順に

 

・メヌエッテ(エッテの曲)

・あの日生まれた真心を込めて(リリアーヌの曲)

・パリと乙女と恋するなにか(日常BGM)

・モンパルナスで途方に暮れる(日常BGM)

・ゲルマニズム・ミニマル(リンデの曲)←←←←←ココ!

・地下アトリエのパリジェンヌ(たち)(起死回生系BGM)

 

である。私はこの配列は不自然だと感じた。

普通は、「メインヒロイン三人のテーマ曲→サブキャラ二人のテーマ曲→日常BGM」だと思うのだが、敢えてリリアーヌとリンデの曲の間に日常BGMを持ってくるという配列。

 

リリアーヌとリンデは同じサブキャラだが、明確な差があるのではないか。実際、リリアーヌには例の覚醒時のBGMである(パンがなければ飢え死にすればいいじゃない)がある事からも窺い知れる。

 

この

 

・あの日生まれた真心を込めて

・パンがなければ飢え死にすればいいじゃない

 

という、メインヒロインでもないのに二曲のテーマ曲がある時点でリリアーヌは特別なキャラクターだったのではないかと思うのです。そして彼女のテーマ曲はメインヒロインのすぐ下にある…

 

 

私は、だからリリアーヌは”乙りろ第4のメインヒロイン”だと思うのです…結局それは幻となりましたけどね。

 

 

 

…でもまあ、リリアーヌは『乙りろ』ではサブキャラでおおよそ悪役です。

 

ですが、”純粋な悪役か”については疑問に感じます。もしそうだとしたら、りそな√のED後にて、放逐され衣遠によって保護された華花がリリアーヌの事を想うような言葉ををわざわざ言わないと私は思いますが…如何でしょうか?

 

赤と黒』を参考に、リリアーヌの人となりや思考を考えてみるのも面白いですよ。

 

 

六、意図的に隠された背景・脚本家の建前・私見

 

1、意図的に隠された背景

 

ここまでの内容は主に『赤と黒』『リリアーヌ』について話してきたが、結局『赤と黒』は、本作では以下の文章しか出てこない。

 

《リリアーヌ》「『赤と黒』に登場するマチルドをイメージした『愛』です」

《リリアーヌ》「彼女の愛は苛烈かつ純情であったと私は思います。私はまだ初恋を知りませんが、だからこそまだ知らぬ恋に憧れる余地はあると思います」

 

だけである。

 

またリリアーヌに関しても、本作では個別√もなくただのサブキャラである。

 

では何故、こんなにも重要な『赤と黒』はたった三行だけ書かれてあるだけで隠されたのか。そしてリリアーヌ√は消滅したのか。

 

 

2、脚本家の配慮と建前

 

○『赤と黒』を隠した理由

 

これは、お客様に対しての配慮からでしょうね。以下の三つだと思われます。

 

・リリアーヌが悪役だと推測されないようにするため

・『赤と黒』をただの作り話だと認識させるため

・お客様は「朝日(遊星)とりそなの恋愛模様」を望んでいるから

 

まず一つ目に、あのデザインコンペの時点でリリアーヌが悪役だと推測されかねないからです。マチルドを調べたら、相当傲慢な女ですからね…そんな女をイメージしたデザインなので…はい。

そして二つ目に、読者に『赤と黒』は大した物語ではないと認識させるためでしょうか。作中に登場した『赤と黒』『マチルド』だけなら、脚本家が作った”架空の物語”として認識されるかもしれない。これが主人公の『ジュリアン』や作者の『スタンダール』を入れてしまうとその認識は非常に困難となったでしょうね。

この小説のあらすじを全く説明しなかったのも、そのためなのでしょう。サラっと流して、リンデから『それだけか?』と言われて終わりという形を取ったのでしょう。…個人的には「必ずしも努力は報われない」というメッセージ性が出ていて良かったですね。

 

三つ目は、「朝日(遊星)とりそなの恋愛模様」をお客様は望んでいるから。『赤と黒』の小説なんて誰も興味無いという訳です。

 

 

○リリアーヌ√を捨てた理由

 

この理由は主に二つです。 

…とはいえそれは脚本家にとっては建前でしょうが。

 

・お客様が望んでいないから

・衣装テーマの『愛』に相応しくないから

 

一つ目の、お客様が望んでいないから。

これは簡単で、個別√に入ってヒロインから見下されたりバカにされたりプライドを粉々にされる言動をしてきたら…堪えますし、そんなの求めていないという理由からでしょう。つまり大不評を買うから!

 

二つ目は、衣装テーマの『愛』に相応しくないから

 

『愛』と言っても、恋愛や友愛、家族愛と色々ありますが、ここで紹介する愛は恋愛を意味します。

 

さて、ここではそんな『愛』について、リリアーヌとりそなの考え方を『赤と黒』にて二人のキャラ設定の参考になったであろう《マチルド》《レーナル夫人》を参考にしつつ見ていきましょう。

 

りそなの愛は、”純粋な愛”です。近親相愛という禁断の愛ではあるが純粋に愛した様はりそな√からも分かります。同じく禁断の愛である不倫をしたレーナル夫人もジュリアンを純粋に愛していました。

 

一方でもしリリアーヌ√があったのならば、リリアーヌの愛は”理性的な愛”として表現されたでしょう。これは、マチルドの恋路があまりにも理性に従った愛だったからです。愛に人生を振り回されたくない、愛のせいで自身のプライドを傷付けられたくないといった愛は、まさしく”理性的な愛”と言えるのではないでしょうか。

 

ちなみに本作のリリアーヌは、コレクションのテーマが『愛』と決まる12月の終業式当日までは、大蔵家の縁談に否定的でした。それが翌年1月の始業式では大蔵家の人間か来ずにとても残念がっていました。…これは私の考察なのですが、リリアーヌはコレクションのテーマである『愛』を知るために、まだ見ぬ相手(まあ、その相手は遊星なのですが)を本気で愛してみようと思ったのではないでしょうか。

つまりこれは、コレクションのテーマである『愛』を知りたいという目的から始まった愛…すなわち”理性的な愛”と言えるのではないでしょうか。

 

 

余談ですが、『赤と黒』の主人公であるジュリアンは、(紆余曲折ありつつも)最終的には純粋に愛してくれたレーナル夫人を愛していました。理性的な愛は純粋な愛に負けるのです。

 

だからデザインコンペにおいて、リリアーヌのデザインは他二人に比べると印象にも残らずに「つまらない」と(心の中で)遊星から酷評されたのでしょう。彼女のデザインはまさしく”理性的な愛”を表現していたのだから…

 

 

3、私見(建前を踏まえた上で、批評)

 

赤と黒』が隠された背景は、お客様の事を第一に考えた素晴らしい配慮だと思います。美しいですね。

 

ただ、リリアーヌ√を捨てた事に関しては、私とて簡単に引き下がる訳にはいきません。あんなにも面白かったはずであろう√を捨てるなんて勿体ない!

 

でも、彼女の√はりそな√に匹敵する面白さの代わりに不評を買うのは必至です。見下されますから。…ではどうしたら良いのか。

 

答えは簡単。そのまま使っちゃえば良いのです。リリアーヌから見下されますが、そんなの関係ない…それこそまさに”理性的な愛”を表現してるのだから。

 

このように、理性的な愛を貫いたであろうリリアーヌとの対比で、純粋な愛を貫くりそなをより一層際立たせるシナリオも有りだったのではないか。

そうすれば、りそなはもっと輝けたのではないか。

購入者が求めているのは、りそなと遊星が幸せを掴む事である(…ですよね?)。余程の捻くれ者でも無い限り、りそな√におけるバッドエンドなんて求めていないので、無意識の内にご都合主義展開を望んでいると思われますから。…だったら個別√にてリリアーヌが悪役だとバレて良いのではないか、どうせハッピーエンドになるんだし(暴論)。

メリル、エッテ√では、りそなが抱く"純粋な愛"の強さとはどれ程のものかを充分に知らしめる事は出来なかったと思う(メリルは純粋無垢だし、エッテ√は短いし)。また、りそな√におけるリリアーヌの立ち振る舞いは、”理性的な愛”を表現するまでには至らなかったのではないかと。だたの悪役ポジでしたし。

 

そこでリリアーヌ√を加えて彼女の”理性的な愛”とで対比させれば、より一層”純粋な愛”の尊さが伝わったのではないか。その時、『乙りろ』はつり乙の次回作とは誰にも言わせない破壊力ある神作へと変貌したのではないか。…そんな世界線を私は見てみたかったりする。

 

…このような私の意見はまさに”痛みを伴う劇薬”であり、お客様を置き去りにして作品の面白さや完成度を追い求めるとこうなりますよって事ですね。このような意見、どうでしょうか?…これが《脚本家が思う面白さ》だと個人的には思いますよ。

 

この六でやってきた事というのは、氏の脚本家としての"建前"(より良い商業作品を作る、ユーザーや会社の事を第一に考える等)の部分を私が批評してきました。なので、氏としての"本音"は絶対に違うと思うんですよね。

やはりリリアーヌ√はやりたかったと思います。だって本作が『赤と黒』のオマージュならば、リリアーヌのデザインイメージになったマチルドからも多分に影響されているはずですから。

 

 

七、脚本家はこんなシナリオを執筆したかったはず

 

脚本家自身が面白いと思うシナリオ構成が、社内会議であっけなく没にされる。その時にどうするか?

 

プロの脚本家の選択は、主に二つ

 

・折り合いを付ける

・完全に捨てる

 

のうちから選ぶかと思われます。では『乙りろ』にて折り合いを付けた点と完全に捨てた点は何だったのか。

 

・折り合いを付けた点

これは大蔵家のお家騒動でしょうね。政治的な発言をお家騒動というエンタメに変えた点では私としても高評価です。これなら《音楽会の最中にピストルがぶっ放されたような不快な気持ちにはならないですからね。素晴らしいシナリオ構成だと思います。

 

・完全に捨てた点

これはもう、言うまでもなくリリアーヌ√でしょう。あんなにも可能性の塊だった√を捨てるのは(Navelの脚本家としてではなく)一創作者の本能としては断腸の思いだったでしょうから。

 

もしも、りそな√が『赤と黒』における「ジュリアンとレーナル夫人の禁断の愛」に影響されたとしたら…

リリアーヌ√は(私の想像ですが)『赤と黒』における「ジュリアンとマチルドのマウント取り合い合戦の末の愛」のような感じになったのかもしれませんね。

 

 

ちなみに私は『赤と黒』のメインヒロインである二人《レーナル夫人》と《マチルド》のうち、どちらの恋路が面白かったかで言えば、マチルドだと即答します。あんな恋路は初めて見た。既存のエロゲではまず却下されるシナリオ構成なのだから当然ではある。だから私は1830年に発行された小説『赤と黒』の構成に新鮮味を覚えたのです。なんだ、エロゲって可能性の塊じゃん…まだまだ開拓の余地あるじゃん!…と。でも、何度でも言いますが、そんなシナリオ構成をお客様は望んでなどいません。

 

 

当たり前ですが、脚本家は私のこのような拙い意見は百も承知でしょう。その上で発売されたのが『乙女理論とその周辺』なのです。

 

脚本家の自我を封印し、お客様に寄り添った結果高い評価を得た作品…

 

私は氏のそんな姿勢を美しいと評価します。

 

 

 

 

八、総括…何故私はこのような見方をしたのか等

 

さて、話は変わりまして…三月下旬に桜小路家一行が短期留学と称してパリを訪れます。その際にユルシュールは(と言ってもこれまた誰も覚えていないでしょうが)学院のサロンにてこう言います。

 

《ユルシュール》「衣装をお芝居にたとえれば、デザインが役者なら型紙は脚本」

 

言い得て妙ですね。役者を生かすも殺すも脚本(家)次第という訳です。

 

このユルシュールの言葉通りに、脚本家=型紙(パタンナー)として見て頂きたい言葉が、(作中)二月上旬にメイド達だけで話していた際にリリアーヌの従者である華花が言った次の台詞です。

 

《華花》「あれ(デザイナー)はだって才能(センス)9割、技術(スキル)1割の世界でしょう。その点パタンナーなら才能1割、技術9割でも務める事が出来ます」

 

つまり、脚本家とは九割が(努力で身につけられる)技術で善し悪しが決まるのである(と脚本家である東ノ助氏は言っている)。

 

それを踏まえた上で、リリア覚醒時に朝日が言った台詞を見ていきたい。

 

《朝日》「あの衣装を見ればわかるはずです。(華花さんは)見返りなんて求めない、あんな細かい直しを…誰に気付かれなくても構わない、ただあなたを輝かせるために続けていたのがわからなかったんですか?」

 

ユーシェが言ったように、デザイナーが「役者」で、型紙が「脚本家」なら。

 

朝日は型紙なので「脚本家」と言えますね。この台詞、脚本家目線で見ると中々に面白い文章だなと思います。

 

本作の脚本家である東ノ助氏目線で、朝日が言った言葉を訳してみましょう。

 

「シナリオの細かいところまで拘る、それは決して見返り…評価される事がなくても構わないし、誰に気付かれなくて構わない、ただ『乙女理論とその周辺』という作品を輝かせるために必要な事なのです」

 

この文章を読者の方々がどう感じたかはさておき…私としては、特に『赤と黒』に関して本当に誰にも気付かれずに発売から十年以上が経過した事に驚きましたね。まあこの作品はシナリオ考察勢を対象にはしていないので、脚本家の意図通りになったという訳です。私という例外を除いては。

 

さて、氏が抱いたであろう葛藤を再度掲載して、これを総括とさせて頂きます。

 

「《氏が書きたいと思う楽しさ(面白さ)》と、《お客様が求める楽しさ(面白さ)》との乖離をどう受け止めるか」

 

その葛藤に対する答えは、恐らくこれでしょう。

 

《お客様が求める楽しさを第一に、氏が書きたいと思う楽しさを表現しそれを楽しんで頂く》

 

それがお金を頂くプロの脚本家としての矜持なのでしょうね。いやはや素晴らしいです。私は脚本家の東ノ助氏を尊敬します。

 

 

 

…さて、ここからは私の感想を少しだけ。

私が初見プレイで抱いた本作品の感想にて、メインヒロインについての言及は「エッテ√のシナリオが少なすぎる!」以外何もありませんでした。りそなやメリルについての言及は0文字です。

 

では何を書いたかというと、終盤にて家族愛の大事さを思い知った大蔵家と、全てが終わった後に友愛について気付かされたリリアーヌと華花の対比が素晴らしかった…という事を書いていました。先に言っておきますが、メインヒロインに触れない感想はこれだけです。…まあ、エロが薄かったというのもありますが(苦笑)

 

そこから私は、「何故華花は放逐された後もリリアーヌを想い続けたのか」が気になって二人を深く調べるうちに、『赤と黒』に行き着きました。そこから小説を買って熟読した結果『乙りろ』との関連性が高いと判断し、こうして批評する事にしました。本当に面白かったです。これこそシナリオ考察の醍醐味だなと本気で実感しました。

 

後言っておくと、私はリリアーヌが好きではありません。もう懲り懲りです。それと「エッテ√のシナリオが少なすぎる!」と書いた割には、書きながら聴いている曲はメヌエッテです。めっちゃ良い。

 

 

 

九 リリアーヌ√を殺したのは誰か

 

リリアーヌは幻の乙りろ第4のヒロインだった。私はそう思います。

 

メインヒロインの人数は、前作つり乙が四人で次回作のつり乙2も四人だった事を踏まえると、乙りろの三人(しかもエッテ√は実質サブ扱いレベルの文量)は些か少ないのではと思うのは私だけだろうか。

 

もしかしたら予算的に厳しかったのかもしれない。流石に台所事情までは私には分からない。

 

でも、そうではないとしたら……少々過激ではあるが、リリアーヌ√を殺したのはお客様ではないか。

 

お客様は『乙りろ』に何を求めたのだろうか。『乙りろ』は『つり乙』の後継作品なので、やっぱり安定志向になるのだろうか。もしくは安定の上に(想定内の)新奇的なシナリオを盛り込んで欲しいと思うのか。「りそな√が良ければ、後は余計なことをしなくていい」と思うのか。

 

実際、それが大半なのでしょう。面白さのために不評を買うような√なんて誰も望んでなどいなかったでしょうし。

本作のブランドであるNavelも老舗企業ですから、ユーザーの意図が分からないはずがありません。

 

結果的に『乙女理論とその周辺』はユーザーから高い評価を得る事に成功します。Navelとしても概ね成功だという評価を下したのではないでしょうか。

 

 

ただ私としては、面白かったはずであろうリリアーヌ√がないという事実が残念だった。やっぱり、どうしても。それが心残りだった。

 

赤と黒』を熟読した今なら分かります。どんなに面白いシナリオになったのだろうって。

 

でもそんなシナリオなんて、私以外誰も求めてなどいません。

 

ここまで言ってきてなんですけど…当たり前ですが脚本家の真意は不明です。

ですが、『赤と黒』の重要性や『リリアーヌ』を見ていると、リリアーヌ√を執筆したかったのではないかと思わずにはいられません。だって、リリアーヌのモデルになったマチルドは、『赤と黒』にてメインヒロインですからね。しかも癖の強い性格(これでもかなりマイルドな表現です)なのでこれ以上ないインパクトになったはずですから。

 

でもそれを、お客様は誰も望んでいない。故にリリアーヌ√はゴミ箱行きで脚本家の手によって始末されたという訳です。…一応、それだと彼女が可哀想だから、サブキャラの中でもリンデよりは待遇を良くしようとしたのではないでしょうか。

 

結局、私の結論だとリリアーヌ√は購入者の意向を汲み取った末に殺されたんだと思います。そりゃ~彼女からプライドがズタズタになる程見下され続けては苦痛でしかありませんから。でも、NTR好きの超ドMにはたまらない√だと思うんですよね。

 

最も、脚本家が作るので、氏が『赤と黒』のシナリオを参考にするかしないかは分かりません。ですがいずれにせよ、リリアーヌ√があればりそな√に匹敵するレベルでインパクトがあったと思います。でも、何度も言いますが、そんな√をお客様は望んでいない。

 

 

うーん…でもやっぱりリリアーヌ√が無いのは…残念。

面白そうなのに…そして益々リリアーヌの事が嫌いになれたのに!

 

…いや、その感情は彼女のモチーフとなったマチルドの性格を嫌という程思い知ったのだからそうなってしまうのだろう。

私が尊敬しているプロの脚本家である東ノ助氏なら、きっと彼女が好きになるような…それでいて面白くてインパクトのあるシナリオを執筆してくれたに違いない。…本当に惜しいなと思う。

 

 

 

十、終わりに(余談)

 

…という訳で、私の美意識を少しだけでも理解して頂けたでしょうか。少なくとも、エロゲ界隈の中でも相当重傷レベル…最早救いようもないレベルに捻くれた美意識だという事は重々承知しております。

 

だけど、これだけは胸を張って言いたい!

乙女理論とその周辺』という作品は、私から見たら本物の芸術作品だという事を!誰が何と言おうと関係ない!

脚本家自身の評判や面白さを捨ててでも、どこまでもお客様を大事にするという美しさは、もっと評価されて良い。その美しさが、この作品からは随所に溢れているのです。

 

本作品を商業芸術だと言わない理由は、ここまでの読みを可能にする作品を商業芸術だと言いたくない…という私のエゴと、このような脚本家の美しさも、充分芸術作品の美しさの一つだと言えるのではないかという点です。だから『乙女理論とその周辺』は本物の芸術作品なのです。誰が何と言おうと私にとって何よりも代え難い作品です。

 

 

…で、その視点を持たずに、やれエッテ√の文章が短いだの、やれルナ様に頼りきりだの、やれ恋愛描写やHシーンが物足りないだの言って点数を下げるのは”購入者の一人”として本当に悔しい。だから私は…いや私だけは批評家としてこの脚本家に百点を付けたいと思う。

 

とは言え、結局は本作の脚本を(自分なりに)あまりにも知りすぎた私が全面的に悪いのです。表面上だけ楽しんで適当に「りそな√が良かった」「エッテ√は短すぎる」とか言えば楽しめるのに…

(『あらゆる芸術は表面であるとともにまた象徴でもあるのだ。表面の下をさぐろうとするものは危険を覚悟すべきである。象徴を読み取ろうとするものもまた危険を覚悟すべきである。(ドリアングレイの肖像 序文)』)

…本当に困ったものです。もっと娯楽として気楽にエロゲを楽しみたかった…これからどうしよ(自業自得)

 

 

それでも、こんな私に救いのような言葉があるとするならば、

「美しさは、発見されなければならない」

という事でしょうか。

誰が言ったのかは…忘れた。

 

 

まあ芸術作品というものは、多数派の意見(「ここが作者の伝えたいところだな」等)が必ずしも脚本家の意見という訳でもないですから。勿論、「この作品は好きor嫌い」だけでも良いのです。色々な意見があって然るべきですからね。この批評も、そんな色々の中の一つという事で。

 

 

ここからは余談です。

 

こうして長々と批評してきた訳ですが、私より優れた素晴らしい批評家なんて沢山います。私には恋愛描写とかエロ描写とかよく分かりませんし、参考になる批評ばかりです。

 

私は、エロゲの批評文化は素晴らしいと思います。

ですがその反面、結局はエロゲの枠を飛び越える事などできません。

これだけ素晴らしい批評が沢山あるのに、エロゲの枠を飛び越えられない…だからエロゲは斜陽だの何だの言われる訳です。反論意見もありそうですが、新規顧客を獲得しようにも、大半の若者はソシャゲに流れ、既存のエロゲユーザーやメーカであってもソシャゲに移行する人やメーカが多いのが現状です。そもそもかなりのメーカーが事業停止か倒産してますからね。

 

少子化問題高齢…って訳でもないですが、実際ユーザーの数は減少傾向にあるのも仕方ないでしょう。じゃあ海外に目を向けると言っても、二次元のエロに対する締め付けは日本より一層厳しいです。

 

では既存作品で何とかするしかない…と言っても、こう…エロゲの枠を超えてSNS上の有名インフルエンサーにも注目されるような作品って、ほぼないじゃないですか(私が知る限りだと、ぬきたしだけ)。その理由は、エロゲメーカーがユーザーからの不評を恐れて安パイを取るようになったからではないのかと。

 

勿論全部がそんな作品だと言いたい訳ではありません。…でも実際、エロゲはエロゲの枠を飛び越えられないのが現実ではないでしょうか。じゃあ奇抜なエロゲを創って新規顧客を獲得しようとしても、今度は既存ユーザーが離れてしまいかねない…新規顧客創造は、それだけ難しい話なのです。

 

乙女理論とその周辺』は、既存ユーザーを大切にする東ノ助氏(とNavel)が安パイを取った。その決断は概ね成功したし私はその点を含め美しいなと思ったが、結果リリアーヌ√が消えた。その面白さが消えた事が、やっぱり私は残念でならない。

 

「《脚本家が書きたいと思う楽しさ(面白さ)》と、《お客様が求める楽しさ(面白さ)》との乖離をどう受け止めるか」

 

リリアーヌ√はまさしく、脚本家が(本心では)書きたかったものだろう。だがそれをお客様は望んでいない。

 

もしリリアーヌ√があればどうなったか。多少不評の声も上がっただろうが、今よりもう少し位は注目されたかもしれない。或いは劇薬が上手く作用してエロゲ屈指の神作になり得たのかもしれない。…いや、大抵は不評ばかりで、制作陣が「やるんじゃなかった」と耐え難い後悔の念を抱くのかもしれない。

 

でも、そんな安パイな選択は、エロゲ業界をマクロな視点で見ると得策かどうかは何とも言いがたい。

やっぱり私は、エロゲは自由であって欲しいと思う。エロだけではない、色々な表現(例えば酒やタバコとか)をふんだんに用いて、創作者が面白いと思う作品を創って欲しいと願わずにはいられない。

勿論、購入者から見たら「エロゲなんだから恋愛描写やエロに拘って欲しい」「楽しくて安定感のある作品を作って欲しい」と思う人の気持ちも分かる。メーカー側から見れば、商業的な面から売れる作品を創らないといけない(売れなかったりユーザーが離れると死活問題となるから、不評となり得る要素を少しでも削る)気持ちも分かる。

 

分かるけど…それでも私の願いは、エロゲという広いフィールドを用いて創作者が面白いと思うものを余すこと無く創って欲しいという事。そうなれば、昨今の表現規制が厳しい今だからこそ、エロゲ業界が再び注目されるようになるかもしれないのだから…。

 

そんな常識破りのクリエイターが、エロゲ業界から現れる事を信じて…余談は終わります。

 

 

…えー長すぎた。ま、結局何が言いたいのかというと、

 

『ユーザーを何よりも大事にする』という決断をした脚本家の姿勢に私は美しさを感じた。

 

だけど…

 

私だけは、氏が執筆したリリアーヌ√を見てみたかったです。以上。

短編小説『自称ASDに仕える天使と悪魔』

【注意事項】

本作はフィクションです(ノンフィクションではありません)。私とは知り合いである《@@@(仮名)》が「文章能力向上のためになら使っていいよ」と仰って頂いたので、徹底した取材とネット記事等を元に『@@@氏が見て感じる世界を”「僕」”という架空の人物が語る』という体で書きたいと思います。

 

 

 

とは言え、私ロカは@@@氏本人ではないので、氏が見て感じる世界を完璧に再現するのは不可能です。

 

ですので本作はフィクションです。作り話ではありますが、生々しさを重視し出来る限りリアルにした感じです。

 

 

 

なお本ブログを見た読者の方々から、仮に

 

障がい者の方がこれを見たら何と思う?今すぐブログを削除しなさい

 

とか言われたとしても削除いたしません。私は@@@の意思を尊重します。悪しからず。

 

 

 

では始めます。

タイトルは『自称ASDに仕える天使と悪魔』総文字数は約2.3万字

 

短編小説”みたいな”感じです(私はあまり小説に明るくありません。それに小説の書き方も全く分かりませんので、これが小説と呼べるか分かりませんが…)。なのでこの小説のジャンルが何かもよく分かりませんが、よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

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「この曲…何回聴いたんだろう」

真夜中にふと呟く。

日時は2月24日土曜日、時刻は午前3時をちょっと過ぎていた。

僕は読んでいた本にスマホを挟み、iTunesを開いた。購入してから3日しか経っていないその曲の合計再生回数は丁度200回。四分ちょうどの曲を200回聴いても飽きる事はない。

 

こだわりはいつからあったのだろう。いや待て。そもそも、”こだわり”とは何か。

この言葉を今まで何となく使っていたので、この際PCで調べてみる。

 

こだわり…『拘る』とは「ちょっとしたことを必要に気にする。気持ちがとらわれる」と書いてある。

まあ、自分や他人に危害を与えるこだわりは問題だが、無害なこだわりなら別にいいだろう。

 

「そんな事より…だな」

ただの溜息を、ひとつ。

 

 

僕は、対人関係で度々苦しんだ。義務教育、高校、大学…ずーっと自分のせいで。

 

僕は、昨年新卒で就職したが、すぐに病んでしまい退職してしまった。いや、働きたい意思はあったから”させられた”と言って良いかもしれない。特に人間関係や業務上で困った訳ではない…分かりやすく表現するなら「自滅」

社会のレールから外れた後は、現在まで薬を飲みながらただなんとなく過ごしている。

 

ルーティン化した日常生活を送りつつ、読書したり、運動したり…

でも大半の時間は自分の事を考えるのだ。

 

 

僕は他人が分からない。おおよそ知っているのは家族だけ。両親、そして妹の三人である。

 

振り返ってみると、同年代には散々虐げられた。

イジメは小3から中2まで受け続けた(小5だけは何もなかった)。それでも家族に迷惑をかけたくないという一心で、一応は学校に通い続けた。小学生時代は携帯ゲームのおかげ、そして中学生時代に通い続けられた理由は多分、”部活が楽しかったから”だけだったと思う(部活仲間には本当に恵まれた)。

 

後になってとある人から『君は強い心を持っているから尊敬する』と言われても嬉しい気持ちは一瞬、その後「今の自分は?」となり、僕は少しだけ憂鬱になるのだ。

 

高校からは一転、イジメはなくなった(いじられる事はあったが)。2年生の夏までは中学時代の部活仲間と遊びほうけた。義務教育期間にほぼ誰とも遊ばなかったためか、その反動はすさまじく、他人と楽しく遊ぶ快楽に酔いしれた。そのせいで全く勉強しなくなり、テストは赤点すれすれ、大学受験は勿論、お察し下さい…である。

 

問題だったのは勉強だけではない。対人関係の未熟さ故に、度々問題を引き起こしてしまった。

高校1年の時、かまちょを炸裂させてしまい中学時代の部員に迷惑をかけてしまった。面白半分で妄想が行き過ぎた。結果、絶縁されたのはしょうがない。あれは完全に僕が悪い。

 

そして、大学1年生になりたての頃…入学式が終わり健康診断や履修登録をしていた時に、僕のせいでとある重大な事件を引き起こしてしまった。しかも、僕の友人も巻き添えにしていまったのだ。

 

事件の詳細を語る前に、僕の友人…高校2年生の夏休み明けから親交を深め始めた『S(仮名)』を紹介したい。彼とはクラスメートで僕から話しかけたと思う。そこから趣味やネットスラングを教えて貰った。結局、僕はそれにハマってしまい、大学受験にも響いてしまった。Sがセンター直前に彼女とイチャイチャしていたと自慢げに話していたのは今でもよーく覚えている。

 

そのようにして僕は滑り止めにしか受からなかったのだが、直ぐにある事を知った。それは受かった大学に、僕やSと同じ趣味を持つ2個上の先輩がいたのだ。

 

なんて幸運なのだろう!3月はずっとそれしか考えられなかった。Sとは別の大学だけど、先輩がいるなら安心できる…と。

 

だがその幸せも、翌月の4月上旬をもって地獄へと変わった。きっかけはその先輩に対して、ちょっとした無礼を働いたこと。たったこれだけだし僕としてはちゃんと謝罪したつもりだったが、許して貰えず…そのせいで僕はSと先輩が参加している界隈(規模は20人位かな?)から追放されたのだった。

 

Sから言われたのは、「お前のせいで俺達(彼には友達が複数名いた)が先輩方と築き上げてきた全ての関係が崩れたんだよ。謝罪した?あれの何処が謝罪なんだよ!お前には失望した」それが翌5月中旬の事。その後、僕はS達やその界隈とは絶交しようと心に決めた。

 

大学へ行くのも億劫になった。でも、とにかくあの先輩と会わなければそれでいい。先輩が卒業するまでの間は1ミリたりとも目を合わせたくないので、学内では少し目線を下げて歩いていたのをよく覚えている。

 

今になっても不思議なのだが、何故アレがきっかけでこんな大事になったのかよく分からない。それは僕が自称ASDだから分からないだけなのだろうか?

そもそも、これを事件と呼べるかもよく分からないが、とにかく僕が迷惑をかけた事には変わりない。

 

振り返るとSには本当に迷惑を掛けた。今でも覚えている事がある。あの事件から数ヶ月が経ったある日、僕が妹とゲームをしていた際、突然彼から連絡がきた。その内容は「あの事件は君自身も勿論悪かったけど、俺自身も悪かったと思う。あの制裁はやり過ぎだった。だからよりを戻したい」だった。

 

絶交しようと心に決めていたハズ…なのに僕の気持ちは真逆で、本当に嬉しかったとしか言いようがなかった。だって自分からはもう連絡する気は無かったのだから。

 

けど僕は、よりを戻してからも度々自称ASDぶりを発揮してしまい君を困らせてしまったと思う。

あの時僕はとても嬉しかったんだ…でも、今になってこう思う。「Sがよりを戻そうとしなかったら、君はもっと幸福な人生を歩めたのではないのか」

そう思うと、少し憂鬱になるのである。

今ではSも立派な社会人として活躍している。…どこで仕事しているかは分からないが、タバコはほどほどにね。

 

 

例の事件を除けば、それ以降の大学生活はまあまあ楽しかった。一度だけ拘りを爆発させてソシャゲのイベランで1桁取ったり、旅行したり、ライブを見に行ったり…。

ちなみに旅行やライブ鑑賞では、他人に対して特に迷惑をかけてはいないと思う。遅刻をしたり忘れ物をしたことは1度たりともなかった。前日までにある程度の計画を立てておき、一緒に行く人とは数ヶ月前から密に連絡しておくことで、当日不快な事にならないようにする。つまり、”防げるものは防ぐ”という算段がハマったのだ。

 

でも僕はふと思う「もし、大学生活初っ端にあの事件が起きなかったら」と。ま、楽しかったならそれでいいんじゃないかと納得もしていますけど。

 

 

それからは感染症が蔓延して、全てが変わった。そして就活。就活はストレスの連続だった。僕は非現実さを求めて、求めた先がノベルゲーム…エロゲと出会う事になる、ハマるととことんやるのが僕なので、それからの約1年間…(就職先が決まって4月から働き出すまでの間)就活中を除いて四六時中やり続けるのだった。

 

 

ところで…何故僕は”自称ASD”と言うのか。

それは、僕自身が薄々認識しているからだ。これまで家族や他人からは『ASDじゃない?』とか言われてないし、多分ちょっとした気の緩みからだろう。「ASD」なんだと自覚してこれからはちゃんと自制したら大丈夫だと思うから。それに、そう診断されたところで大した治療薬もないらしいし。

 

結局、対人関係の拗れは全部僕が悪いんだ…と言い聞かせている。

 

小2から中2まで、イジメを受けていたのは勿論、一人遊びが好きでほぼ誰とも遊ばなかった僕はどこまでも幼稚なのです。

 

そんな幼稚さを隠すためには、理性で縛らなくてはなるまい。ただ、人間なのでどうしても緩んでしまいがち。そこを神様は見逃さない。

 

 

同年代以上の人間とは度々問題を起こす一方、年下と関わった際は全く問題が起きる事はなかった。中でも印象に残った人達を少しだけ紹介したい。

 

例の事件が起きてから翌五月上旬頃に、僕はSNSの垢を作り直した。そこで出会った当時高校一年生の新規フォロワー『W(仮名)』とは結構な近所だと判明し、翌6月上旬に近くのカラオケに行って歌った事は、今でも忘れられない。絶望のどん底から救ってくれたのは、間違いなくWだったのだから。

 

声優に問題発言的リプを送り、垢バンされてそのまま受験生になった元フォロワーの『T(仮名)』…元気にしているだろうか。君との時間は本当に楽しかったよ。某ライブの時に、Tがとある施設にモバイルバッテリーを忘れてしまい、それを僕が取りに行き一時的に保管していた際、その絵柄は《蒼の彼方のフォーリズム》だったな。当時は何も知らなかった。だけど、僕もノベルゲーマーになった今なら分かるよ。あ、でも”あおかな”はまだプレイしてなかったな…

Tの同級生である『T2(仮名)』も同じく楽しかったけど、一方で「ごめんな」としか言いようがない。あの11月のライブは、T2が急遽用事で行けなくなったから、代わりにTが僕を指名してくれて行くことになった。で、そのライブの席…実は最前だったんだ。アーティストのパフォーマンス、Tと共に酔いしれた…一生記憶に残るほど凄かったよ。

 

 

もう一人、紹介したい人がいる。それは僕よりいくつか年上のプロスポーツ選手。職業は競輪選手で、輪界のビッグレースであるG1にも出場した関東が誇る自在型選手だ。

 

彼との出会いは、またしてもSNSだ。

 

昨今の感染症が流行った際、競輪界も大打撃を受けた。開催中止が相次いだ中で、彼は配信を通してファンの人達と交流をしたのだ。その際に僕も配信にお邪魔した。そこから一緒にゲームをするようになった。

 

ある時、彼は「マイクラをする」って言った。僕は全くやった事はないけど、面白そうだからという理由でやる事にした。最初は訳も分からず、マグマダイブ&全ロス&即フラグ回収をしてしまった…多分その時から自称ASDぶりが出ていた気がする、どうしても最初は周りより覚えが遅いから…。でもそんな僕に対して、彼は優しく丁寧に教えてくれたのだ…確かハウルスキンで。おかげ様で、大分上達しました…得意分野は整地です。

 

この選手がいなかったら、僕はマイクラの面白さに気づけなかったと思う。もし僕がとあるゲームの経験者で初心者の方と一緒にゲームするってなったら、彼みたいに優しく丁寧に教えて、そして楽しめたら良いなって思う。

 

彼には他にも麻雀の楽しさ、そして勿論競輪の楽しさも教えてもらった。感染症蔓延で競輪開催が中止になった僅かな時期だったが、本当に楽しいひとときだった。ありがとう。

 

競輪選手としては、今は少し低迷しているが、きっと復活してくれるに違いない。

プロの世界が厳しい事は重々承知しているが、彼が復活してくれると信じて僕はこれからも応援し続けます。

 

 

あとは…あ、もう一つあった。

それは新卒で入社した会社を退職して少ししてからの話。僕は平日に「猫の島」と呼ばれる島に観光しに向かった。そこでベンチに座り猫達とふれあっていると、僕の横におじいちゃんが座った。服装から見ておそらくこの島に住んでいるのだろう。多分平日に来た僕が物珍しかったからだと思うが、話しかけられた理由は分からない。そこでその人と色々な話をした、有意義な時間だった。

話を聞くと、どうやらこのおじいちゃんはこの島で真珠養殖の仕事をしていらっしゃるとの事。二時間ほど話をして、その人はベンチを立った。

 

家に戻り、調べてみる。するとこのおじいちゃん、なんとこの島の真珠養殖の社長さんだった。僕はビックリした。社長と話していたんだと思うと、なんだか凄いなと思った。

 

あの時は全く知識というものが不足していた。でも今では本を読んでいるのでもっと有意義な話が出来ると思います、またお話しができたら幸せですね。

本当に猫の島に住んでいる人達は温かい…またいつか訪れたい。

 

 

 

…こんな感じで、僕は気がついたら妄想に耽り、妄想から溢れた分を独り言として昇華している。これはイジメられていた時の名残であり、孤独を癒やすための防衛反応だと思っている。

これを直せと言われても、無理だと言わざるを得ない。その理由は、僕は一人ではないから。他人には見えないし聞こえないけど、僕だけには聞き取れる…姿形はその時々によって変わるけど。

そう、僕は一人ではない。僕には”天使”と”悪魔”が仕えているのだ。

 

そうしてまた現実世界に戻ってくる。ふと、読んでいた本に目がいった。

就職するまでまともに読書なんてした事はなかった。だが退職後病状が落ち着いた時に、試しにエロゲに出てきた小説・哲学・心理学の本を図書館から借りてきて読み始めたら、いつしか本に魅了されるようになったのだ。

 

「読書は飽きないな…自称ASDのこだわりが出ているかも」

 

時計を見る。

「やべ、もう寝る準備をしないと!」

天使と悪魔について語るのは後にして、いつものルーティンをこなし、寝床につく。

 

「…寝て起きたら、当時の顧問と部員を交えた飲み会か」

「飲み会…お酒は飲めないけど、楽しみだな」

 

僕は中学生時代に、とある部活に所属していた。部活があったからこそ、学校に行けたと言っていいだろう。イジメられるのが日常なら、部活はまさに非日常であり、とても楽しい時間だった。何より、”全てを忘れて”熱中して取り組めたのだから…これで精神が保たれていたと言っても過言ではない。

でも顧問の先生は精神論者故にとても厳しく、それが原因で高校では部活に入らなかった。

だが、人生として見たときに、中学生時代の部活は僕の人生にプラスの意味で大きな影響を与えた事に異論はない。

 

今回の飲み会は 同じく部員であり同い年の親友である『M(仮名)』が飲み会を企画し誘われた形だ。参加するのは僕とMと中学生時代の顧問の先生の三人だ。

 

Mは高校卒業後、地元の大学に進学し、今年で卒業する。遠方に就職するとの事で、お世話になった顧問の先生に挨拶という名の飲み会を開くとの事。その飲み会に近場に住む僕も誘われた形だ。

 

顧問と会うのは、数年ぶり。最後に会ったのは高校を卒業する時か。ちなみに僕の境遇についてはMから直接話したらしい…無職がバレる事は別に構わない。

 

それにしても、楽しみだ。

 

その誘いを受けた僕は、同じく同学年の部員であり今は遠方に住んでいる『H(仮名)』と『O(仮名)』にLINEした。二人ともビデオ通話で参加可能との事だった。他にも部員はいるのだが…この歳になると連絡できる人間も限られる、という訳だ。

 

「今から寝て起きたら、18時前には家を出て、友達Mと合流。18時30分から顧問の先生と共に飲み会開始、飲み会に来られないHとOはビデオ通話で参加出来る。Oは19時半から20時までの間で10分間参加可能、Hはその前後あたりで…か。よし!」

 

  『楽しみだね』

 

天使の声が聞こえてくる。

 

「ああ、とても楽しみだよ」

 

 

俺の心には、”天使”と”悪魔”がいる。

いつからいたのだろうか…姿形に関してはおおよそ、不老不死の美少女ゲームのヒロインみたいな感じだと思って貰って構わない。

 

まず始めに、天使から紹介したい。

 

天使はいつも側にいてくれる、そして僕の背中をそっと後押ししてくれている。まるで聖母のような安心感だ。だけど困ったことに、『その行動はダメ!』って感じで注意はしてくれない。ずっと”起きた事に対してのみ”言及し、助言をするだけだ。それでも絶大な安心感には変えられない。

 

 『ありがとう。天使としてこの上ない幸せです』

 

「本当に天使は頼りになるよ。そう言えば…悪魔とは仲良く出来ているかい?どうやら僕とは口を利いてくれないんだ」

 

 『…たまに喧嘩する事もあるけど、基本的には仲良くしていますよ』

 

「それなら良かった」

 

 

 

一方の悪魔は…おや?僕とは口を利かないハズの悪魔が出てきたそうでうずうずしている。(『人間のクズはすこーし黙りなさい!』)抑えようにも(『ふん!アタシは悪魔なんだから抑えられる訳ないでしょ!』)無理なので、小悪魔キャラのヒロインが話すという体で聞いて欲しい。

 

この小悪魔は僕との会話を好まず、徹底的に貶してくる(『小悪魔じゃなくて悪魔なんですけど~ひっどーい!ま、もうすぐ乗っ取るからいっか!』)。何だか眠くなってきたし、僕が寝ている間気の済むまで喋らせてやるとするか。

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

あ、話せるようになった!はじめまして、アタシはご主人様に仕える悪魔だよ~

 

今のうちに悪魔らしく色々な事話しちゃお!あ、雑魚メンタルの人は覚悟しといた方がいいよ~ アタシ、今からとっっっっっても刺激的な事ばかり話すから!

 

 

 

それと…さすがに実名を出したらアタシのご主人様が死んじゃいそう!…それは困るから、うーんと……ご主人様の名前は”F”にしとこ!当然このFは『Fラン』のFね。Fは馬鹿だから!ま、適当に『ご主人様』を乱発してもいいけど。

 

まずは、アタシ達の出生の話からかな。

 

悪魔のアタシと天使は、気付いたら産まれてたの。アタシが初めて悪魔だと意識したのは…ご主人様が最初にイジメを受けていた小三の秋頃からかな~?天使はもっと早くて小二の夏あたり。ご主人様が新しいゲーム機を買って貰って一人で遊んでいた頃くらい!

 

アタシねぇ~知ってるよ?イジメられていた時、ご主人様がそれを必死で肯定しようとした結果、自分の正義感に酔っていたことを!

 

哀れ…哀れ哀れ哀れ!正義の味方を気取ったせいで、その代償のことをなーんにも考えなかった!代償はねぇ~~ズバリ『コミュ力の低下!』『ハートに深刻なダメージ!』

 

その正義は醜い信念へと変わる…ご主人様~、貴方のせいで何人もの人間を不幸の海に沈めたの?それでメンタル強くなったの? 今や薬飲まなきゃ、もう修繕不可能になってるじゃん!

 

イジメられていた時、何で『嫌だ』の一言が言えないのかなーって、アタシは不思議だった。それどころか、「友達はいますか?イジメを受けたり聞いたりする事はありませんか?」っていうクラスアンケートで、イジメを隠したのは元より、友達の一人すらいなかったのに、心配をかけたくないという思いで、「友達は?」って箇所に適当な陽キャの名前を書いておくという惨めさよ!

 

絶対に家族に心配はかけたくない…あまりにも強すぎたその信念は、イジメが無くなって数年後くらいに良いものだったと判明するんだけど…流石にそれはここで話すべきではないかな。ご主人様とその周辺に迷惑をかけそうだからね。

 

その強い信念をどうにかごまかそうとして、正義の味方として納得させていた。いや、そもそも「これはイジメではないんだ」と思っていたんだっけ?…忘れたけど、とにかく哀れとしか言いようがなかった。

 

結局、イジメの事について家族と話した事は一度も無かったね。イジメが発覚して担任が家に来ても、その事についてなーんにも話さなかったし。両親からは極たまに「可哀想な子」と言われただけだったかな。…まあ今思うと、それで良かったかもしれないけどね。

 

でもそれも、小三の頃初めてイジメられた時に自ら『嫌だ』と言えば済んだ話。それだから彼女いない歴=年齢なんだよ(笑)小三から中二までは「僕に対するイジメが発覚しないで欲しい」という思いが強すぎた。だからご主人様ったら、家の固定電話が鳴る度にビクビク震えていたの!本当に惨めで哀れだった!ビクビクするなら勇気を出せば良かったのに。

 

そんな勇気がないからずっとイジメられっ子だったんだよ。ご主人様が受けたイジメはどれも陰湿で「イジメられている」とか言わない限り、簡単にバレる事はなかった。そんな日常が小三から中二まで続いたの…小五の時は目に見えたイジメはなかったみたいだけど、誰とも遊んでいなかったよね?(笑)

 

陰湿なイジメって言われても、どんなのか分からないだろうから簡単に説明するね!

 

まず、小学校でのイジメは『キモイ』『臭い』『仲間外れ』『掃除時間中に誰もご主人様の机を持とうとしない』っていう定番のやつね。別に大した事でもないから、アタシもそれくらいしか語れない。あ、一個だけあった。小四でご主人様に対するイジメが発覚してすぐに担任が家に来たとき、家族は気を遣ってFを別室に待機させた。でもその部屋の中で色々な事を考えたせいで、寒くなって凍えていたんだよね!で、その翌日に熱出したんだった!まあちょうどその日は卒業式だったから元々休みで助かったけど。イジメが発覚して良かったはずなのに、正直ドMだな~って思った!

 

そうして中学生になる…周りの中学校より頭が良かったんだけど、それが悲劇だった。身体を傷つけられたり、金品を取られたりする事は無かった。けどアレはとにかく精神的に堪えるものだった。頭が良い故に陰湿だった。

 

中一のイジメは中々に苛烈だったね。一応イジメが発覚したのは救いだけど、あまりにあっけなかった。二月の終わりに、社会科の授業で歴史的な書物を見て触れるってのがあったけど、ご主人様がその書物に触れてからというもの、後の生徒が誰一人として触れようとしなかったから!先生がいるのに!そりゃ~バレるに決まってるじゃん。

 

そんな訳で、クラスメート全員にイジメられた。勿論傍観者がほとんどだけど、でも真に味方になってくれる人なんていなかった!イジメられた理由は多分だけど、『陰気臭いから』『臭いから、汚いから』『ご主人様の吐き出す空気はインフルエンザより害悪だから!』という理由かな。

ある日の理科の授業では”密閉された理科室”での授業だったから、ご主人様以外のクラスメート全員が突然マスクを付けだしたの!それまでほとんどの人が付けて無かったのに! そしてマスクを付けた生徒がこう言うの「先生、喚起のために窓開けていいですか?」って。理科の先生はマジモンの要注意人物だったから、それがどういう意味なのか気がつかなかったでしょうけど!

 

極めつけは、これかな。ご主人様は”ガチの陰キャ”なのに、誕生日当日に登校したら黒板に《誕生日アート》が前後ろに広がっていたの!他のクラスメートにはしてこなかったのに!どんな内容かは覚えてないけど、きっとご主人様を侮辱してたに違いないわ!  だってご主人様は同じクラスの部員にこう言うの。「僕の誕生日は、”一ヶ月前の同じ日”だから。だから誕生日は今日じゃない。みんな間違っているだけ」って!あ~なんて惨め!  

 

中二ではその巧妙さと担任がゴミ故にバレる事はなかったけど、ご主人様ったら男子生徒三人から執拗に”遊ばれてた”よね?

あ、でもでもそんな事よりもっと嫌だった事があったんだった(笑)それは、たいして可愛くもないブスなフェミニスト予備軍二人から「臭い」や「キモイ」「近づかないで!」って執拗に言われてたの。彼女達、ホントに反省してるのかな?

どうせ今頃はツイフェミにでもなって愚痴を言っているのが目に見えちゃう!そうじゃなくても、たとえば婚活系インフルエンサーにでもなって『弱者男性』や『チー牛』を馬鹿にしてインプレ稼ぎしてるゴミみたいな人間にでもなってるかもかも!

 

…もし改心してまともになってたら?ま~それなら若気の至りという事で許してあげてもいいかな。だって、ご主人様も同じ頃にとんでもない悪事を働いたから!でもその話はまた後で。

 

えーっと何話してたっけ?

そうそうイジメの話だった。イジメを受けていた時、ただ耐えるだけだった。

 

けど、そんな事よりももっと嫌だったこと、あったでしょ?

 

それはねえ~、ズバリ!『イジメが発覚した後の教師や生徒の反応』ね!義務教育期間中に体調を崩したのって、インフル以外だと、例のイジメが発覚した後に担任が家に来て、翌日発熱した一回だけ。つまりイジメを受けていた時は体調を崩さなかった。

 

イジメがバレた小三・小四・中一は、急遽授業に”道徳”が組まれたの。ちなみにイジメが発覚した時の道徳って、ご主人様はクラスから追い出されるの!そして誰か大人の人…担任かな?と話す。アタシとしてもまっったく記憶に残っていないから、大した事は言われてないはず…でもでも、これって担任としては一大事なんじゃないの~?

 

特に、中一の時の”道徳”はご主人様の印象に強く残っているはずよ。いつも通り隔離され、途中からクラスに入らされた時!生徒指導の先生(クラスの担任ではないよ!)が、ご主人様の筆箱を勝手に持ち上げていて、それを女子生徒の机に”バン!!”と叩きつけた。ご主人様の大切な筆箱なのに。イジメを分からせるために!その生徒指導の先生はご主人様の物をぞんざいに扱ったの!教師のエゴに使うなって話。

そして、叩きつけられた女子生徒は何故か泣いてる、見ると周りの女子達も泣いてる人がちらほら…(これは小学生時代も同じね!)。先生から隔離されていたから分からないけど、一体どんな指導をしてたんだろう!あ~怖い怖い!

 

その一部始終を見て、情けない事にご主人様は(「泣かせてしまって申し訳ない…」)と思っていた。けどアタシから言えば、”何故傍観者ごときが泣いてるの?”って。『本当はダメだと分かっていたけど、怖かったから言えなかった…Fの気持ちを考えると辛くて泣いちゃう』か~。でもでも、ご主人様が受けた辛さなんて理解できないよね(笑) そして内心では(『自分は悪くない!涙を流すほど反省しているのだから、自分は善人だ!』)と思っている。…アタシは、そんな偽善者の涙に吐き気がした!これぞ人間の闇!

 

泣きたいのはこっちだよって。思えば、イジメを受けていた時にご主人様は一度も泣くことはなかった。そこはご主人様の強いところかもしれない…対話していた天使は泣いていて、アタシがよしよししてたけど。

 

そしてイジメが解決した後で、偽善者達が『悪かった、ごめんね』と言って何事も無く接しようとする…今まで一度たりとも話そうとしなかったのに!それこそ、ご主人様はこの世で一番嫌な事だった!それくらいならイジメなんてバレなきゃいい…ってね。

 

 

でも良かったね~ご主人様がイジメる側に回らなくて。Fはものすっっっっっごく意思が弱いから、保身のためなら他人をイジメちゃうよね?

「Fにイジメられていた!」と誰か一人に言われたら全てがパア。今までの努力や社会的地位が幼少期の僅かないじめによって全て消え去るんだよ。ネット上には顔写真や家族構成までもが晒される。もうイジメられたくないから”見下されない”ようにしただけで『あの時私は無視され、イジメられた!全てFが悪い!』と社会に出た後に言われたら、やってられないって! 

 

あー、ご主人様がお隣の国に生まれなくて良かった! それで?イジメられるのとどっちが良い?

 

 

 

ご主人様は酔っていた!悲劇のヒロインに! その勇者気取りだがヒロイン気取りだか知ったことじゃないが、一言でいえば、”負け犬”なんだよ。

そのせいで大きな代償を背負う事になってしまう…一番の問題は、”他人の言動を何でも許せちゃう事!”

 

Fは馬鹿だから、何でも許せちゃうんだよね。無礼な態度や罵倒を受けても自分が悪い事をしたからと責める、挙げ句、ご主人様をイジメていた連中も最初は恨みはするが、最終的には家庭環境や背景を考えて同情しちゃう。見せかけの(…っていったらさすがに失礼?)反省を見せられたら全てチャラ!

 

 

高校生以降だって、仮に友達が遅刻してきたとしても、注意はするが結局許せちゃう。

こんな人間のクズみたいな性格だから、真に相手を思いやる事なんて出来ないんだよ。ご主人様は何でも許容できてしまうクズなんだよ!

 

あの事件にしたって、結局は自分は許せる事が相手は許せないって事。『なんでこうなってしまうの?』って独り言ばかり。アタシ、ご主人様が心の中で泣いている姿、何度も見ているから。聞こえないように言ったわ!(「哀れ(笑)!哀れ(爆笑)!哀れ(嘲笑)!哀れ(嗤)!」)とね!

 

 

だから、新卒で入社した際は細心の注意を払ってたんだよね。同期はご主人様含めて四人いた。だけどハッキリ言って全然馴染めてなかった。昼休み中に他の三人が《呪術廻戦》で盛り上がっている時、Fはと言うと『そうなんだ』『へえ~』だけしか言えてなくてアタシ笑っちゃった!だってエロゲしかしてこなかったんだから、エロゲシナリオしか話せないじゃん!でもダメだよね、そんな事言ったらセクハラだから。

 

だから、その間Fは適当な相づちを打ちながら(『研修用のzoomは何分前から接続しようかな…あ!温度計の水を入れとかないと!』)とか考えていたの!そんなんだから疲れちゃうんだよ。でも仕方ないよね、今までの人生でバイトもちょろーっとしかやってないしアレって軽作業も良いところだから、人と話す機会もほとんどなかったんだよね。哀れ!

 

そう言えば以前、ご主人様の醜態を天使から聞いて、アタシ笑いが止まらなくなったの。

とある分野の専門家である幼馴染みの友達に、いきなりLINEで合計20もの質問を送ったんだよね?ドン引き!一応、ご主人様はそれを送った後に後悔したらしく、その間にその優しい友達は20もの質問全部に答えてくれた。ご主人様も反省して『もう”こんな事”はしないから、反省している』って言ったんだよね。ちなみに、”こんな事”とは大量の質問の事。

 

その後、読書の話題(話しているのは大量の質問を送りつけた友達ね!)になって何か雑学的な知識をその友達に教えてあげた。そしたら肯定的なコメントが返ってきた。『ちょっと褒められて、嬉しいな』と思ったのか分かんないけど、ご主人様ったら調子に乗ったのか、翌日の夜中にとある本の感想をめっっちゃ長文、しかも写真付きで!合わせて”21”もの文章や写真を一気に送りつけたの!褒められたい一心で!

しばらくしたら返信が来る、「送りすぎ、通知がうるさいよ!」そりゃそうだよね~~でも、友達に言われるまでご主人様ったら本当に気付かなかったの、『送りすぎた』って事に!

 

大量の質問がダメなら、大量の読書感想文もダメに決まってるじゃん(笑)。また喜んで貰えるとでも思ったの? 幼稚!浅はか!ホントに陰毛あるの?(爆笑)

幼少期から謝る習慣はあるみたいで、とりあえず謝ってばっかり。でもそれってだた目の前の事について謝っただけで、「もう同じ”ようなこと”はしません、反省しています」という意味で謝罪した訳じゃないよね?またいつか、同じようなことをしちゃうかもね!

 

 

 

結局、イジメられたのも対人関係を拗らせたのも全部、醜い勇気…信念?(爆笑)のせい…フフフっ!

 

 

その醜い信念が、この国の医療費を増加させる原因になっているとも知らずにね。Fの主治医は僅か二分の問診だけで半年以上もの間ずーっと同じ抗うつ薬を出し続けるでしょ?内心行く価値無いと思っているでしょ? でも意思がないの! 意思がないから毎月五千円という貴重なお金が医者の懐へと溶けていく。しかも自己負担額は3割だから、残りの7割は国民の負担……ご主人様の醜い勇気によって、見ず知らずの人間のお金が搾取されちゃうの!

 

そんな問診でご主人様の何が分かる…?でもでも、他は全部予約が半年以上も埋まっているから仕方なーく、だよね?…分かるよそのくらい。多分この主治医は、1年後も、そのまた2年後も同じ抗うつ薬を処方し続けるに決まってる!あ~金がジャンジャン消える!

 

ま、入社前の段階から残業があると知ってたのに、いざ「残業が数十時間ある月もある」と先輩社員から聞かされただけで精神病むレベルのクソ雑魚だから、ホントどうしようもないね。

 

 「違う!主人は悪くない! 悪いのは全部いじめた奴…あいつらが主人を奈落の底に突き落とした!」

 

だまれ!天使という名の偽善者め! このアタシが一番ご主人様の事を思いやってるのよ!

ご主人様の天使を気取っているが、貴方だってイジメられている奴がいれば傍観するに決まってる。

 

大体、保身に走るのが人間の本質なの。「イジメ反対!」と声高らかに叫んでいる承認欲求お化けのクズな連中も、身近にあるイジメは黙認する。もし身内がイジメ加害者になろうもんなら、「○○が悪いから私の娘は悪くない!」とか言って全力で保身に走る!アタシ知ってるもん。ご主人様はイジメ加害者よりも、そんな”偽善者”が真っ先にこの世から始末されて欲しいと願っている事を!

 

だからなのかなぁ?ご主人様がとあるエロゲをプレイした時の話だけど、やってた時は感動して(笑)それなりの点数をつけていた。でも後から思い返すと、シナリオは偽善っぽいし、登場人物は全員偽善者ばかりに思えてきてだんだん吐き気がしてきたんだよね(爆笑)だからシナリオ0点!理由は気分が悪くなるから!イラストや音楽や声優さんは良いけど、0には何をかけても0。でもそんな事は言えない!言ったら叩かれちゃう。それでも外に吐き出さないと気が済まない!だから苦し紛れに出たご主人様の言葉は「この作品は読みにくいけど…感性の問題かな」だって!エロゲ如きで自己欺瞞に陥っているのアタシ知ってるよっ!

 

でも全ては感性の問題。エロゲすら満足に楽しめなくなっちゃったご主人様!一体誰のせいなんだろうね~

 

 

 「…主人をこんな感性にした社会を恨む。賠償金でもいいけどそんなのは証拠が無くて無理…、復讐…社会に復讐してやる!!!!」

 

ふーん、天使がそんな物騒でキチガイじみた言葉を言っていいの?

 

人間という生き物は自分勝手なの。

金や承認欲求を満たすためなら、他人を晒す事だって厭わないんだからっ!

 

勿論、アタシのご主人様も例外ではない。

 

中学時代のご主人様は、イジメられていた事ともう二つ、何をやるにも石橋を叩いて渡るくらい慎重だったし、怒られたくないという特性があったから、分からない事があっても誰にも聞けなかった。

中一か二…のどっちだったかな~忘れたけど、とにかく日常的にイジメられていた時に、ご主人様は他人が作った成果物を盗むという罪を犯したの!そしてその成果物を、「僕が作りました」と言ってその科目の先生に見せて、それを自分の評価にしたの!だったら、自分の成果物は?…恐らく全体の1割も進んでいなかったはず!でも居残りになるのを恐れた。だって大好きな部活にまで悪影響を及ぼすから!だから苦し紛れで盗んだ!今でも盗まれた被害者である生徒(しかもイジメとは関係のない他クラスの生徒!)の名前はハッキリと覚えているし、当然ご主人様も…ね。 

 

その時のご主人様は、クラスメートの中に友達なんていないから誰にも聞けなかった。だったら先生に質問すれば良いじゃん!…ってなるけど、その科目の先生って頭丸坊主の長身だったから怖くて聞けなかったんだよね。

 

ご主人様が日常的にイジメられていたとは言え、いくらなんでもこれはあんまりにも酷い事だと思う!アタシはこの出来事以降、ご主人様とは口を利かないし、今でも軽蔑してる…イジメられた悲惨さを充分に打ち消せる程の事件だったわ!

 

今じゃあり得ないでしょ?絶対にバレるはずでしょ?多分石ころのような存在価値しかなかったから、誰も気にとめてすらいなかった。お陰で完全犯罪は成立したわ!

 

アタシ、実は本気でバレたら良いと思ってた。

 

そこからちょっとだけ改心したらしく、高校からはちゃんと、同級生や先生に教えてもらえるようになったらしい。大学では話せそうな人を捕まえて、上手く立ち回っていた。働き出したら積極的に質問しだして、そこはちょっとだけ感心した。

 

でもそんな時に、ご主人様は新聞を見たの!

ご主人様のせいで被害にあってしまった生徒さんが、今年から学校の先生をやると知った時!ねぇねぇ~どんな気持ちになった?

 

あの忌々しい成果物を壊そうとでも思った?でも出来ないよね!だってあれはもう、”自分の成果物”として認識しているはずだから!

 

 

 

あ、そう言えば、ご主人様が一人寂しく醜態を晒していたの、思い出しちゃった!

 

二ヶ月程前に、こんな事があったの。その発端は、大量の質問を送りつけた幼馴染みの友達のある呟きだったね。21個もの文章や写真を一気に送りつけた人と同じね。

 

小中学校が同じだったその人がある時こう呟いたの!「小二までイジメられていて、小三以降はイジメもなくなり快適に過ごせました」だってさ。

それを偶然知った時、ご主人様は何したと思う?

 

 

本気で死にたがっていたの!でも怖くなって『死にたくない…死にたくない』って一人ベッドの中でずーっともがき苦しんでいたの!

 

因果関係なんて不明だし、小学生の頃なんて詳細に覚えてるはずないのに。

 

ご主人嫉妬してる!友達が栄光を手にしている中、自分の境遇があまりにも惨めすぎて死にたくなったんだ!

ホントならさ、『Fが全ての不幸を肩代わりして、幼馴染みの友達が栄光を手にする』というなんて誇らしいストーリーなのに!ま、ティンコンカンコンしないだけまだマシね!あ、ご主人様は有名人じゃなかった、てへ。

 

 

あ、まだあった。

ご主人様ったら、大切な妹さんにも嫉妬してる!

 

妹さんってよくご主人様に学校で楽しかった事を話してたよね?

そう、話すだけなら、まだいいんだよ。

 

でもでも、《お兄ちゃんは、中学校で楽しかった思い出とかある?》とか聞かれたら…部活以外、無いよね(笑)

 

『話すな』とか言えないから、部活ネタが尽きたら『よく覚えてない、忘れた』とか言ってごまかしてる惨めさ!

『そんな事を聞くから僕は不幸になるんだよ!』なんて、愛おしい妹さんには死んでも言えない言葉だからね~

 

あ、ご家族の事については触れない方が良かったかも。とりま毒親じゃなくて良かったね~とだけ言っておこうかな。

 

 

醜い勇気や信念のおかげで得した事なんてなーんにもない!勇者や悲劇のヒロインにでもなったつもり~?

逆にマイナスな事にしかなってないじゃん!変な感性になっているし、対人関係は拗らせてばかり、すぐに退職して立派な親不孝者にもなっている。…挙げ句犯罪行為までしてるし!…

 

 

 

…結局、勇気や信念ってそんなものなんだよ。

人間ってそんなもんなんだよ。

ただただ、醜い…

 

 

 

ご主人様はもう忘れているだろうけど、部落差別って言葉…聞いた事ある? もちろん今は無いよ。でも聞くところによると、差別があった地域がある学校ってイジメがないらしいよ。小学校一年生から”ちゃんとした”人権学習を行っているから、差別はダメっていう意識は他の地域より高いみたい。

 

だからたとえ学校が荒れていたとしても、イジメはほぼ聞かないらしいって。

 

でもご主人様が生きているのは都会だから!当時の校長や教育委員会なんて皆保身ばかりしか考えない!問題があったら首が吹き飛んじゃうから隠蔽ばかりだよね(笑)だからイジメは見過ごされちゃいがち!犠牲者が出ないと動かないなんてどうかしてるわ…今は知らないけど。

 

『そんな事言ったり思ったりしたらダメですよ』と皆口にはするけど、内心では差別意識満々、平気で人を見下す…これが資本主義の本質ってやつかな?教えて!インフルエンサーとかいう社会のデブリみたいな人達!

 

 「…悪魔が言うとおり醜い人ばかりだとしても、大多数の人は働いているじゃない!主人も回復したら働けるはずよ!」

 

ご主人様は、もう人生ハードモードだよ。

 

一般企業に就職したところで、一瞬でも油断したらその隙に何かをやらかす。そしたら人間関係崩壊してジエンド。懲戒解雇か、病んだから自首退職しろと言われてサヨナラ。

 

逆に全力で気を張り詰めながら働くと、その分だけ疲れてしばらくすると病んで退職。迷惑なんてかけられないから、休日も仕事の事しか考えきれない!

 

そして療養してまた就職して…以下死ぬまで無限ループ!

そのスパンはどんどん早くなり、環境もどんどん劣悪になっていく。

企業側からはお祈りメールを通して「人手不足だけど、ASDで直ぐに病む人間なんて欲しくない」と暗に言われ続ける。あぁ新卒カードで就職してた頃が懐かしい!

 

 

ご主人様はずーーーっと!病む人生なの!あの巨大な代償のせいで!

 

 

だからもう普通に生きる事は不可能!一般企業に再就職する事は諦めなさいな。ほら、Fは芸術家タイプの人間だと思うわ!

 

 「それじゃ、まるで私の主人が社会不適合者だって事になるじゃない!」

 

こ~ら、社会不適合者って言わないの!ま、事実じゃん。今無職だし。

 

ご主人様はその巨大な代償故に社会不適合者まっしぐら!

だけどアタシから見れば、充分芸術家に相応しい人間よ!

 

 「…芸術家タイプなんてごくごく一部の本物を除けば、努力をする訳でも何かをする訳でもなくただひたすら自分の境遇を嘆き、他人や政治の愚痴を吐き捨てるだけのもの寂しい人間ばかり。そんな人達と私の主人を一緒にしないで!」

 

でた、天使という名のウジ虫め。

 「どいつもこいつも発達障害のマイナスな面だけ語りやがって、いっつもだ!その長所とやらを生かすにはどうしたら良いのかってのをもっと発信してよ!」

 

…天使ったら、芸術家タイプの人間が、発達障害を持ってるって認識になってる。その認識は、ちょっと怖いかm

 「 うっせーなっ!!!!!!!!!!」

 

 

 

 「この世の中のが怖いだろうがよ!!!!!!!!!!」「ボゲ!!」

 

 

 

…あ~メンタル強かったはずなn

 「クソォォォォォ!!!!!! 限界超えてんだよぉぉおおお!!!!! 何がメンタル強いだよ!!!!! バカッ!!!! 同じ話ばかりクソかてめえは!!!!!!!」

 

 

(…天使じゃなくて、特級呪物じゃん)

 

 

 「しかも!!!」

 

…あの~今まで、何喋ってたっけ?

 

 「どいつもこいつも発達障害のマイナスな面だけ語りやがってって事なの!」

 

あ、はいはい。

 

 「しかも!!発達障害がある”当事者までもが”マイナスの事しか言わないの!しかも、中には長所である事なのに、まるで短所のように語る!」

 「ある時、私の主人がそんな呟きをみて『この長所って、社会には受け入れて貰えない…僕ってダメな人間なんだ…』って嘆いてたの…」

 

「クソが!!!!!!嘆かせたのはそこのお前のせいなんだよ!!!!!!!何で誰1人として前向きに考えようとしないんだ!!!!」

 

「…不幸なことだけ呟いて、同情されたり傷のなめ合いをしたいだけ?」

 

「ネガティブ呟きするなら、それと同じかそれ以上に、ポジティブ呟きしろよ!!!!!!!!!」

「そんなに足を引っ張りたいの?貴様は!!!!!!!お前達のネガティブな呟きによって、ますます…『発達障害=悪』という認識が強まって自分の首を絞めている…ということに!!!!!!、…いいかげん、気づけよ!!!!!!…グスン…」

 

 

…よ~やく本性を現したのは良いとして。とりま、よしよししてあげないと…

 

 

(…天使を慰め中…)

 

 

(……天使が泣き止む)

 

 

…そんな事を主人に唆していないでしょうね?SNSで炎上しちゃうよ~

 

 「する訳ないじゃない!!!!!」

 

ごめんごめん!アタシが悪かったから

(紛い物の天使でも、堕天使までは落ちないか)

 

 「…つい、熱くなっちゃって」

 

そもそも、私が言ってるのは、ご主人様は”芸術家タイプの人間”ではなくて、”本物の芸術家”としての適正があるって事。

言葉を理解出来ない天使ちゃん、ちゃんと最後まで聞こうn

 

 「たわけボケ!!!!」「…ごめんなさい、今のは私が悪いから…静まらないと」

 

……芸術家適正は、随所で見せてきているじゃん。

まずご主人様は感受性がバケモノ過ぎて、聴いている曲によって感情が七変化しちゃう!あと、「ほんのちょっとだけ伝えようと思った」と釈明して、夜中友達にいきなり1500字の文章を送りつけちゃう! 

 

もうLINEは消しちゃったから正確な文字数は分からないけど…ご主人様ったら、体調がおかしくなってから退職させられるまでの間、今の心情とかを6,7000字位上司に送りつけたっけ?

 

あと、就活が終わった直後に『社会人になったら恋愛する暇なんてないから今のうちにしないと』って一心でとある女性を急に好きになってた!あの時は嫉妬というより焦った。だって妄想が行き過ぎて、アタシと天使を忘れていたんだから。でもそれも、寸前のところで収まった…つまり未遂に終わった。もう少しで全てが終わるところだった…ホッとしたよ…

 

 「あ…あれは、環境が変わるという事に、主人は弱いのかも…」

 

ご主人様も、アレはさすがに反省していたね。

 

…とにかく、そんな特性は一般社会が求めているものではないの。

 

 

ご主人様への道はだだ一つ。

 

物書きになりなさい!今すぐに!

 

 「…芸術家なんて成功するのはほんの一握り。真っ当な人生を送らないと」

 

 

アタシは本気だから!だって、物書きが一番向いている職業だと思うから!

 

何なら、アタシがご主人様の身体を乗っ取って芸術家として覚醒させたって良い!…は、言い過ぎか。

 

 「…私は、しばらくの間は主人の自由にさせてあげたい。急に覚醒させても、ちょっと困ると思うから」

 

ま~そうだね。ちょっと様子を見ることにするよ。

 

 

…なんだか適当に好き放題喋っていたら、疲れちゃった。

あと~ご主人様って言葉ばっかり言っちゃったけど、許してね!久しぶりに話せたんだから!

 「私も、ちょっと疲れたかも」

天使ったら久しぶりに覚醒してたね。

 「あれだけ聞かされると、辛くなるよ」

アレはちょっと、申し訳ないと思っている。

 「でも、ちょっとスッキリした。ほら、飲み会の邪魔なんてしちゃダメだからね」

それなら良いじゃん。

 「飲み会…私も楽しみだから」

それはアタシも同じ。悪魔だからって、そんな鬼畜な真似はしないよ。

 「そうだね、そこは私も信頼しているから…それじゃ、私も寝ようかな」

おやすみ~

 

さてアタシも寝くなったのでねま~す。それじゃ、まったね~

 

 

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お昼のおやつをちょっと過ぎたあたりに起きる。天候は晴れ、目覚めはまずます、体調も普通、夢は特に見なかった。

 

「…ま、悪魔がガス抜きできたならそれでいっか」

 

時計を見る。

まだ2時間くらいは余裕がある。

 

その後は何も食べずに、ただひたすら読書で時間を潰す。

 

絶食する理由は、

「多分、顧問の先生の奢りだから」酒は飲めない代わりに、焼き鳥あたりを食いまくる…全然食えないのでは顧問の先生が心配すると思うから。

 

そして17時30分となり、準備をし始める。

リュックの中にはモバイルバッテリーに充電用のコード、あとは…腕時計。約一年ぶりに持って行く。とりあえずリュックの中に入れておく。

今日はこれから寒くなるから、ジャンパーに手袋を入れておこう。

Mとの待ち合わせ場所は、電車で来るので駅前のコンビニ。ちゃんとLINEしておく。

 

よし、”これだけ”でいい。準備は整った。

 

 

18時ちょうど

駅近くのコンビニにて友達であるMと合流する。

Mは顧問のためにお土産を持参してきていた。流石、6年と半年間も同じ恋人と付き合っているリア充は気遣いが違う。

 

Mは今春から建設業界に就職する。理由は『建設業界に進む事が夢だったから』らしい。ネットで調べたら色々出てきて不安だったが、それでも選んだのだから尊重したい。まあ大学での苦労は知ってるから、多分大丈夫だと思う。たぶんね。

 

雑談をしながら、18時30分に同じく電車で来た顧問の先生と合流して居酒屋に入る。数年ぶりだったが、ほとんど変わっていなかった。がっちり握手を交わした。

 

僕はお酒が飲めないので、シラフの人間である。とりあえず時間管理だけはしておこうと思い、1年ぶり位に腕時計をつけて勝手にタイムキーパーを務める事に。でもそれはちょっとした心がけ程度で、大半は早く飯が食べたかった。

 

そうして僕たちは飯を食べながら、色々な…飲みの場でしか出来ないような話で盛り上がった。その間、腕時計で時間を確認しながら。

 

そしてほぼ予定通りに、19時20分からHさん。19時30分からOさんとビデオ通話をした。

 

Hは現在研究員として活躍しており、将来ノーベル賞を取るかもしれない本物の天才だ(そうOも言っていたし)。「飲み会を開くけど、ビデオ通話できそう?」と、実に数年ぶりにLINEをしたら翌日の夜に返信が来たのには驚いた。そして何より僕を削除してなくて嬉しかった。当時の面影も残っていたし。研究所らしきところから通話に応じてくれた。

 

Oは、ビデオ通話した瞬間に驚いた。まさか私生活でも眉目秀麗とは…流石プロの役者だなと感じた。あまりの変わりように、僕以外のMや顧問・ビデオ通話越しにHも驚いていた。成長したんだな…としみじみ感じた。

 

想定より少しだけ電波が悪かったが、特にこれといった問題も無かった。

飲み会はビデオ通話で参加したHもOも含め、皆笑顔だった。

 

ビデオ通話は19時50分頃には終わり、また3人で飲み食いながら話し始めた。

 

僕はここ数ヶ月間、多種多様な本を読んでいる。そのおかげか色々な物事に興味関心を抱くようになった。だからMや顧問の先生の話は全て面白かった。顧問に対する感謝の気持ちの裏で僕自身が抱いていたわだかまりも解消された。とにかく、楽しかった。楽しすぎて僕だけ一度も離席しなかった。 

 

先生は興味深い話もしてくださった。あまりにも興味深い話だったので「覚えておきたい」と思い、先生の隣で時々こっそりとスマホでメモしていたのは多分バレてない…対面に座っていたMにはバレてたけど。

 

そうして、話と飯は進み、もうそろそろ終電の頃合いに。

僕は近場に住んでいるので大丈夫(飲み会が僕の近所で行われた理由は、僕が今無職だからという気遣いからだと思う)だが、2人は電車で来ている。

 

終電に間に合わせるには23時5分までに出る必要があるから、22時時55分までが一端の区切り。

そうして、飲み会の金額合わせて”12,900円”は(当初の目論見通り)全額先生の奢りとなった。

 

その後僕の提案で、三人で写真を撮ることにした。手に持って撮ったので少しブレてしまったのだが、それもまた味があっていいと思った。

 

先生と別れてから、まだ時間があるMと少しだけ話した。

その際Mが、

「君が顧問の先生と麻雀やギャンブルの話で盛り上がるとは思わなかったよ」と言った。

 

例の競輪選手が配信でやっていたのがきっかけで、一時期ネット麻雀にハマっていたのだが…その話で盛り上がるなんて思ってもみなかった。当初はルールを覚えるのに苦戦したけど、こんなところで生かされるとは!

 

それから少しして、Mと別れた。『いつでも連絡して良いよ』とは言われたものの、君って全然LINE見ないじゃん!…でも、それで良いと思う。僕は君とのLINEは”自由帳”だと思っているから(苦笑)

ま、遠方の地でも頑張ってくれ。あと、そろそろ未来の事を考えて良いと思う。マジで。

 

 

帰宅したのは日付が変わる少し前。

僕にとってあまりに興味深い話だったので忘れないようにと、飲み会の内容を1時間20分かけて、文字に起こした。

メモや記憶を頼りにし、まさに一心不乱で。…結果、総文字数は4000字を超えてしまった。ま、それだけ面白かったという事で。

 

折角なので、飲み会に来られなかったHとOにこの文章を送りつけた。勿論一気にではなく、10数回に分けてスクショしたやつを。…出来れば世辞ではなく本心から感謝されていると願いたい。

 

その後、ようやく着替えや色々な事を済ませる。それが終わり次第、ボーッとする。気がつけば時刻は深夜3時ちょうどだった。

 

良かった、腕時計とモバイルバッテリー以外の”余計な物”を持ってこなくて。

一瞬だけそう思った後、僕は部屋に置かれている白が基調の物体を眺めた。

 

「…今日はエアロバイクは無理だな」

エアロバイクは、言わば、室内で出来る自転車である。

去年のクリスマス頃に購入し、継続してこぎ続けた。その結果、合計距離は一昨日で600㎞に到達した。…一応言っておくが、僕は自転車競技の経験は皆無だ。

 

運動不足解消に役立っているし、体重も薬を飲む前と同じくらいに落ちてきた。本で知識を身につけ、エアロバイクで体力をつける。『こだわり』は、”融通が利かなくなる”という短所の代わりに、上手く利用すると”継続性”という大きな長所になり得るのだ。

 

でも、今はいいや。少し食べ過ぎたようだしもう深夜だ。今の時間に激しい運動をするのは良くない。少し間をあけて後日またやり始めよう。

 

いつものルーティンをこなし、寝床につく

 

飲み会は本当に楽しかった、でも寝て起きたらいつもの日常である。

 

ふう…まあ、今の僕は孤独ではない。それは間違ってはない。

 

ふと、飲み会に参加したメンバーを振り返る。

 

Mは、人手不足著しい建設業界期待の星として。

Hは、この国の未来を担う研究員として。

Oは、人々を魅了するプロの役者として。

顧問の先生は、今どき少なくなった気骨のある教育者として。

 

 

皆凄いな、地道に努力して頑張ってるんだな…

でも、僕は何になるんだろう?

このまま置いて行かれるのだろうか?

 

 

僕の人生を振り返ると、イジメられたとは言え、家族や友人には恵まれていると思う。

 

うーん…本を読んで少しずつ知識を付けるしかないか。

 

小説家……いや、『そっ帝』みたいになりそうだからダメだな。文章能力なんてないし、滑り止めで受かった大学ですら、国語能力は補習を受けさせられる程には落第だったし…

でも、物書きに興味がない訳ではないかな。それに読書のおかげでちょっとは知識がついたはずだから。…前向きに考えて良いかもしれないな、業界調べの一環としてね。

 

 

「…とにかく、僕も今できる事を頑張らないと」

そう呟いて消灯し、ゆっくりと目を閉じた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

飲み会が成功して良かった~ご主人様は飲めなかったけど(笑)

 「私も同じ感想だよ。でも天使的には…仕方ないとは言え、主人がお酒を飲めなかったのはちょっと残念だったかも?」

その代わり、飲めない事を良いことに暴走してたよ~

天使も見たでしょ!ご主人様の天才さを!飲み会ごときの内容を全て記憶し、帰宅後即座に文字起こししたのだから!

 「飲みの倫理には反してそうだけどね、アハハ…」

 

…アタシ、天使の教育は間違っていなかったと思うの。

ご主人様がイジメられていた時・独りぼっちだった時でもずっと側に居続けて、『学校に行きたい』と思うFの気持ちを尊重しそっと後押ししてあげた。皆勤賞を取れたのは貴方のおかげよ。…もし不登校になっていたら、誰とも関わる事は無かったし…そしてあの飲み会は無かったのだから。

 

 「もーどうしたの?昨日は『偽善者め!』とか言ってたのに」

久しぶりに話したから調子に乗りすぎちゃった、てへへ

 「『クズでどうしようもない』とか言ってたのに」

んーちょっと言い過ぎちゃったかな。でも、天使だって覚醒してたじゃん。

 「…たまに言いたくなるの。もちろん、主人には言ってないよ」

 「悪魔だけに言えることだから。何でも話せるし、信頼しているから」

そりゃ~そうでしょ!あんな事をアタシ以外の人が聞いたら発狂して台パンしちゃうからねっ!

 「でも、悪魔だって主人の事を貶してたじゃん」

だって、それが悪魔としての仕事だから

 「醜いとか言ってたし」

それも仕事のうち…

 

でもさ、

本当に醜かったのなら、ご主人様の回りには誰もいないよ。

 

ご主人様はそのASDぶりを発揮して色々な人に迷惑をかけていたかもしれない。

でも、ご主人様の人生を振り返って見ると、こんなにも多くの人達と交流を深めた。そして、その人達を心から大切にした。

 

”ご主人様は何でも許せちゃう”って言うのは、言い換えればそれだけ周りの人達を大事にしていたって事。

 

だって、いくら嘆いたとしても過去は変えられないから。

ネガティブな事を受け入れ反省し、一方でポジティブさは何よりも大事にする。これしか幸せになる道はないと思うからね。まだまだ人生は長いよ~

 

 「主人の人生はまだまだこれからだから、いくらでもやり直せる。今はチャージ期間中だね」

 

…でも、これから何をすればいいか本気で悩んで…もしかしたら結論が出ない時が来るかもしれない。

 

その時は、アタシが”芸術家スイッチ”をそっと押してあげよっかな。

 

 「芸術家スイッチって、なんだか可愛らしい。それに、”そっと”ってところに優しさを感じる」

だって、アタシはご主人様の事が好きだから!

 「悪魔なのに?」

そう、悪魔でも。

 「私も、主人の事が大好き。辛い事を乗り越えたその勇気を尊敬しているから」

 

だね~

…うーんと、アタシはねえ~

 

 

 

 

 

 

《誰よりも優しい心を持っているご主人様が、世界で一番大好き!》

 

 

 

 

                                          

                                    (fin)

苦しい…

ロカとしてただただ苦しい…創作物に極限までのリアルさを出すために、同じ曲を2日中計26時間聴き続けている。魂にナイフを突き刺しまくった。そこから溢れ出た血で書いている。小説の書き方なんて知るか。知る必要なんて無い。もう気が狂いそう…全てが憎い…吐き気がする。早くこの苦しみから脱したい。もう少しで全てが終わる。それまでなんとか。

小説の書き方なんて知らんが小説を書く。

こんにちはロカです。タイトルの通りです。私は小説なんて知りません、センター小説は確か0点です。ゴミです。ですが何となく書きたいな~と思い適当に書いたら意外と書けてしまいました。

 

その結果、およそ1.5万字程の短編小説が出来上がりそうです。小説の書き方を調べたり教えて貰ったりした事は一切ありません。ですが魂は込めました。本作品は取材を元にしたフィクションですが、書いていてとにかく辛く、泣くこともしばしばありました。ですが中々に良いワードが出てきた時は面白いなと思いながら書いています。

 

三月十五日 夜八時にこのブログ上に出します。処女作です。小説の書き方なんて知りませんが、とにかく魂だけで書いています。ご期待下さい。

乙りろ脚本家は何故『赤と黒』を隠したのか?云々

 

※以下の文章は『乙女理論とその周辺』のネタバレが含まれます。全クリ後にご覧下さい。

 

 

 

 

 

 

…と言ったところで本記事はマニアックの極みなのですけど。

 

 

 

 

こんにちは。この文章を書いていますのは前回に引き続き私****です。

 

今回は「エロゲはシナリオ命!ガチで私はシナリオオタクだ!」という人向けに話をします。本記事がエロゲシナリオを批評する際の参考になればと思います。

 

その前に以下のブログを見ていない人がいればまずそちらを。

 

roka-p2422.hatenablog.com

 

roka-p2422.hatenablog.com

 

 

なーーーがい。長いです。それだけリリアや華花、そして『赤と黒』は乙りろにおいて大事だったと言えるでしょう。

 

ですが、モチーフになったであろう『赤と黒』は本作においてほんの僅かしか書かれていません。

 

以下、引用です。

 

【リリアーヌ】「『赤と黒』に登場するマチルドをイメージした『愛です」

 

【リリアーヌ】「彼女の愛は苛烈かつ純情であったと私は思います。私はまだ初恋を知りませんが、だからこそまだ知らぬ恋に憧れる余地はあると思います」

 

たった三行です。何故三行しか書かれていないのでしょうか?

 

 

さてここからは、乙りろ脚本家に(空想上…そう、空想上です)ミニインタビューをしてみましょう。(うわぁナチュラルに某創始者のイタコ芸してる…コピペしているロカは今ドン引きしています

 

ーーーーーーーーーーー

「」内は筆者、《》内は脚本家(空想

 

 

「乙りろは『赤と黒』をモチーフにされていると私は感じました」

 

 《確かに、乙りろは見方によっては『赤と黒』をモチーフにした作品と言えるでしょうね》

 

「私は思うのです。何故本作で大事な役割を果たしたであろう『赤と黒』について、詳細な言及を避け隠されたのかなと。 それを隠してしまわれますと、ライターとして適切な評価がなされないと感じますが…」

 

 《前提として、あの部分は評価を求めて書いている訳ではないのです》

 

「それは私にも何となく理解出来ます」

 

 《実際、隠したのには二つ理由があります》

 《まず一つ目に、あのデザインコンペの時点でリリアーヌが悪役だと推測されかねないからです。マチルドを調べたら、相当傲慢な女だからね》

 《そして二つ目に、読者に『赤と黒』は大した物語ではないと認識させるためです。作中に登場した『赤と黒』『マチルド』だけなら、私(脚本家)が作った”架空の物語”として認識されるかもしれない。これが主人公の『ジュリアン』や作者の『スタンダール』を入れてしまうとその認識は非常に困難となります》

 《『赤と黒』のあらすじを全く説明しなかったのも、そのためです》

 

「なるほど、読者に配慮するが故だったんですね。確かに、『赤と黒』は”サブキャラ”のリリアーヌがモチーフとして使用していましたから。それを詳しく説明すると『どっちが主役なの?』って読者の方々が感じてしまいそうですよね」

 

 《購入者が第一に望んでいるのは、あくまでも『朝日(遊星)とりそなの恋愛模様であってそれ以外ではないはずです》

 

「そうですね。間違いないと思います」

 

「隠された理由は理解出来ました。ですが、ライターとしての評価はどう感じていらっしゃるのでしょうか?どのような思いで制作されたのですか?」

 

 《一番は、購入して頂いた読者の方々に楽しんで貰える事。脚本家として評価されたいと思って『赤と黒』を詳細に書いた結果、ネタバレしました…ではシャレにになりませんからね。読者の方々がそこに触れずに脚本面で不評を仰るのは織り込み済みです。それを前提に脚本を作っていますからね》

 

 《ただ、『赤と黒』について君(筆者)以外のどなたも触れないというのはちょっと以外ではありましたけど》

 

「ありがとうございます」

「私としては、自分の評価を犠牲にして制作する姿勢は”購入者ファースト”で美しいなと感じました。中々真似出来ない事ですし、充分賞賛されてしかるべきだと思います」

 

 《****さん、作品の中身を批評するのなら分かります。ですが、それを美しいなどと賞賛するのは見当違いも甚だしいですよ》

 

 

これはあくまでも空想上のインタビューです。実際のインタビューではございませんのでご注意を

 

ーーーーーーーーーー

 

こうして、脚本家からは私の美しさを否定されてしまったのです。

 

それは私が未熟で傲慢だからかもしれない。

 

ですが、

 

『自身の評価を犠牲にしてまで、購入者ファーストを貫き通す』

脚本家のその姿勢を、私は自信を持って

 

 

「美しいんだ!」

 

 

と声を大にして叫びたい。

 

 

 

 

こう言うと、もしかしたらこう思う人が出てくるかもしれません

「****って批評では脚本家を肯定しかしないけど、もしかしてアンチコメントに弱いから賞賛しているだけ?」と。

 

つまり、『自分の創作物に対してアンチ的なコメントが書かれたら嫌だから、予防線を張るために賞賛しているだけなのでは?』

 

と言う事です。

 

 

お答えします。

 

【馬鹿アホ死ね、天狗になってるだけ、見る価値がない、パクリだろ?云々】

私が創作物を出したらどしどしコメントください、好き勝手書いて構いません(「お前の家族を殺す、個人情報をばらまく」といった身内に危害を及ぼしかねないコメントは然るべき処置を取らざるを得ませんが)。何より貴重な時間を割いてコメントしてくださる訳ですから尊重されて然るべきです。

 

私が何よりも恐れるのは『無関心、無視』ですので。

 

 

 

以上で長きにわたった乙りろ批評の全てを終了したいと思います。多分ロカもこれ以上書くことはないでしょう。

 

 

 

 

さてここからは批評について語りたいと思います。

 

語るにあたって、とある作品をほんの少し紹介する必要が出てきます。

それは『サクラノ刻』です。

 

 

 

 

とは言え言及するのは麗華だけですし、あらすじ等ネタバレする事は書きません。ですが念のためです。

 

 

 

 

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さて、私はロカから

 「中村麗華を地で行く人間だね(苦笑い)」

と言われました。

 

 

言われた時は「ふーん」でしたが、

調べてみると、確かに私は彼女の考えと似ているなと思います。

 

 

以下の文章ではそんな事を指摘してきたロカ宛てに(ロカ1人だけです)、そして自戒の念を込めてコメントを残しておきます。

 

非常に辛辣で本能的なコメントになります。苦手な人はここでブログを閉じてください。不快なコメントなんて見たくないという人は今すぐ閉じなさい!

 

 

 

もし興味があるという人がいれば『中村麗華』のような人間なのだと思って見て頂けると幸いです。

 

 

 

 

 

あ、その前にロカに伝言

「ロカよ、SNS上での振る舞いには気をつけろ。絶対にレスバを仕掛けるな。お前は誰よりも低脳で見下されるべき人間だという事を忘れるなよ(センター国語四十点の分際だからな)。後は対話を重視せよ」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ロカのアレはただの趣味に過ぎない。ただ綺麗事を並べただけ。

大抵は作品を上から目線で批評し直感的に批判する者ですよ。

 

創作者志望のくせして一般人レベルの批評家でいいのか? お前はそんなコメントで満足するのか?あまりにも批評を軽視し過ぎている。

 

 

作品に対するネガティブなコメントは、どうしても直感的になりやすい。それ故に、肯定的に評価する第三者から見ると「なんで?」となってしまう。…具体例を出すか。

 

君が常々口にする「恋愛描写が足らない」とはどういう事なのか。具体的にどこまで書けば気が済むのか、言ってみろ。…具体性がない批評など、意味は無い。

 

いや、意味が無いは大げさだ。

だが”記憶に残る批評ではない”、そうだろう?

 

 「このくらいのシナリオでも感動出来るんだな」

 

上から目線極まりない発言。ならお前が作れ。このくらい以上のシナリオが作れるんだろ?さっさと作って世に出せよ。「このくらいのシナリオでも感動出来るんだな」と言ってやるからさ。

 

 

直感的でつまらないネガティブコメントによって、ライターの筆を折らせる気か…?勿論ポジティブコメントなら直感的にコメントしてもいい。

 

だが、ネガティブコメントをするならそれ相応の覚悟を持て。そうじゃないと正確に伝わらない。論理的に分かりやすく。とは言え、明らかに質の低いゲームは例外かもしれないが…それならば改善点を示せば良い、二次創作として。その作品に対するリスペクトが少しでもあるのなら、絶対に。

 

 「つまらなかった」

そうですか…以上。それで終わりなのだから。

 

 

 

 

実は私がロカから話を聞く前に、知人にあるメッセージを送りました。

 

赤く塗りつぶされた箇所は(私、俺、僕、奴のどれか)が入ります。色々推測されないようにするためです。

(この本とは当然『赤と黒』です)

批評家としては、とにかく悔しかった。

 

世界は凡庸な人間で溢れている。

『乙りろ』のアレは奴以外誰一人として触れる者はいない。

そのせいで脚本家のスタンスが変わってしまったのなら…残念でたまらないし本当に申し訳ない気持ちで一杯になる。

 

直感的にネガティブなコメントをするのなら、例え矜持を持った脚本家であってもそのようなコメントを見れば思うところはあるだろう…人間なのだから。

 

 

 

余談(であり、肝になる箇所)ですが、あのLINEを送った相手(ここではaと記します)は私の数少ない知人です。

aとは旧知の仲で、現在はプロの芸術家として活動しています。

 

 

ある時、私はワクワクを抑えきれずにaの芸術作品を今か今かと楽しみにしていました。

「今回はどんな作品かな?きっと凄いんだろうな」

 

 

しばらくして、aの芸術作品が世に発表されます。

他の観客は皆、肯定的なコメントを残していました。

 

 

ですが私はその芸術作品を見て思ったのです。

 

「これは期待外れだ」と。

 

目が悪いからではないのか。たまたま気分が優れなかっただけではないか。

でも何回見ても、感想は同じ「期待外れ」

これ以上言うとaの職業がバレそうなので言及は避けますが、とにかく強い違和感を感じたのです。

 

「aの今後のためにも、どうしても伝えたい」

創作の手を止め、これは書くしかないと思いました。

 

でも、

「もしこの批評で関係が壊れたりしたら…」

 

私も人間ですので、そう思うわけです。

 

「否定的な内容を送るのは…ちょっと怖いな」

 

だからこそ、その理由は第三者が読んでも納得出来る位論理的でなければなりません。合計二千字を費やし、その日のうちにLINEで送りつけました。

 

 

さて、”麗華を地で行っている”とロカに言われたので確認してみると

「彼女と本質は同じだな」と呆れました。

 

それと同時に、涙が溢れてきました。

 

私がaに勇気を出して「期待外れだった」と言えたこと、そして、私の批評に対してaが『全て正しい』と受け入れてくれた度量の大きさに今更ながら感動したのです。

 

aにも芸術作品を作る過程で不満があったようです。ですが、裏でどんな事があろうとも私は芸術家の責任だと思います(そんな事観客には分かりませんから)。賞賛を受けるのが芸術家なら、批判されるのも芸術家でないと釣り合いません…明確に裏方がやらかした場合は別かもしれませんが。

 

それら全てを含めた上で、aはただ一言

『全て正しい』と。

 

 

プロの芸術家って凄いな、と感じました。

 

 

私は思うのです。

 

「美しさは、発見されなければならない」

 

それと同時に

 

「醜さがあれば、それを論理的に伝えなければならない」

 

と私は言いたい。

 

論理的に、他の人に分かりやすく…です。そうすれば、ただ吐き捨てるだけの感想よりも、少しは伝わるでしょうから。

 

芸術作品において自分が美しいと思うものは、美しいと胸を張る…たとえ誰もが目を向けない美しさであったとしても、徹底的に調べあげ…そして堂々と発信すれば良い。

 

そして、醜いと思うものがあれば論理的に伝える。そこに作品以外…ましてや間柄とかは一切関係ない。醜いものは醜いと自信を持って言う!しかし、ただ醜いと言っただけでは「それってあなたの感想ですよね?」となり注目される事はない…これは美しさも同じ。だから客観的に伝わるような論理性が必要となる。

 

 

芸術家のaは最後にこう言うのです。

 『****の言うことは全て正しいし、真っ直ぐで素晴らしい感想だよ』

 

当時の私は、その言葉の意味をあまりにも軽く捉えてしまっていた。本当に「ありがと」程度です。

 

今になって思うのは、例の批評は「どうして期待外れと感じたのか」というマイナスの事しか書いていなかったので、aは内心では怒りたい気持ちもあったかもしれないという点です。

それでも素晴らしいと言ってくれた、懐の深さに私は心打たれました。

 

 

私は批評家として大事な点は二つあると思います。

それは

【論じる事が出来る”知識量”】

【美醜を伝える”勇気”】です。

それを持ち合わせるに至った私は、批評家として少しは成長したんだなと思いましたね。

 

 

さてここからは批評家ではなく、一創作者としての話です。

 

私は「期待外れの芸術がどのようなものなのか」知っています。だから愚痴を吐きたくなる気持ちも理解出来ます。今回の件は批評者として、その気持ちを身をもって実感しましたね。これは創作者としても肝に銘じておきます。

 

今一度言っておきたいのは、購入者がフツーに娯楽として楽しむのなら「つまんね」とか「クソだな」だけでも勿論構わないという事です。娯楽の批評にまで論理を求めだしたら息苦しすぎますから。

 

だがお前は違う!…あくまで今までの文章は、創作者志望のロカ宛てですからね。

 

 

 

閑話休題

 

 

私の創作者としての目標は、「新しい美を見つけ出し、提示する」事。賞賛を望んで書いてはならない。全ては面白さのために。全てを犠牲にしてでも。

 

斜陽だの言って、まだやってない事は沢山ある。ルールの限界を攻めた作品がどれだけ存在する?

 

エロゲの素晴らしさ、そしてまだ見ぬ可能性を提示したい!

常識を破壊した非常識な作品を作りたい!

 

批評家としては『脚本家と空想上でのインタビュー』という誰もやった事がないであろう批評をした(少なくともエロゲの世界では)。

 

だから今度は創作者として、誰もがやってないであろう事をやりたい!

 

 

だが非常識を作ろうにも、まずは常識を知る必要がある。

 

知識や語彙、エロシーン、日常パート云々

エロシーンなんて分からない。

(例えば一回のエロシーンで、背後から胸を揉む→正面に向けてキス→フェラ→正常位→フィニッシュなんて出来るのか。予算が分からないと難しい)

何もかも足りない。足りなさすぎる。

 

日常パートの面白さ…?分からん、研究が足りない!

 

 

ああ時間が無い、時間が惜しい!!!!

批評なんてする時間はもうない!!!!

 

これ以降、私は自身の創作に戻ります。私****が批評する事はもうないでしょう。批評はロカが適当にするんじゃない?

 

 

最後に一言、私は脚本家として自らが美しいと思ったものを創作する。そのためならどんな非常識な事でもやりたい。

 

美しさの基準?

 

そんなの

 

 

「私が美しいと感じたものは全て美しいんだよ!」

リリアが考える『愛』とは

※以下の文章は『乙女理論とその周辺』のネタバレが含まれます。全クリ後にご覧ください。



 

 

こんにちは。

私はロカの知人である****(名前は匿名)です。

 

どうにも困ったもので、ロカは気違いを極めております。

 

roka-p2422.hatenablog.com

 

アホみたいな文量でアホみたいな事を書いています。一体誰の真似なのやら…

 

ただ、批評というものは当然自由です。罵倒はここまでにしておきましょう。

 

 

ちなみに私****から見て『乙りろ』のシナリオは傑作です。

ロカの気違いじみたブログでは、リリアがデザインコンペの際に参考にしたスタンダール作の小説『赤と黒』に対する言及が薄い(そもそも読んでいないらしい)ので、ここではその小説を元に言及します。

 

リリアが考える『愛』とはどのようなものか。

それを考える上で、この小説*1はあまりにも重要だったのです。

 

 

 

 

 

結論

 

先に結論から言います。

一月上旬に行われたデザインコンペ時のリリアの愛。

それは即ち

理性的な愛」です。

 

愛は決して理性を超えてはならない

自分が持っている夢や矜持を、一時の愛によって奪われるなんて馬鹿げている

という信念を強く持っているであろうと推測します。

 

最も、ここで言う愛とは当然「恋愛」です。

 

 

マチルド的『愛』

※ここから先は『赤と黒』の内容を話します。どんな小説か知らないという読者は、上記ブログ中の「『赤と黒』とは?」をご覧頂きたい。

 

 

リリアはデザインコンペの際、『赤と黒』に登場するマチルドをモチーフにした。

 

彼女はこう説明します。

「マチルドの愛は苛烈かつ純情であった」と。

 

 

”苛烈”は分かる。だが”純情”は?

マチルドの信念は何か。

 

私が思うにマチルドは、

身分(家柄)を大事にする

退屈な人生を歩みたくない

とにかく自尊心を傷つけられたくない

という3つの信念がとにかく尋常ではありません

 

マチルドは、自分より身分が低い召使いのジュリアンに、他の貴族の男性(しかもこの中には私の婚約者候補もいる)とは違う非凡なものを見いだします。

ですが、所詮召使い如きに支配されるのが何よりも耐えられない事だったのです。

 

 

本来恋愛とは対等なものだと思います。

ですが、マチルドは常にジュリアンに対してマウントを取ってないと気が済まなかったのです。

 

『ジュリアンには非凡なものがある。

 でも召使い如きに私が屈するのはあり得ないし耐えられない』

そんな中での恋愛(結局マチルドは自ら屈服し、やがて彼女はジュリアンの子を身ごもる)でしたので、苛烈ではあったと言えるでしょう。

 

 

だが純情であったかについては些か疑問に思います。

 

純情とは『よこしまな念のない純真な心。また計算を抜きにして相手を信じて疑わない気持ち』とあります。

 

「ふーん…それならリリアの発言は馬鹿げている。なぜならマチルドは邪な気持ちで相手を疑い、常にマウントを取ってないと気が済まないからな!」

 

 「これはいけません。簡単に罵倒しすぎですぞ!」

 

 

という訳で、なぜリリアが純情だと言ったのか考えてみましょう。そのためにはマチルドとジュリアンについて最後まで説明しなけれないけません。

 

ーーーーーーーーーーーーー

懐妊したマチルドは、自身の父親で侯爵であるラモール氏に付き合う事を納得させジュリアンを貴族身分にさせる事に成功します。

 

ですがその後直ぐ、レーナル夫人の手紙により彼と夫人が不貞を働いていたと分かるとラモール氏は激怒し婚約を取り消します。

 

夢や地位諸共消滅したジュリアンは激怒し、レーナル夫人を殺害しようとし実行します。その後牢獄に入れられたジュリアンは「殺そうとしたのだから死刑に値する」と言い自ら死刑を望もうとします。撃たれたレーナル夫人は幸いにも軽傷で済み、今でも自分を愛していると分かるとジュリアンは感激します。ですがそれでも死刑を受け入れようとします。

 

マチルドは陪審員を買収するなどして死刑回避に奔走しますが、死刑を受け入れようとするジュリアンに対して「死ぬなんてあり得ない」という態度しか見せません。その後彼女は断固として自身の言うことを聞かないジュリアン、そしてレーナル夫人にまで嫉妬します。

結局ジュリアンは処刑されてしまいます。処刑される場面は彼の意思により見る事の出来なかったマチルドですが、通夜には参列して切断されたジュリアンの頭にキスし、自ら彼の亡骸を埋めて供養したのでした。

 

ーーーーーーーーーーー

リリアはおおよそこの部分においてマチルドが「純情」だと言っているのでしょう。

確かに、死を受け入れて望もうとする(実際は殺人未遂なので死刑回避が出来なくもない)ジュリアンは彼女からして(そしてこの感情は恋人なら誰でも)あり得ないと言うでしょう。

 

『死ぬ』というのは全てが終わってしまいます(哲学は私には専門外)。

 

「『死刑を受け入れる』というジュリアンの考えは間違っている。だから私は死刑を回避するために合理的で最適な行動を取る。地位や財産、名誉をつぎ込んでも構わない。そのためなら自尊心やプライドなんて捨ててやる!

 

このマチルドの意思をリリアは『純情』だと読み取ったのでしょう。

 

どこまでも『自己中心的』

『彼の死刑を回避するためなら、自尊心やプライドなんて捨ててやる!』

純情を「よこしまな念のない純真な心」と読み取れば、そう読み取れない事もないともいます。

 

ただ、純情の意味を

「計算を抜きにして相手を信じて疑わない気持ち」

と読み取るとしたらどうでしょう?

 

 

なぜジュリアンは死刑を望もうとするのか?

その断固たる意思を、マチルドは1ミリたりとも考えようともしなかったのです。

 

 

思えば、マチルドはジュリアンとの恋路において一度も彼を思いやった事はないのです。それどころか、無遠慮な発言ばかり繰り返していました。

「彼が今どんな心境なのか?」

そんな事を考える事が出来ていたら、こんな事にはならないでしょう。

 

 

マチルドはどこまでも傲慢で自己中心的な女なのです。

それは彼が処刑された後でも変わる事は無かったのでしょう。

 

『理性的な愛』は『真の愛』の前に屈する

真の愛…つまり本能的な愛の前には、計算され尽くした理性的な愛の前には叶いません。

 

 

終始相手を想う純粋な愛と、相手を見下し合った末に辿り着いた理性的な愛。

 

 

どちらが心を動かされるか、言うまでもありません。

 

 

ちなみにジュリアンは牢獄にて最終的にはレーナル夫人を愛します。一方マチルドはあまりにも自己中心的な発言しかしないので彼は苛立ち牢獄で会う度にずっと口論になります。ちなみにジュリアンの弁護士は最終的には彼の心情に幾ばくか理解を示します。

 

つまりジュリアンはマチルドよりも”融通の利く自身の弁護士”の方を信頼していたのです。哀れなマチルド(望み通り彼の子を妊娠したんだし、まだマシ)。

 

レーナル夫人はリリアの眼中にない

レーナル夫人は田舎の町長であるレーナル氏の妻です。

この時点で身分が違うリリア(彼女はパリ在住の名家)が共感するのは難しいでしょう。

 

しかも彼女は夫人でありながら、当時自身の子供の家庭教師をしていたジュリアンに恋をするという不貞を働きます。

 

いわゆる不倫です。ここまで来ると、「こんな夫人をデザインのモチーフにするのは恥ずかしいし周りから軽蔑される」と思っても仕方ないと感じます。

 

 

またレーナル夫人はジュリアンの通夜に来る事なく、彼が死んだ三日後に死んでしまいます。

 

「レーナル夫人のような弱い人間になりたくない」

リリアはレーナル夫人を軽蔑していたのでしょう。

 

なぜリリアはマチルドを気に入ったのか?

単にマチルドと身分や考え方が似ていて憧れを抱いていたから、でしょうね。

 

また、『赤と黒』においてマチルドは日本製の花瓶を毛嫌いしていました(後述)。

 

自身の境遇と照らし合わせて、リリアはマチルドの考え方を気に入ったのでしょう。

だから最低評価もやむなし

マチルドは最初から最後まで相手を思いやる気持ちが欠片もなかった。

そんな彼女をリリアはモチーフとして使った訳です。

『愛』がテーマにおいてそれでは…ね。

 

技量はあると思いますが、感情に訴えるデザインでは到底なかったという訳です。

 

レーナル夫人をモチーフにしていれば接戦だった

ではリリアは何をモチーフとして採用すれば良かったのか?

 

 

答えは簡単です。

レーナル夫人の『愛』をモチーフにすれば良かったのです。全てのプライドを捨てて。

 

 

夫人は離れ離れになっても心の奥底でずっとジュリアンを想い続け、死後も彼の意思に従ったのですから。

 

その『愛』を描いたデザインは、メリルのデザインと充分張り合えていたのではないかと思います。

 

少なくとも朝日から「酷くつまらないデザイン」なんて思われるハズがありません。

 

 

 

ただし、『乙りろ』という作品は私の考えだとおおよそ

 

『レーナル夫人』→りそな

『ジュリアン』→遊星(朝日)

 

となっている(と思われる)ので、残念ですがリリアはマチルド以外の選択肢が許されていない…つまり負けキャラ確定なのです。

 

ま、リリアはデザインコンペ前まではメリルやりそな達を見下していましたからね。これは必然の負けなのです。

 

リリア√は地獄である 云々

もしリリア√を望もうとするエロゲーマーがいれば、その人は覚悟が全く足りていません。

 

リリアはマチルドをモチーフにする位の人間だからです。

あの傲慢で自己中心的な女を!です。

 

アレを再現しようとなると読者の方々、発狂しますよ。とにかく見下されまくり、無遠慮な発言の数々…《このヒロインの××が気に入らなかった》とか《処女じゃないとダメ!》とすぐお気持ちしてしまう程度の雑魚メンタルでは耐えられないでしょう(あ、また口が滑った)。

 

 

 

それがどのようなものなのか…

小説なんて読まないエロゲーマーの皆さん、

まあ、いつか分かる日が来るかも知れませんね!

 

その時にでも言えば良いのです

あのマチルドとかいう女は地獄だ!○ね!」とね。

 

 

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ちなみに私は『乙りろ』の脚本家である東ノ助氏を尊敬しております。

だからこそ私は腹が立つのです。

 

 「どうして?脚本家が嫌いなの?」

 

「違う!批評者の1人(しかも奴は気違いの極み!)だけしかこの部分に言及しようとしない事に激怒しているんだよ!」

 

 「でもたった三行しか書かれてない(上記ブログ『リリアが作成したデザイン』参照)よ」

 「って事は、脚本家にとってあの小説は教養の一つだった…即ち『大した労力ではない』という事では?」

 

「それはどうかな。【つり乙】と【乙りろ】は赤と黒』のオマージュだと思うがな。その理由は、奴が上記の気違いじみたブログで言及した事以外にもまだあるんだよ

 

 「え?つり乙も!?」

 

「【つり乙】の最初、遊星は大蔵家の屋敷で《屋根裏部屋》に閉じ込められていただろ?実はジュリアンもラモール家に秘書として来た際、主人から与えられた部屋も《屋根裏部屋》だったんだよ*2

「そして遊星は愛人の子だったよな。ジュリアンは愛人の子ではないが、彼はラモール家に来てから暫くして、とある事件がきっかけで愛人の子として振る舞ったんだよ」

 

 「へえ~」

 

「ラモール家の秘書として務めていた際、ひょんな事から従男爵と決闘する事になったんだ」

「その決闘はすがすがしいものだったが、従男爵からするとジュリアンのような秘書分際と決闘したと知れ渡ったら、大恥をかくことになる」

「だから、従男爵はジュリアンを『(ジュリアンは)むろんりっぱな青年ではあるが、ラ・モール侯爵の親友の私生児なのだと、あちらこちら吹聴してまわった*3』と書いてある。

 

 「ジュリアン側はその吹聴に乗ったの?」

 

「そう。その方がジュリアンやラモール家側にとっても都合が良かったんだ」

「つまりジュリアンも遊星と同じく貴族身分の愛人の子として振る舞った…という訳だ。百姓身分なんかより貴族身分の私生児(愛人の子)の方が良いに決まってるからな」

 

 「当時は身分制度が厳格だったんだな…」

 

「ちなみに、リリアの口癖である「真心を込めて」も『赤と黒』に頻繁に登場する言葉なんだ*4。もう一つ、彼女は日本が嫌いだけど、それは『マチルドはこの青い(日本製の)花瓶をことのほか汚らしいと思っていたので、こわれたのを見て内心大いに喜びながら、母親の動作を見守っていた*5』を参考にしたに違いない」

「従者の華花が日本人ではなく中国人なのは恐らくそのためだろう。日本人は嫌だけど中国人なら仕方ない…ってところだろうな。欧州の人からしたら日本人も中国人も同じに見えると思うし、中国は日本と同じくアジア有数の国だからな。…こんなこと言ったら右に怒られるのかもしれんが」

 

「他にも(ドイツ人の)リンデや(ロシア人の)ヴァレリアの国籍も『赤と黒』が関わっているものだと思われる。前者は小説内に出てくる密書事件*6にて侯爵に頼まれたジュリアンが大使に手紙を届けた場所はマインツ…つまりドイツだったんだよ*7。後者は手紙を届けた後にその人に命じられるままストラスブールで待機していたけど、その場所で再会したロシア人公爵から恋の手ほどきを授かったんだ*8。ジュリアンは教えて貰った手ほどきを実行してマチルドを焦らしに焦らし、恋路を成就させる事に成功したんだ。イタリアやスペイン人でないのは恐らく上記理由からだと思う

 

 「んーー、まあそういう見方も出来るのかな…?」

 

「それに何より、大蔵家のお家騒動なんて政治的な話じゃないか! 流石に『赤と黒』のように史実を元にしたバリバリ政治的な文章(実際に起こった陰謀のオマージュ)を追加してもしょうがないから、お家騒動という形を取ったに違いない。これなら購入者も『音楽会の最中にピストルがぶっ放された*9』ような不快な気持ちにはならないからな」

「恐らく脚本家は、スタンダールが政治的な史実を取り入れた事に感銘を受けて真似したかったと思う。でも単に政治的な話をしたらつまらないし不評だろう。だから大蔵家のお家騒動という形を取ったに違いない。あまりに計算され尽くした脚本だ

 

 「は、はぁ…、ともかく『赤と黒』は【つり乙】と【乙りろ】は重要な小説なんだね」

 

「重要すぎた、あまりにも重要だったんだよ」

 

「大体、シナリオ偏重者が(奴以外)誰一人として言及しない事に腹が立つんだよ。偏重者ならエロゲに出てきた小説くらい読んで評価しろ!面倒ならせめてあらすじくらいは調べる努力をしろ!何で奴以外誰も批評しないんだよ!」

「その部分を批評せずにシナリオ偏重者が『××√は文量が少ない』『もっとこの部分を書いて欲しかった』と言う浅はかさよ! そこに言及した上で『』内の事を言うのなら見る価値はあると思うが……おっと口が滑った、批評は自由でないと!」

 

 「…」

 

「ま、批評出来ないのも無理ないか。私****としては『誰にも批評される事無くよくここまで隠しきったな』と脚本家を賞賛したいよ」

 

 「…あのエロゲはそんな視点で楽しむゲームじゃないでしょ」

 

「そうだな。ま、それでもいいさ」

「…誰も注目しないのなら、私****があの小説を責任持って使う!オマージュとしてな。何なら不評でもいい。『つり乙』や『乙りろ』の脚本が再評価されるに超した事はないからな!

 

 「ああ、貴方はエロゲシナリオ過激派ですな!」

 

「『赤と黒』は”気違い”という言葉ばっかり出てくるから仕方ないだろ!ページをめくれば気違い気違い……ま、クリエイターというのは大なり小なり気違いなんだよな…それはともかく」

 

「全ての矢印を私の作品に向ける…エロゲやってるやってない関係ない。何人たりとも無視できないエロゲを作れば、いずれ私****のブログも無視できないものになるだろうからな。少なくとも脚本だけはその心意気で作る。算段なら、勿論ある」

 

 「…で、その算段って何なの?」

 

「そうだな…」

 

「とりあえず近々「アイドルやってるエロゲヒロインに*定申告やその他諸々の話をさせるようなシナリオを書いていますが…興味ありますか?」とエロゲ会社や同人サークルを相手に売り込む事にしようかな」

 

 「それって****の妄想?それともアイドルに取材して書いているの?」

 

「当然それは企業秘密だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:赤と黒』の日本語訳は3つあるが、今回は1957年に新潮文庫から発売された小林正訳を採用する

*2:小林正訳『赤と黒(下)』28頁参照

*3:小林正訳『赤と黒(下)』75頁参照

*4:一例を挙げる。小林正訳『赤と黒(上)』266頁参照『《(中略)その天職と称するものが永続的かどうか?真心から出たものかどうか「真心から出た、か!」と、ピラール神父は、びっくりした顔つきでジュリアンを見つめながら、繰り返して言った。(中略)「真心から出た、か!」低い声でくり返しながら、また先を読みつづけた』より。他にも『真心』という言葉は随所に書かれている。

*5:小林正訳『赤と黒(下)』236頁参照

*6:この事件は王政復古初期に起こった急進王党派の実際の陰謀が元になっている…小林正訳『赤と黒(下)』246頁(1)訳注参照

*7:小林正訳『赤と黒(下)』492頁参照

*8:小林正訳『赤と黒(下)』第二十四章参照

*9:小林正訳『赤と黒(下)』250頁参照

「私小説」というジャンル

やはり忍耐できなかった…!

 

 

こんにちは、ロカです。

 

 

 

今回はとあるエロゲーマーのお話をしたいと思います(以下、Aさんと表します)

 

 

 

私はAさんのツイートを少し前から追っていました。

その感想なのですが…

 

正直なところ、文章能力に関しては非凡なものがあると思います。

 

自身の感情が言語化出来ており、これは凄いなと。

それ以上に、ここまで真に迫る文章は中々書けません(これ以上言うと特定されてしまいそうなので辞めておきます)。

 

 

だからこそ私は思うのです。

なぜAさんは創作しないのか?」と。

折角文章能力があるのに…勿体ないと思わずにいられません。

 

 

 

創作は何も『自分以外の人物を書きなさい!』という訳ではありません。

私小説やエッセイでもいいのです。それも立派な創作活動と言えるのではないでしょうか?

 

まあ18禁媒体で創作しようとすると、作者の実体験を元にしたノンフィクションのエッセイは色々厳しいと思うので、実体験を元にしつつも多少創作の余地がある私小説をオススメしたいですね。

 

今までの呟きを元に私小説として表す…(勿論登場人物の名前は変更して)

Aさんの文章能力なら充分良い作品になると思いますけどね。少なくともあんな批判ばかりにはならないでしょう。

 

 

まあ、そんなところです。

 

 

 

大体、『リアルが”とてつもなく”充実した』呟きをしたらどんな反応が返ってくるか、分かるでしょう?

Aさんのフォロワーの数がそこそこ多い理由…

貴方がエロゲーマーだから、ではないですよ。まあ、その答えは伏せておきましょう。

 

ただネット上に吐き捨てるからダメなんです。

(少し大変ではありますが)創作物として昇華して頂けるなら、良い作品として評価されると思いますよ(フォロワーさんもいますからね)。それと同時に承認欲求も満たされるでしょう。

 

Aさんについては以上です。

 

 

 

 

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ここからは余談です。

 

実は私の知り合いに、精神疾患を患っている人がいます。

 

その人の名誉のために言いますが…

至って一般的な人ですよ。

 

そう、至って一般的な人なのです。

とは言え、もしかしたら1人の時にふと病む時があるのかもしれません。

 

 

ですがその知り合いは、何が良くて何がダメなのかという思慮分別はきちんと出来ていると思います(少なくとも私から見て)。

 

 

だからこそ、病気を盾にして言い争いをするのは感心しません。

病気だから何を言っても良いハズがありません。

 

 

感情任せの何気ない言動…

それこそ、他の患者さんに対する偏見を助長する事になりますよ。

 

 

まあ、自分本位を貫くなら他人の事なんて考えなくてもいいでしょう。

 

ですが、1人になった時に喚き散らさない事ですね。

そこで人を頼るのはちょっとダブスタだと思います。

 

 

 

結局のところ、ネットを使うなら最低限の礼儀を持っておいた方が無難という訳です。

そして、自分の呟きにどのような反応が返ってくるかを予測する。間違っていたなら素直に謝る。

 

 

 

それが難しい人は一般人であれ病気の人であれインターネットを使わない方が良いと思います。(つまりネットに向いてないんだよ!)