ロカ(と知人)の日常

美少女ゲームの批評、創作等

リリアーヌこそ真の主役に相応しい

 

本ブログでは「乙女理論とその周辺」に関する重大すぎるネタバレが含まれています。未プレイの人はご注意ください。 りそな√(出来ればメリル√とエッテ√も)終了後がオススメです。

 

 

よろしいでしょうか?

 

 

それでは話します。

 

 

 

話すテーマは「リリアーヌは"純粋な悪人なのか"」です。

 

 「…あれ?主役の話はどこいった?」

 

と、思う人がほとんどだと思います。

大丈夫です、後でちゃんと話しますから。

 

ですがその前にまず、上記の問いについて考えてみましょう。

 

 

プレイした人なら分かると思いますが、彼女は

 

カーストを作って自分の手を汚さずにりそなをいじめる。りそなが触っただけで飼い犬を処分。金でクラスメートを買収し、(田舎者の)メリルの衣装を従者に処分するよう指示し実行させる。りそなが必要な糸を買い占める …」

「あまりに酷すぎる!ちっとも同情できん!彼女は純粋な悪人だ!」

確かにそうでしょう。

3次元の世界にいる私達の周りで起こったら罰されて然るべきです。そこに少しでも同情なんてしていたら加害者の肩を持っているのと何ら変わりないでしょう

でもこれは"創作物(フィクション)"なのです

本来なら加害者サイドに同情なんてタブーですか、折角なのでこの「乙女理論とその周辺」という非常に素晴らしい"作品"を使ってより深くこの2人について考えていきましょう。

以下はそういった内容になっていますので、ご容赦ください。

また、

「彼女は悪人だ!」と信じて疑わない人には向いてない内容となっております。ご注意ください。

 

 

 

 

そして…(ここが一番大事なのですが)

 

 

非常に文量が多いです。(一冊のライトノベル位)

 

 

ですので、本ブログは一つの長い旅だと思っていただけると幸いです。

 

丁度、本作品もりそなと遊星は日本からフランスへと渡りましたよね。そんな感じです。

 

なので時間がある時にお読みください。

 

それでは見ていきましょう。

 

 

 

なぜ華花は「友だちとして話したい」と言ったのか?

(以下リリアーヌの事を彼女の愛称である”リリア”と書きます(一部除く))

(【】内の登場人物の台詞は全て「乙女理論とその周辺」からの引用となっております)

 

 

さて、旅出する前に少しだけ支度をしておきましょう。

 

私が「彼女は純粋な悪人なのか?」と思うにあたって重要な人物は、彼女の従者だった華花という人物です。

 



華花はラグランジェ家を放逐された後、衣遠の会社でパタンナーとして働くことになります。

 

 

華花がリリアから受けた仕打ちは傍から見ても酷いものです。

衣装を燃やすよう指示された挙句クビを切られたり、下ネタを無理矢理言わせたり…

 

 

 

 

 

拍手喝采のランウェイが終わり、しばらく経ち…

 

衣遠と共に登場した華花は、遊星から

「リリアについてどう思っているのか」と聞かれます。

 

彼女はこう答えます。

 

【華花】「時間を掛けて、いつかお会いしたいと思います。出来れば笑顔のリリアーヌ様と。(今度は)友だち、として話せたらなと思うんです」

 

 

何故華花は「リリアーヌ様と友だちとして話せたらなあ」と言ったのでしょうか?

 





 

読者の皆さん

一度華花になった気持ちで考えてみましょう 。

 

 

あんな奴の顔なんて見たくない!

 

 

 

そう思うでしょう。

 

 

実際こんな感じに言っても、この場にいる衣遠と遊星は叱責せずに同情するでしょう。

 

 

では私はと言うと…私も

「あんな奴の顔を見たくない!」と思います(少なくともこのブログを書くまでは)。

ですが、言い方を変えます。

 

《華花》

「私は従者として、リリアーヌ様の持つ類い希な才能を生かす事が出来なかった。だから、ああいう仕打ちを受けて然るべきなのです」

《華花》

「リリアーヌ様は私以外の人間と一緒の方が良い。それは…誰がどう見ても明らかだったはず」

《華花》

「私は…パタンナーとしてならともかく、少なくともリリアーヌ様の従者としては失格ですからね」

 

こんな感じにお茶を濁すでしょう。

こうしておけば、リリアの株を下げずに済みますからね。

 

 

ですが、物語の華花は「友だちとして話したい」と言います。

 

 

自分に酷い扱いをした人間に対して言う台詞でしょうか?

この場にいるのは遊星と衣遠二人だけです。

気を遣う必要もありません。

 

 

そんな状況でどうしてそう言ったのでしょう?

 

 

それを読み解くために、まずはリリアーヌについて整理しないといけません。また、本作品で語られないリリアと華花の「空白期間」を紐解く必要があるでしょう(そこは私の想像となります)。

 

また、実際に語られない要素に関しては、適宜私の想像で補っていきます。見出しの前に(私の想像)と書いておきます。(文末が「でしょう」や「思います」ばかりですが許して)

 

出来る限り彼女達の言動を写し出せるよう務めたつもりです(勿論私の想像は公式と一切関係はございません)。

 

 

 

 

よろしいでしょうか?

それでは長い旅へと出発しましょう。

 

 

リリアと華花について

年末のドタキャン騒動

5月14日…ショーが行われる前日

 

リリアはりそなと朝日の前で、こう言います。

 

【リリア】「絶対、許さないから」

至って真剣な表情で、憎悪を表して立ち去ります。

 

リリアは何が許せなかったのか?

 

 

簡単に言うならば

「良くも大蔵家という人間は、どいつ(大蔵家の長男衣遠)もこいつ(次男遊星)も私の気持ちを裏切りやがって…!」

「特に大蔵家の次男(遊星)…!私が唯一本気で愛する事を決めたのにドタキャンとかふざけるな!ショーに来るんだったら貴方の妹であるりそなに恥をかかせてやる」

 

って感じですね。

 

ここはスルーされやすい場面ですが、リリアを読み解くにあたって最重要場面だと私は思います

 

本作では(大蔵家を代表して)りそなに対しての怒りや恨みを抱えていた事がリリア覚醒時に分かります。

 

ですが、一番の恨みは「私が唯一本気で愛する事を決めたのにドタキャンとかふざけるな!」だったかと思います。

 

 

ではどうして上記のようになってしまったのか、見ていきましょう。

 

 

リリアが作成したデザイン

読者の皆さん

絶対に」覚えていないと思いますが…彼女のデザイン、覚えていますか?

 

 

彼女が言った「赤と黒」そして「マチルド

 

絶対に覚えていないと思いますが、この二つこそ彼女の心理を読み解く上であまりにも重要だったのです。

 

 

赤と黒』とは?

赤と黒』は、1830年にフランスの作家スタンダールが実際に起きた事件などを題材にとったフランスが舞台の長編小説です。

 

 

 

この物語を簡単に紹介するとしたら…

 

「貧しい家庭に産まれたジュリアンという青年が、町長の妻であるレーナル夫人と公爵家令嬢のマチルドとの恋路を描いた物語」

 

という感じでしょうか。

というのも私、この本を読んだことが無くてですね…

いずれ買って読みたいと思います。

 

 

一応、ウィキペディアにある「赤と黒」のあらすじを掲載しておきます。

 

ブザンソン近くの貧しい製材屋の末息子であるジュリアン・ソレルは、才気と美しさを兼ね備えた、立身出世の野心を抱く新時代の青年である。初めは崇拝するナポレオンのように軍人としての栄達を目指していたが、王政復古の世の中となったため、聖職者として出世せんと、家の仕事の合間に勉強している。

そんなある日、ジュリアンはその頭脳の明晰さを買われ、町長・レーナル家の子供たちの家庭教師に雇われる。レーナル夫人に恋されたジュリアンは、最初は夫人との不倫関係を、世に出るための手習いくらいに思っていたが、やがて真剣に夫人を愛するようになる。しかしふたりの関係は嫉妬者の密告などにより、町の誰もが知るところとなり、レーナルが街のもうひとりの実力者と決闘しかけるなど騒ぎが大きくなったため、ジュリアンは神父の薦めにより、神学校に入ることとなる。

そこでジュリアンは、校長のピラール神父に聖職者には向いてないと判断されるものの、たぐい稀な才を買われ、パリの大貴族、ラ・モール侯爵の秘書に推薦される。

ラ・モール侯爵家令嬢のマチルドに見下されたジュリアンは、マチルドを征服しようと心に誓う。マチルドもまた取り巻きたちの貴族たちにはないジュリアンの情熱と才能に惹かれるようになり、やがて2人は激しく愛し合うようになる。

マチルドはジュリアンの子を妊娠し、2人の関係はラ・モール侯爵の知るところとなる。侯爵は2人の結婚に反対するが、マチルドが家出も辞さない覚悟をみせたため、やむなくジュリアンをある貴族のご落胤ということにし、陸軍騎兵中尉にとりたてた上で、レーナル夫人のところにジュリアンの身元照会を要求する手紙を送る。

しかし、ジュリアンとの不倫の関係を反省し、贖罪の日々を送っていたレーナル夫人は、聴罪司祭に言われるまま「ジュリアン・ソレルは良家の妻や娘を誘惑しては出世の踏み台にしている」と書いて送り返してきたため、侯爵は激怒し、ジュリアンとマチルドの結婚を取り消す。レーナル夫人の裏切りに怒ったジュリアンは故郷に戻り、彼女を射殺しようとするが、傷を負わせただけで失敗し、捕らえられ、裁判で死刑を宣告される。マチルドはジュリアンを救うため奔走するものの、レーナル夫人の手紙が本心からのものでなく、いまだ夫人が自分を愛していることを知ったジュリアンは、死刑を運命として受け入れる。*1

ja.wikipedia.org

(またしてもウィキからの引用になりますが…)

この作品は、当時フランスを支配していたブルボン朝復古王政により抑圧された社会と、王政復古により復活した旧来の支配階層に対する作者の批判がこめられていた…とあります。(まあ大学の論文じゃないし、ウィキでもいいよね?

 

 

で、この作品には多数の人物が登場します。

その中でも注目して欲しいのが

 

ジュリアン(主人公、貧しい製材屋の末息子で野心家、マチルド、レナール夫人と関係を持つ)

マチルド(ラ・モーヌ公爵家令嬢、主人公を翻弄し翻弄される)

レーナル夫人(主人公と不倫関係)

 

この三人です。

三人についての詳細は、ここでは省きます。

だって詳細なあらすじしか読んでないもん

 

※私の知人が『赤と黒』を読んだ上での感想を送りつけてきたので、興味のある読者の方々は下記ブログも是非お読みください。

roka-p2422.hatenablog.com

 

 

マチルドとは?

マチルドとはラ・モール侯爵家の令嬢です。初めて会った際は主人公であるジュリアンを(身分の違いから)見下していましたが、ジュリアンの底知れぬ魅力に気づき、愛そうとする。

 

その愛がまた独特で、ジュリアンはマチルドの愛に気づいたのですが、敢えて素っ気ない態度を取る→限界ぎりぎりまで相手を焦らす事によって確実な愛を得ようとする。

 

というような、恋愛心理学という観点から見ても面白い作品ですね。絶対読みます!

 

 

と言うわけで話を元に戻すと…

リリアは間違いなく「マチルド」でしょう。身分も同じですし、何よりその衣装を自ら着る訳ですからね。

 

 

(私の想像)マチルドがリリアなら他のキャラは?

では、他のキャラはどうでしょう。

 

 

 

 

私の考えでは

・大蔵遊星→ジュリアン

・大蔵里想奈→レーナル夫人

だと思います。

 

 

 

レナール夫人は、ジュリアンと不倫関係でこれは”禁じられた恋”と言えるでしょう。

 

一方りそなは、遊星とは不倫関係ではありませんせん。

ですが、二人の恋は”禁じられた恋”であると言えるでしょう。

 

遊星自身もりそな√にて

【遊星】「(私とりそなが付き合う事について)大変な不義をお詫びいたします。世間的に認められてないことも理解しています

と衣遠兄様に言っていますからね。

 

りそなと遊星は異母兄妹です。

この場合「直系血族」に該当するため、法律上結婚を禁止されています。

ricon-pro.com

 

また、表面上は主人と従者の関係です(そもそも二人は世間を欺いています)。主従同士の恋愛として見ても、世間的に見たら褒められたものではないでしょう(そもそも女同士だし…あれ?なんかついてる)。

 

 

 

 

もしかしたらリリアは、りそなが従者である(女性)朝日に恋心を抱いていた事を見抜いていたのかもしれません。

 

そこまでではなくても、少なくともりそなは朝日にとって大切な人物であるという認識は持っていたはずです。

 

「りそなは、朝日無しでは生きていけない。

学院から追放だけでなく、何としてでも朝日をりそなから切り離したい…!

 

「あの下劣な東洋人と大蔵から受けた仕打ちは、それくらいのものだから…」

 

リリアはあのXmas以降、このように思っていたかもしれませんね。

 

ちなみにジュリアンはあらすじに書かれている通り、元はナポレオンにあこがれて軍人志望でした。ですが復古王政により階級社会*2となり、彼は出世するために聖職者を志します。

 

遊星も以前酒蔵で戦っていましたよね?(つり乙参照)その時に助けてくれたのがジャンです。

そして今ではジャンにあこがれて服飾の道に進むため、女装して身分を偽っているのです。自分自身の夢のために。

 

そこからも遊星がジュリアンではないのかと思った次第です。

 

 

 

またしても)ちなみにジュリアンは、物語の最後に死刑を執行されるのですが、最終的に彼が愛したのはレーナル夫人でした。つまりマチルドは彼に捨てられたのです。リリアも同じく朝日を奪う事は出来ず、りそなに取られてしまいます(負けヒロイン的立場だから仕方ない)。

 

 

(私の想像)ナポレオン・”ボナパルト

ナポレオン・ボナパルト

 

 

えーっとですね、これは衝撃の事実です。

リリアが以前飼っていた犬の名前、覚えていますでしょうか?

 

 

 

 

 

そうです。ボナパルトです。

つまりリリアは犬の名前を(明言していませんが)ナポレオン・ボナパルトから取っているのです。

 

つまりどういうことかというと、この『赤と黒』は別に『愛』がテーマだから読み始めた訳ではないという事です。

 

ずーっと好きで読み続けた本なのでしょうか。

 

 

いつから大蔵家の次男(遊星)に恋していた?

さて、リリアはいつから大蔵家の次男に恋していたのでしょう?

 

その前に、衣装テーマが決まる前までに彼女が思っていた感情について簡単に整理してみましょう。

 

衣装テーマ「愛」

まずは、「愛」について

衣装テーマである「愛」

それはリリアから最もかけ離れた感情だったのではないでしょうか?

 

以下、「愛」を主に三つに分けて見ていきます。

 

 

『恋愛』

 

リリアの背景を考えると、自由恋愛など許されない。勝手に大蔵家と婚約させられそうになり、勝手に破談になる。しかもまたしても大蔵家から私に縁談が…もはや「人間不信になれ!」と神から言われているようなものです。

 

『家族愛』

 

私は所詮、ラグランジェ家を繁栄させるための駒でしかない。家族愛は彼女にとって何なのか分からなかったのでしょう。基本的にパリで過ごしていますからね(恐らく家族とバカンスの経験もほぼなかったのでしょう、本シナリオでもひたすら慈善事業を行うとしか言ってませんし)。

 

『友愛』

 

とにかくカーストのトップにいたいので、金でも何でも使ってこのクラスを支配する。

…それにしても、ユルシュールは何で日本なんかに行ったのだろう(もしかしたら、ユーシェを「馬鹿みたい」と見下していたかもしれません)。

 

 

そんな感じだったので、12月中旬に「愛」がテーマだと聞いて華花は焦ったでしょう。

 

【華花】「どうしましょう、愛がテーマでは、まだ男性経験のないリリアーヌお嬢様の勝ち目が薄く…早く! 早く、お相手を見つけて破らなくちゃ…膜」

 

華花は茶化していましたが、内心焦っていたと思いますね。

何故なら「愛」はリリアから一番遠い感情だったからです。

 

その発言を受けてリリアは

【リリア】「私のお相手はクリスマスに真心を込めてお帰りいただくでござます」

と、ピリピリしたまま言います。もう現実の『愛』に振り回されたくないと思った事でしょう。

 

 

メリルの存在

メリルという存在は彼女にとって鬱陶しい以外の何物でもなかったはずです。

リリアがデザインで担任から「優」と言われた後

【担任】「この天才をどうすればいい?(略)、おまえ(ジャン)が見る価値のあるデザインだ」

と言います。ただの付き人が天才…?と

 

でも、メリルには何の実績もないし私が負けるハズがない。

 

この時はそう思っていたはずです。

 

(私の想像)空白の冬休み期間

(ここからは私の想像です、本作品では一切語られておりません)

 

衣装テーマが「愛」と決まってからというもの、華花は正直焦っていたと思います。何故なら彼女は「愛」に良い思い出などないのですから。

 

二人きりになった後、華花はリリアにこう言ったでしょう。

「せめて、(その婚約者が)どんな人なのか聞いてみませんか。リリア様のデザインのためにも」と。

 

リリアはデザインのためならと渋々了承したのでしょう。

 

そうして、私の婚約者が愛人の子(遊星)であると知ると、彼女は不遇なその婚約者に同情し想いをはせたのでしょう。(ただし情報はそれだけで、名前や写真は見ていなかったと思います)。

 

まだ見ぬ婚約者に想いをはせながら、デザインを描く…デザインコンペ時のデザインもこの頃に描いたものだと思います。

 

 

しかし…その婚約者が現れる事はありませんでした。おめかしまでちゃんとしたのに、です。

 

「ますます大蔵家が憎い…!とりあえず、りそなの顔だけはもう二度とみたくない!」

 

早速リリアは従者に指示を出します。

 

 

 

ですが、一月の始業の日にてりそなは平然と学院に来るのです。

 

【リリア】「だから私は全く気にしていないでござます。ええ、中止になった話を聞いた次の瞬間には、真心を取り直していましたから!相手の真心なんてちっとも気にしてなんかいないです(泣)」

リリアのこの発言ですが、予想に反してりそなが登校してきた事に対する動揺を隠すためだと推測します。

 

それに対して

【華花】「その日は一日、部屋へ閉じこもっていたくらいですから。ブリュエット様のパーティーにも行けませんでしたよ」

誇張でもなんでもないこの発言こそ事実でしょう。

 

絶望のデザインコンペ

リンデや周りからの批評

さて、ここまで長々と話してきましたが…

 

リリアに対する肝心のデザイン評価はと言うと

 

【リンデ】「そうか…だが、この一枚で終わりか?(略)無論一枚でも問題はない。だけど、このデザインならメリルのほうがいいと思った。」

 

たったこれだけです。

 

小倉朝日(遊星)はリリアのデザインを見て心の中でこう思います。

ぱっと見た彼女のデザインは、メリルさんの後では不思議と「退屈に」思えてしまった。間違っても悪いデザインじゃない、それどころか一級品のデザインであるはずなのに、何故かひどく「つまらない

 

今日のリリアーヌ様のデザインには「華やかさ」のようなものが決定的に欠けていた。

 

結局、満場一致でメリルさんのデザインが選ばれる事になります。

 

ちなみに私の読みでは、リリアのデザインはりそなよりも劣るのではないかと思いました。

 

(私の想像)りそなと朝日が話していた時…教室では

(ここも多分に想像です)

 

デザインコンペ終了後

リリアは華花にイライラを全てぶつけたと思います(ファ×ク!ファ×ク!)。

その屈辱たるや想像に難くありません。

 

というのもリリアは、冬休み前最後の登校日にこう言ったのです。

【リリア】「まずは冬休み明け。来年の授業初日の放課後に、三人のデザインを見せ合いましょう」

【リリア】「審査員は私達全員です。優れたものは一目でそれとわかるでしょう。それでも意見が割れた場合は、まずは二つに絞りましょう。そして最初に選ばれなかった者が、最後の決断を下しましょう」

【リリア】「身分など忘れて、それぞれの意見を正しく発言しましょう。お互いを認め合い、真心を込めて尽くしあいましょう」

 

何せ、リリア自ら率先して班決めルール決めを行ったにも関わらず、自身のデザインが認められなかった途端、リリアとメリル一着ずつにすると華花が言い出したのを止めなかったので。

 

 

リリアは華花に対して

「どうして私のデザインは誰にも評価されなかったの?」

 

「あのりそなですら評価されたのに…!

 

と言って、落ち込んだでしょう。

 

ちなみに前座としてデザインを見せたりそなに対する評価は…

【リリア】「真心を込めて、良いデザインだと思います」

【メリル】「りそな様が何を描きたかったか、何を表現したかったかが伝わってきました(略)これはショーへ出すのに相応しいデザインです」

【リンデ】「うん、いいんじゃないか。これは前座などと言えないな!さすがは私の友人だ、鼻が高い!」

【ヴァレリア】「素敵」

 

りそなですら評価されたのです。

いくらメリルのデザインが良くても、だからといって私(リリア)に対して誰も評価しないのはおかしいと感じたでしょう。

 

 

「確か、朝日さんは誰も評価してなかったはず(です)」

リリアか華花どちらが言ったか分かりませんが、確かに朝日はあの時自ら判断しませんでした。

 

「あの時、朝日だけは何も言わなかった…いや(従者の立場上)言えなかったに違いない!」

「あの人だけは見抜いているはず…!」

 

そこからリリアは暫く一人になったのでしょう。恐らく精神を落ち着かせるために。

 

 

そうして、りそなと朝日の声が聞こえてきた瞬間、彼女は教室内から声を振り絞ります。最後の望みを朝日に託したのです。

 

そうして朝日に縋ったが…

そうして、リリアは朝日と話します。

とにかく私の話を聞いて欲しい、そして朝日が私のデザインについてどう思っているのか聞きたい。その一心で…

 

【リリア】「私はどうして自分が選ばれない事をほんの少しも想像していなかったのでしょう(略)自分のデザインを使って欲しかった訳ではなく、誰もが私のデザインを選ばないという現実を認められなかった

 

このような現実を拒否できるなら、(憎い)りそなのデザインでもいい。

 

そんな彼女の話を聞いて朝日は「提案を呑んだメリルさんに感謝しなさい(意訳)」「そうなった以上デザインを描くしかない」と助言した後(リリアのデザインに対する評価には触れません)、次のように言います。

 

【小倉朝日】「私たち主従はパリへ来たばかりの頃に、リリアーヌ様と出会いました」

【リリア】「ん?」

「は?何言ってんだこいつ」

「なんで私がメリルに頭を下げなければならないの?」

と思っていたところにこれです。

 

「いやいや、デザインの話をしろよ!」と

「何で朝日の思い出話を聞かないといけないの?」

 

朝日が話した内容はこうでした。

【朝日】「あの日以来、親切に、温かく接していただいた一日、一日を忘れておりません。その貴族らしき振る舞いに憧れを覚えます」

【朝日】「貴族の務めを果たすため、私たちの想像もつかない苦労があることをしりました。ですがその苦労や戸惑いの一面を覗いたことすら、貴女の心の一端に触れることができたのだと悦びをを覚えます」

【朝日】「どうかいつまでも、慈しみ深く、誇り高き貴女のままでいてください、お優しいリリアーヌ様」

 

「何故私のデザインについて、褒めるどころか一言も言及しない!!!!

「才能があるだと?たがが従者の、それもにっくき大蔵の分際で…!!!」

「(階級社会を憎んでいるのに、貴族の務めとか言いやがって…!!!)→何故私がそう思ったのか、ここは後で言及します」

 

ともかくこの瞬間、彼女の怒りは爆発寸前ギリギリだったと思います。

 

【リリア】「貴女」

ですがさすがは貴族です。

その言葉をぐっと飲み込みました。代わりに『貴女』という言葉に全ての憎悪を込めて…

(既にプレイ済みの皆さん、この場面はもう一度見てみる事をオススメします。リリアーヌの表情が一瞬だけ変わりますから)

 

朝日は一瞬「?」となります。

ですがその後、

【リリア】「…素敵です!」

この瞬間、彼女は朝日を「赤と黒」に登場する”ジュリアン”に見立てたといって良いでしょう。マチルドが、取り巻きたちの貴族たちにはないジュリアンの情熱と才能に惹かれるようになったのと同じく、朝日に取り巻きたちの貴族にはない魅力を感じたのでしょう(でも実際のところ、遊星→朝日に変わっただけですが…)。

 

その後リリアは朝日に猛烈にアプローチします。

 

それに対し朝日は

【朝日】「申し訳ありません、今の私はりそな様と共に居たいのです。(略)彼女を守らなければいけないと想う気持ちがあります。心から大切に想っている人なのです」

 

「本当に面白い従者!」

「何としてでも朝日が欲しい…!」

「とにかく、あのりそなとかいう女が邪魔だ」

 

彼女の思いは益々強くなっていったと思います

 

【リリア】少し時間がかかるかもしれませんが、メリルさんの衣装に合わせた私のデザインが出来しだい、朝日さんにはすぐにでもお渡ししますね。どんな型紙になるのか期待しています」

この台詞からも分かるとおり、冗談抜きで期待していたのだと思いますよ。

 

(私の想像)その後リリアと華花は何を話したのか?

 

リリアの誤算

始業式の日にリリアが誤算だと感じた点は3つあると思います。

 

1,りそなが平然と登校してきた事

 

2,自分のデザインが選ばれない(しかも誰からも)。

 

3、私(と従者)以外の全員がメリルのデザインを選んだ事

 

2と3はある程度想像出来るでしょうが、以外と1もダメージが大きかったと思います。

 

 

にっくき大蔵の人間であるりそなが平然とこの場にいる。

 

あの瞬間、思い出したくない記憶が呼び起こされたのではと思います。

 

空白の数日間

(注)ここからは大いに想像です。ご容赦ください)

 



帰宅後のリリアは華花に溜まりにたまった不満をぶつけた事でしょう。

 

「どうしてメリルが選ばれるの?」

「どうして私は誰からも選ばれず、評価されなかったの?」

 

リリアの失望たるや計り知れません。

何せ彼女はデザインコンペ直前に自身の目標を語っていたのですから。

 

【リリア】「私の最終目標は学院内の一等賞ではないのです。世界中にある全てのファッション誌の表紙を私の服で飾ることです」

【リリア】「こんなところで躓くのなら、今年一年は捨ててしまい、悔しい想いをした方が私自身のためです」

この目標の中に「デザイン」という言葉は含まれていません。

ですが「こんなところ(デザインコンペ)で躓くのなら~」と発言したのを考慮すると、少なくともこの学院内(恐らく同世代)では「デザイン」で負ける等あり得ないと思っていたはずです

 

「まさかメリルに負けるなんて…しかも私には誰にも選ばれないどころかプラスの評価をした人すらいなかった!(あのりそなですら評価されたのに!)」

 

それともう一つ

その不満をも超える新たな欲望が芽生えた事でしょう。

それこそ

何としてでも朝日を私のモノにする

です。

 

それに対し華花はおよそ二つの提案をしたはずです。

1、引き続きリリアーヌ様が納得するデザインを描き続けるべき。きっと超える事が出来ますから。

2、でも今は、メリルさんに合わせたデザインを描きましょう。

 

「言われなくても分かってる!」

「誰もが認める良いデザインを作って、メリルとは分かれてショーに出るから(○○推薦とかで無理矢理)!」

 

リリアはすぐに言ったはずです。

 

「メリルの衣装に合わせたデザインを作り、彼女のデザインを超えるもう一着のデザインを意地でも作り上げる」

 

多分この頃は、今まで以上に努力すれば(描き続ければ)メリルを超えられると思っていたはずです(ちなみにメリルと別になるなら2着衣装が必要です。一着はリリア本人、そしてもう一着は(朝日との会話以降)朝日を想定していたでしょう)。

 

そして続けざまにこう言うでしょう。

「…そこまで言うなら」

「華花の型紙、勿論朝日なんかに負ける訳ないよね?

 

この時点でリリアは、朝日を自分の型紙に選びたかったんだと思います

理由としては「朝日を私のモノにする足がかりにするため」でしょうか。

 

班員を見渡すと、朝日と華花を除いて型紙の評価を下せるのは彼女だけです(メリルは感覚で行うので評価できない)。

 

朝日が華花より優れているなら勿論

五分五分…いや、ちょっとの優劣程度なら間違いなく朝日を選んだでしょう。

 

「新しく挑戦するため、今回は朝日を選びます」とか適当な理由をつけて。

 

リリアの目的はこうでしょう。

1、私のデザインを朝日に担当させて、彼女をりそなから切り離す

2、そして、彼女を私のモノにする

 

この時点では恐らくこれがメインであり、メリルの衣装を燃やすとかそこまでは考えていなかったのではと思います。デザイナー(クリエイター)として敗北宣言などあり得ないですからね。

 

余談 「何故リリアのデザインは評価されなかったのか」

 

ここで少しだけ考えてみましょう。

 

考える内容は、「何故リリアのデザインは誰からも評価されなかったのか」です。

 

 

 

 

よろしいでしょうか。

 

 

 

 

 

私が思うに…

リリアの「愛」だけ実体がないものだったからではないかと推測します。

 

りそなの「家族愛」は遊星(朝日)が、メリルの『友人に注がれる祝福の「愛」』はエッテが愛の対象になっていました。

つまり、

《りそな ー 遊星(朝日)》

《メリル ー エッテ》

ですね。

 

ですが、リリアの「愛」は彼女の言葉だけだと誰が対象なのか分かりません。

マチルドが誰を愛したのか、言及しなかったので。

《リリア ー(?)》

という訳です。恐らくこの(?)は当初、大蔵家の次男(遊星)を想定していたはずです。

 

リリアはメリルのデザインについて(言わないだけで)相当高い評価を付けたはずです(でもまさか私のデザインが選ばれないなんて…!)。

 

ですが「何故周りからの評価が高かったのか?」その答えは分からずじまいだったのではないでしょうか。

恐らく、技術不足だと思っていたかもしれません。

 

 

 

「エッテという彼女の身近にいる人物を愛していたからこそ評価が高かった」

この事に気づいたのは、例のショーが終わってからだったと思います。

ちなみにりそなのデザインとタイマンさせたらボロ負け確t…

 

 

 

『愛』のこもっていない型紙

閑話休題

 

遊星はデザインコンペ後、帰宅して型紙を引く気満々でした。

ですが、リリアのデザインが届くまで引けないことに気づき、やる気がなくなります。

この後、僕が型紙に取りかかれたのは、リリアーヌ様のデザインが完成した一週間も後のことだった。

例えばりそなやルナ様、衣遠兄様のデザインなら完成して直ぐに型紙を引くはずです。ですが、上記三人に比べるとやる気は落ちますよ、自分が絶賛するデザインでは(お世辞にも)なかったのですから。

 

そうして一月下旬、朝日と華花の型紙対決は幕を開けました。

 

リリアは、朝日が能力の全てをぶつけてくる事は当たり前だと思っていたでしょう。

選ばれたらショーで私の衣装のパタンナーとして名前が載りますし、それは彼女にとって悪い話ではないですからね。

 

ですが結果はというと…

【リリア】「いま言ったとおり華花の方が優れています」

 

と言わざるを得ないほど、分かりやすい差が生まれていたのです。

 

ここで当然、このような疑問が投げかけられます。

 

【リンデ】「リリアが点検すれば、どうしても華花への評価が甘くなるのは当然じゃないか?」

 

これはリンデだけではなく、読者の皆さんも思う事でしょう。

 

ですが、「朝日を私のモノにしたい!」

という視点から考えると、寧ろ朝日に対して評価を甘くしようと考えていたのではないかと私は思います(空白の数日間より)。

 

だが、その目論見は外れます。

【華花】「私から見ても…普段のあなた(朝日)ほどのキレがないというか…」

こう言われる型紙だったのです。

 

朝日(遊星)は心の中でこう思います。

【朝日】(リリアーヌ様から期待されていたわけじゃないし、彼女に申し訳ないと思う理由すらないか。)

そう思うのは自然な事です。

 

ですが、リリアだけは本気で朝日に期待していたのでしょう。

 

そう私には感じました。実際「期待しています」と言っていましたし。

 

その後華花はメリルに型紙について聞きます。

 

メリルはロッカーに保管していると言います。

 

これが後に重要な意味を持つことになります。

 

(私の想像)その後リリアは激怒する

(ここも多分に私の想像です)

 

帰宅後、リリアは華花に怒りをぶちまけます。

 

「朝日の型紙、あれは一体何なの?」と。

 

つまり朝日は、リリアのデザインに興味などなかったのです。

 

「…私のデザイン、そんなに魅力がないの?」

 

勿論リリアはその後も『愛』がテーマのデザインを考え、描き続けます。

 

 

でも今日の朝日の型紙の出来を見て、正攻法では朝日をモノには出来ないと悟ったのでしょう。

 

 

こうなったら

 

「りそなを(挑発してでも)無理矢理表舞台に立たせる…!」

「そしてメリル諸共私の衣装で叩き潰して朝日を奪ってやる!」

 

と思った事でしょう(華花に対しても言ったと思います)。

ですが、肝心のデザインは苦戦していたと思います。

 

なのでリリアは華花にこう尋ねます。

「いつまでにデザインを作れば(ショーに)間に合う?」

 

華花はこう答えたでしょう。

「一ヶ月と少しまでならギリギリ間に合います…つまり、4月上旬までですね」

 

イムリミットは四月上旬。

それまでに、メリルの衣装を超えるデザインを作り出す。

 

 

でも華花は内心思っていたはずです

「(『愛』がテーマにおいて、リリアーヌ様のデザイン単体では勝てない…私の型紙でなんとかしないと)」と。

 

 

二週間の休みで描き続ける

二月中旬、冬休みをどう過ごすかについて、彼女はこう言っています。

【リリア】「私は国内の各地を回り、真心を込めてボランティア活動をする予定です」

 

【リリア】「リンデは帰省ですか。私は両親と共にパリのお屋敷で暮らしていますから、そういった経験ができなくて残念でござます(略)私は遠出しないから、比較的自由でござます」

 

 

休暇中はバカンスに行かず、慈善活動以外は家にいる。

 

では家では何をするのか?

【リリア】「もっともそれとは別に、服飾のデザインを数多く描きたいという気持ちもあるのですけど」

 

とにかく、描きたい気持ちで一杯だったんでしょうね。

 

ちなみに休暇についてのフランスの考え方について

フランスはバカンスの国。休暇中は勉強するなんてとんでもないという考え方が当たり前のお国柄だ。「衣装製作を真面目にやるから休日返上も辞さない」という発想が悪徳とさえとられる国だ。自分を退治に。家族を大事に。故郷を大事にするお国柄。

という感じなので、いかにリリアの休暇の過ごし方が異なるのか理解出来るかと思われます。

 

そして、ライバルであるメリルは修道院に戻りデザインを忘れてスキーを楽しむ。ここで必死にならなくていつ彼女に追いつけるの?って話です。

 

鍋パーティー参加理由は?

朝日と共にキッチンで支度をしている際、華花はこう言います。

【華花】「こんな風に故郷の家庭料理を披露しあうなんて、リリアーヌ様に仕えてから初めてですよ」

 

私の想像ですが、彼女自らの意思で参加したのではと思います。

理由は「愛」とは何かを探すため…でしょうか。そのためには家でデザインを描くだけでは駄目と思ったのでしょう。

 

 

黒下着、それと「愛」

華花に渡した黒下着について

まあ、理由としては

「下ネタ言わせているし、下着でいいでしょ」(後、色彩心理学の観点から、黒には威圧とかの意味があるとか、後殿方の好むブラの色は白というのがブルボン朝のテンプレと体験版で言ってたし…もうここまで調べるのは嫌だ

程度でしょう。まあ合わなかったら変えると言っているあたり、多少の感謝はあったかもしれませんが。

 

そして、リリアが火鍋により失神している際、華花はりそなにこう尋ねます。

 

【華花】「ところで相談なんですが、今まで清純系だと思っていたお嬢様(リリア)が、知らぬ間に大胆な下着を穿くお年ごろになっていた場合はどう反応すればいいでしょうか」

大胆な下着を穿く…つまりは朝日を誘惑したいのでしょうか。それか実際に穿いてみたら『愛』をテーマにしたデザインを考える上での参考になるのではないかと思い穿いたのか…

 

ともかく、リリアは本気で「愛」について考えていたのでしょう。鍋パーティーに参加したのもそのためでしょう。

 

最も、ここでの「愛」の対象は朝日なのですが…

 

(私の想像)完成したエッテの衣装

三月中旬に、エッテの衣装が完成しました。

 

【華花】「こちらの衣装も製作を急がなければいけません」

一着だけなら二ヶ月あれば間に合うでしょう。でもリリアは二着目を作る気でいたのでしょう。

 

リリアは焦っていたはずです。メリルが作った衣装のあまりの完成度の高さに…

 

それは華花も同じだったのでしょう。

 

 

日本人(しかも白い)のルナが「優良」

ユルシュールの目標

三月下旬、桜小路一行が短期留学と称し、パリを訪れました。

学院内でリリアはユーシェと話していた際に、彼女はこう言います。

【ユーシェ】「(パリ校へは)目標を達成するまで無理。それも、一度や二度追いこせばいいというものではなく、恐らくこれから先、ずっと競いあうことになるライバルがいるから」

【ユーシェ】「今はコンクールの結果よりも気になる相手がいるから。私自身がその才能に惚れこみつつ、だからこそ勝ちたい相手(ルナ)がいるから(パリではなく)日本じゃないと駄目なの」

リリアは誰なのか疑問に思った事でしょう。

私より才能があるデザイナーが同学年にいるのか…と。

気になる相手が『優良』

ユーシェが言った気になる相手

教壇に立つ日本人(しかも白い)彼女は担任から『優良』の評価を与えられても淡々と礼を述べるだけでした。

 

【リリア】「…私も真心を込めて始めます。華花、席へ戻りましょう」

メンタルがへし折られた事は容易に想像出来るでしょう。

 

ルナはメリルのデザインを高く評価する

お昼のカフェにてリリアとエッテは桜小路一行を集めた歓迎会を開きます。

そこでメリルの話を聞いた(彼女のデザインも見た)ルナ様はこう言います。

【ルナ】「村から出たことがない? ではあのデザインは独学なのだろうか? だとすれな、君(メリル)はすばらしい才能を持ち合わせていると思うが」

メリルのデザインは「優良」の評価を得た日本人(しかも白い)のルナから見てもすばらしいものだったのです。

 

(私の想像)リリア発狂

(ここもまた、大いに大いに想像です)

ルナがデザインで「優良」の評価を得た日、朝日がりそなと恋人になる事を伝えマンチェスターに行くことを決めた夜…

 

時を同じくして、リリアは発狂していたでしょう。

 

「どうしてあの白いルナって奴が『優良』なの?」

 

「どうしてルナがメリルのデザインを『素晴らしい』って言うの?」

 

 

そして期限はもう目の前です。

メリルの衣装を超えるデザインは…結局出来ずじまいだったでしょう。

 

 

デザイナーとしての敗北を受け入れる

「この現状を打ち破る、何か画期的な案を出してよ!」

必死にデザインを描きながら、リリアは言葉を発したと思います。

 

華花は悩んだことでしょう。

 

「案を出さなければ、クビにする」

ここまで言ったかは分かりませんが、何らかの脅しはかけたでしょうね。

 

ここからは二つのシナリオを考えます。

 

1、華花の口から苦し紛れに「メリルの衣装を処分する」事を提案した。

2、リリアの口から「メリルの衣装を燃やす」事を提案した

 

まず1から見ていきましょう。

華花は悩んだ結果

「メリルの衣装管理は無防備である」事を思い出してこう言うでしょう。

 

「…メリルさんの衣装…処分しましょうか?」

 

リリアは

「それって…」

「私がメリルの衣装に負けたという事を認めなきゃいけないの?」と。

 

 

華花は言います。

「でも、この展開なら”りそな様をショーに立たせる”という口実が出来ます」

「彼女のデザインになら勝てるはずです(以前のデザイン審査でリリアが『優』だったのに対し、りそなは『可』で実績もない)」

 

この発言を聞いて、リリアは覚悟したことでしょう。

「…朝日を奪うためなら、私は鬼畜にでも畜生でもなんだっていい」と。

でも…

「私のデザインは…納得いってない」

 

そこで華花はこう提案するでしょう。

「メリルさんにもう一度衣装を作り直させばいいのです」

「精神的ショックを与えれば、メリルさんも人間です。完成度の高くない衣装になると思います」

 

「そこまで言うなら、私は現時点ではメリルのデザインに叶わない事を受け入れる。でも、華花が彼女の衣装を責任持って処分して。当然、その後の処遇は覚悟してね」

 

そうして、リリアはその提案を受け入れます。1のシナリオはおおよそこんな感じですね(大分想像ですが)。

 

 

ともかく重要な事として

私としてはリリアの口からメリルの衣装を燃やす」提案をしたとはどうしても思えない(し思いたくない)のです。

何故なら私のデザインはメリルには叶わない、だから彼女の衣装を燃やすしかなかった」と言っているに等しいからです。

つまり、ショーという戦いに挑む前に、自らデザイナーとしての敗北宣言をしている訳です。しかも他者の衣装を燃やすのですからクリエイター…いや人間として失格です。

 

 

 

2、「リリアの口から『衣装を燃やす』事を提案した」

 

プライドも全て捨てて、朝日をりそなから奪う事だけに集中した場合ですね。

そして本作では言及されていませんが、もしユーシェのデザインを見て彼女が私より優れていると思ったら、このシナリオの説得力が増します(下に見ていたユーシェに負けている…私の努力って何だったの?とか思って)。

 

ただこのシナリオの場合、ショーが終わった後の華花がリリアに尊敬の念を抱くかどうか疑問です。自らデザイナーとしての負けを認めプライドを捨てたリリアに「友愛」の感情を抱くのは…うーんどうなのかなと思ってしまいます。華花はパタンナーとして努力に重きを置いていたのですから。

 

 

 

よって、私としては

1,華花の口から苦し紛れに「メリルの衣装を処分する」事を提案した。

のではと考えます。

 

最終的な決断をしたのはリリアでしょうが、「メリルの衣装を処分する」と先に言い出したのはリリアと華花のどちらか。

 

 

ここは読者の皆さんも是非考えてみてほしいところですね。

 

 

余談ですが、りそな以外のメリル√とエッテ√(他の√も)はこの時期からショー直前(三月中旬~五月中旬)まで朝日がパリにいないんですよね(いても病室)。

だから、実行しようにも出来ない訳です。ちなみにエッテ√ではエッテがりそなのお兄様(遊星)と付き合う事になるのですが、リリア目線から見ると…

 

 

 

(私の想像)想定外だった朝日の帰省

数日後、朝日の帰省についてりそなが話します。

「一週間か…長ければ一ヶ月になる」

 

リリアは華花にこのような事を言うでしょう。

「戻って来なかったら今年は諦めて、そのままショーに出る」

 

実際、他のルートでは何もする事なくショーに出ていましたからね。

 

「だけど朝日がすぐに戻ってきたら、実行に移す」

 

まあある種、”朝日が戻ってくる時期”を巡って二人の間で賭けに近い事が行われていたのではないでしょうか。

 

余談ですが、『赤と黒』の題名の由来ではないかという説の内の一つに「ルーレットの回転盤の色を表し、1がバチかの出世に賭けようとするジュリアンの人生をギャンブルにたとえている」という説もあるらしいです(これまたウィキより)。

 

人生を賭けたギャンブル…もしかしたらこの時リリアと華花も人生を賭けた博打を打っていたのかもしれませんね。

 

で、既知の通り結局朝日は一日で戻ってきます。彼女が学院に戻ってきた瞬間、博打に勝利したリリアの視界から華花はもう消えていたのでしょう。

 

実行前後

リリアとしては

「華花にメリルの衣装を燃やさせてりそなを挑発してショーに出させ大恥をかかせた上で、この学院に登校させないようにする」

 

それしか考えられなかったと思います。

実行直前、カフェで班員と話している際

【リリア】「真心を込めてそんな事(華花の衣装作り)よりも」

この時点でリリアは華花を見捨てていたでしょうね。眼中にすらなかったと思います。

 

 

【リリア】「それと私が日本人の主従を真心を込めて潰すって言ったら、両親は両手を上げて大賛成してくれたの。本当、良い両親を持ったと思います」

これは例のリリア覚醒時の台詞ですが、恐らくこの頃あたりに伝えたと思います。

 

一方の華花は決行直前のギリギリまで衣装製作に励む事になります。

 

 

それにしても、華花が文字通り死に物狂いで衣装製作している傍ら、メリルはエッテと「こんにちは!」の練習ですか…(天才×ね!

 

リリア覚醒直前…華花の言葉

その後、メリルの衣装は無事に燃やされる事となります。

 

ですが、りそなの罠に嵌まります。

 

…とはいえ、例えそれが罠だったとしてもリリアには関係ない事です。駒である華花がりそなの罠に嵌まれば良いのですから。

 

 

で、華花の弁明が始まります。

 

 

彼女の弁明のほとんどはリリアの言葉だと置き換えていいでしょう。「全部むかついた」とかはリリアの本心だと思います(華花が内心どう思っていたまでは分かりませんが)。

 

ですが

【華花】「(メリルの衣装を燃やしたら)リリアーヌ様の衣装が一番輝くしね。もう一着の製作がギリギリ間に合うタイミングでやった

この一文は、空白の期間を想像する上で大いに参考にしました。

 

まああとは、従者として感じたメリルの態度なんかは一部華花の本音が混じっているかもしれません(とはいえそれは、「メリルさん、従者としてやっていくなら今の態度では将来大変だよ」と指摘するようなニュアンスだったと思います。彼女なりの思いやりでしょうか)。

 

 

その後、りそなからクリスマスに起こった例の件について聞かれ

 

【華花】「小倉さんが型紙で私に対抗しようとしてきたからね。あんた(りそな)も生意気にショーに向けてデザイン画を描くなんて言ってるし、痛い目見せとくかなって」

朝日が型紙で華花に対抗しようと正式に決まったのはデザインコンペ後です。なので時系列がおかしいですね。相当焦っていたのでしょうか。

 

そうして一通り話した上で、警察に連行される訳ですが…

彼女は最後に

 

【華花】「また…みんなで火鍋食べたかったなあ」

【華花】「お母さん…」

朝日にだけあえて本音を打ち明けます。

 

まあ私から見ると、『朝日』という存在がリリアと華花にとってどれ程重要だったのか暗に仄めかしたのではないかなと感じましたね。

 

 

リリア覚醒

そうして連行された後、りそなに指摘されて晴れてリリアは覚醒します。

彼女はまず、メリルを「混血だから許せない」と言い放ちます。

理由は純粋なフランス人(父母共にフランス人)ではないから。

 

 

そして、この国を侵略しようとする(そして私に酷い事を何度も行った)大蔵家のりそな、衣遠、(りそなの従者)朝日に対し「第七身分」だと罵ります。まあこれは挑発するためでしょうね。

リリアの生い立ちについて

その後衣遠によって、リリアの生い立ちと例の事件が語られます。

 

国粋主義の家に生まれたリリアは、家の教えに反し、視界に入る全員を救おうとしていた…少なくともあの事件までは…

 

 

ではここで、国粋主義について簡単に紹介しておきましょう。

 

国粋主義とは

「自国歴史政治文化などが他国よりもすぐれているとして、それを守り発展させようとする主張・立場」(goo辞書より)

そもそも国粋主義者は、慈善事業や福祉にあまり熱心ではないという厳しい指摘もなされています*3。一方のラグランジェ家はそれとは異なり、自国の福祉には熱心(彼女の父親は高齢者福祉事業の会長)ですが、排外主義的考えで諸外国の人々には興味なんてなかったのでしょう。

 

 

 

ちなみに、大蔵衣遠がいたことは確かに予想外だったとは思います。

ですが彼女からしたら「これ以上ない追い風だ!」と思った事でしょう。

【衣遠】「日本校学院長の推薦という名目で(りそなと遊星を)参加させることは可能だ」(遊星がマンチェスターから帰国後、三兄妹の会話にて)

実は芝居を打つ前に追い風はビュンビュン吹いていたのです。

 

彼女の言葉はどこまで本心か?

【リリア】「本来なら第六身分《底辺》の(メリルの)デザインを私のデザインと並べて歩かせるなんて許容できないけどォ?」

【リリア】「あなたたち(エッテとメリル)が、りそなさんを潰すのを手伝ってくれるのは面白そうだから、そこの奴隷(メリル)のデザインでも認めてあげてもいいかなぁ?」

 

本当なら認めたくなかったはずです。自力で作ったデザインで勝負したかったはずでしょうから。

 

ですがメリルのデザインを使わざるを得なかった。何故ならリリア自身のデザインは自分でも認められるものではなかったのだから…。

 

(私の想像)リリアの口調を紐解く

リリア覚醒時の口調…

まあそうですね…演技が凄いというか…ざますとかうん…ス○オママですね。

 

では、何故彼女はそんな口調になったのか考えてみましょう。

 

 

 

私は、2つあると思います。

 

1、りそなと朝日を挑発させ、りそなVSリリアの構図を作りたかったから。

2、「デザイナーとしてのリリア」を封印したかったため。

 

1は単にりそなを怒らせてショーに出る口実を作りたかったんだと思います(実際はその前の「三兄妹との会話」にて衣遠が参加させると言ってましたけどね)。そうしてりそなを屈服させ、晴れて朝日を私のモノにする…そんな算段でしょうか。

 

 

2は、いつも通りの口調で言ったら、今までのデザイナーとしての人生全て否定する事になると思ったからでしょう。だから”私じゃない誰か”が言う事で少しでも気を紛らわせたかったのだと思います。

 

覚醒時のリリアは、「デザイナーとしてのリリア」として発言した訳ではありません。

 

りそなを追放し朝日を奪うためだけに、悪魔に魂を売ったリリア」の発言と捉えて良いのではないでしょうか。

だから「メリルのデザインを使う」と言える訳です。もうそこにはデザイナーとしてのプライドなどありません。悪魔に魂を売ったのですから。

 

それともう一つ

あんな口調なので、貴族としてのプライドも捨てていますね。

ここも後で言及しますが、貴族の誇りなんてないと思っていた根拠になり得ると思います。

 

 

(私の想像)リリアの思考について

(~xmasまで)

 

さて、ここからは少しだけ彼女がどのような思考でいたのか、簡単に振り返ってみることにしましょう。

 

 

「大蔵りそな」

彼女の名前を聞いた時、リリアはどう思ったのでしょう。

「名前を聞いただけで反吐が出る」

 

と直感的に思ったのではないでしょうか。 (あ、りそなが触った犬処分しないと

とりあえず学院内ではりそなを(取り巻きに)いじめておく。

 

そしてメリルという「従者という身分にも関わらず調子に乗っている田舎者の混血」はいずれ叩きのめす。

 

 

という思いを抱きつつ、自身は新しいデザインに挑戦する。

十月下旬の班員決めにて、リリアはこう発言しています。

【リリア】「私も真心を込めて新しいデザインに挑戦したいと思っています」

恐らくこの頃から『赤と黒』の『マチルド』をモチーフにしたデザインを描き始めていたのだと思います。

 

ですがそのデザインは朝日にこう思われます。

ただ気になる点としては、彼女に見せて貰った前の学校の卒業ショーの衣装と、授業中のデザイン画には、そこまで大きな差は感じられな…。

まあ、現状維持は現状後退とも言いますし…恐らくリリア本人も納得していなかったでしょう。

 

だから、婚約者の境遇を聞いて彼女は本気で愛そうとしたのでしょう。でも結局来る事は無かった。

 

そりゃー朝日がりそなに向けて作ったマフラーを破きたくなりますよ。

 

(~コレクション(りそなと遊星が登場する直前)まで)

年が明けて、始業式

 

リリアはまず、りそなが登校してきた事に驚き、忘れようとしていたトラウマが蘇ります。で、肝心のデザインコンペはメリルに完敗…

 

このせいで、りそなだけではなくメリルまでも標的にされたのでしょう

彼女のこの頃の思考は主に二つです。

・メリルのデザインを超える愛を作り出す。

・りそなを追放した上で、朝日を私のモノにする

 

という感じです。

 

それから、無事りそなを釣り出す事に成功したリリアは様々な妨害をします。

 

それと同時に、朝日との生活に思いを馳せていたでしょう(いけないものを買ったり

 

りそなの出番前にメリルとエッテが何か言っていましたが、全くどうでも良い。

 

「りそなを恥辱のどん底に叩き落とし、彼女の大事な主従である朝日を奪い調教する」

 

彼女が登場するまで、自分の勝利を信じて疑わなかったでしょうね。

 

本物の愛に負けたリリア(魂を売った代償)

「これ、私の衣装じゃない!」

歓声を聞いたリリアは焦ります。

 

【リリア】「鏡!もう一度、鏡見せて! 私の衣装はあの子たちの衣装に勝てるの!?(鏡を見て)ーーっ!ううん、違う…これ、いつもの私の衣装じゃない…」

人間、何かに熱中すると周りが見えなくなる事があります。

リリアは、「りそなへの妨害」「朝日を調教する」「世間の注目を浴びたい」思いが強すぎて自分の衣装が見えていなかったのではないでしょうか。

 

あるいは、見えてはいたけど「りそなよりは良い」と無意識のうちに処理していたか。

 

結局彼女は覚醒後~ショーまで衣装製作(縫製)なんてしてなかったので。

 

悪魔に魂を売った代償と言えるかもしれませんね。

 

天才、メリルからの辛辣なお言葉

そうして焦っているリリアを見て、メリルは厳しい表情をしたまま辛辣な言葉を投げかけます。

 

【メリル】「私、本当のことを言えば、最初に見た時から不思議でした。どうしてリリアーヌ様のデザインで最優秀賞を取ることができたんだろうって」

【メリル】「賞を取りつづけてきたのは、華花さんが苦しんで、型紙と縫製の力で良い衣装を仕上げていたんです。あの人は天才です。あなたにとって、華花さんは生命線だったんです」

メリルからの言葉は辛辣で強烈だったのでしょう。

 

これも悪魔に魂を売った代償でしょうね。

 

 

リリアーヌの縫製能力

メイド達だけで話している際、華花はこう言います。

【華花】「リリアーヌ様も縫製は十人並みだし。一番綺麗なのはりそな様ですね」

なので彼女としては、コレクション後は朝日をパタンナーとして迎え(調教す)るつもりだったでしょう。

 

だから、彼女はパタンナーとしての能力(縫製能力)なんて必要なかったのです。

 

その分デザインに打ち込めますからね。

 

 

ですが、その能力を軽視したせいで恥をかきます。

 

メリルに言われるがまま華花を呼びますが、そこにはいません。

もう彼女の周りには、金で買った(服飾のやる気など欠片もない)クラスメートと服飾素人の付き人しかいませんから。華花はもういないのです

 

コレクション後の行動を考えてみる

リリアが取った行動

ショーの当日、僕たちが栄光を受けた後で、あの輝かしいランウェイを再び歩いている間に、リリアーヌ様は同級生たちに黙って姿を消してしまった。そして次の日から教室にも現れなかった。

最後にランウェイを歩く…

そこで彼女は大きな屈辱を味わったことでしょう(ただし、一応彼女は準優勝ではある)。

暴言…は吐かれなかったでしょうが、誰も関心なんて持たなかったでしょうね。

 

 

ひとを使って自分の元従者を探していた彼女は、兄の会社に勤めはじめた華花さんのもとへふらりとやってきたらしい。最後まで目は合わせてもらえなかったとのことだ。

ただ一言「私の過去の栄光は、全てあなたのお陰でした」と述べ、頭を下げられたとの事だ。慌てて華花さんは止めようとしたものの、その時には頭を上げ、そのまま去っていったらしい。

 

本当にどうでも良い捨て駒のような存在だったなら、華花に頭を下げるなんてするでしょうか?さっさとマシなパタンナーを雇って自身はデザインを描いていた方が良いでしょう。

 

また、本当に性根が腐っていたとしたら「戻ってきて欲しい」と華花の目を見て泣き真似をしていたかもしれません( 命がけでッヘッヘエエェエェエエイ↑↑↑↑アアン!!!)。

 

ですが、彼女がとった行動は、ただただ感謝の気持ちを伝えるだけでした。

 

ちなみに謝罪後のリリアを朝日や華花含めて誰も見ていないとの事でした。

 

私の読みでは、彼女は家に籠もってひたすら(今まで華花に任せきりだった)型紙について0から勉強していたのではないかと思います。

華花が取った行動

華花さんはラグランジェ家を訪れたり、電話を掛け、手紙を送ったりもしたものの、リリアーヌ様自身から返事がくることはなかった。街の中でも彼女を見かけたという話は聞かない

過去の事は一旦忘れて、素の彼女と話したい。

華花はとにかくリリアーヌ様と話したかったんだと思います。

話のネタは例のショー以外ならなんでも良い。

 

「リリアーヌ様が笑顔になる話なら何でも良い。謝罪なんてもう充分だから、また彼女と会って他愛もない話がしたい」

 

その想いしかなかったんだと思います。

 

 

 

余談 地獄のような「ふふ、ふふふっ!」研究

さて唐突に始まりました、地獄です。ふふ、ふふふっ!

 

「ふふっ、ふふふ!」とはリリアの笑い声です。

まあはい、とりあえず見ていきましょう。

 

【リリア】「大蔵家は素敵な付き人をお抱えですね。りそなさんとも仲良くなれそう。ふふ、ふふふっ!

【リリア】「ふふっ!才能があるだなんて、嬉しい。だけどメリルさんに悪いことをしたでしょう?」

【リリア】「(朝日からメリルさんの話を再度聞き)「ふふ、ふふふっ! まるでメリルさんの口から聞いているみたい。この惨めな心がとても癒やされていきます」

【リリア】「(覚醒前にエッテが譲歩してきたので)それじゃあお詫びになんてならないのに…で、でも、エッテがそこまで行ってくれるなんて嬉しい。ふふっ、ふふふっ!

この笑い声、確たる事までは分かりません。

ですが多分、冷笑か嘲笑の類いだと思います。

 

となると、10月下旬~11月上旬に私(リリア)にデザインで挑もうとしてきたメリルに対して言った一言

【リリア】「ふふっ、ふふふ、メリルさんがどのようなデザインを描くか楽しみにしていますね」

も恐らく、相手を見下していたのだろうなと思いますね。

 

そしてりそながデザインコンペに参加する意思表明をした際にも

【リリア】「ふふっ(略)真心を込めて、デザインを競いましょう。ふふっ、ふふふ!

一貫して「りそなだけは許せない!」と思っていたので、この笑いは冷笑でしょうか。

 

「ふふっ、ふふふ!」とは大抵相手を見下している笑いだと思いますね。

 

ちなみにその考えだと…

【リリア】「ユーシェと久しぶりに真心を込めて話せて楽しかったです。彼女は相変わらず高貴で、品性があって。ふふっ、ふふふ!

ユーシェを馬鹿にしているかもしれません(となると彼女のデザインも同じく見下している事にもなるので、上記「衣装は最初に誰が燃やす提案をしたのか」におけるリリア説が弱まるような気がします)。

 

 

それと後は、「ふふっ。」と「ふふっ!」の違いとか。

ごめんなさい、ここの読み取りは正直不十分でして(気が狂う!)、確信が持てません。今後の研究に大いに期待します!(誰が研究するの?

 

 

流石に気が狂いそうなのでこの辺りにしておきます。ふふっ、ふふふ!

 

 

 

二人の関係性について

リリアは華花をどう思っていたのか?

フィリア女学院入学時~ショーまで

デザインコンペ以前の彼女は、華花に対してこう思っていたでしょう。

【リリア】「私が今まで応募したコンクールの衣装は、全て華花に真心を込めて型紙を引いてもらっています」

【リリア】「私が賞を取ることができたのも、華花の力が多分にあるでござます」

 

 

しかしデザインコンペ後ショックを受けたリリアは、デザインに専念するあまり華花が全く見えていなかった(それどころか、捨て駒扱い)んだと思います。

 

「華花は私に弱みを握られている、操り人形だ」

程度の認識になっていたのでしょうか。

 

思い込み

ショーが終わり、リリアは一人、部屋に引き籠もった事でしょう。

 

そして色々考えたはずです。

色々の中には自ら放逐した華花もいた事でしょう。

 

そうして彼女の事を考えると、リリアはある一つの思い込みに気がついたと思います。

 

それは…

りそなをいじめるにしてもそう。メリルの衣装を燃やす最終決断をした際もそう。そして、華花を切り捨てる決断をした際もそう。

 

何故私(リリア)は無意識のうちに「華花が私を裏切る事はない」と思い込んでいたのでしょう?

 

故郷にいる母の治療費を稼がないといけないから。しかも不法入国者である

 

だから裏切らない…と、主従関係時代のリリアは思っていたはずです。

 

ですが、りそな√における華花のその後を見ると、その理由は裏切らない根拠としては弱いかなと思います。

 

《華花が、りそな本人か従者の朝日に密告して大蔵家の従者となる。その代わりに自身の母親の安全を確保する…》といった感じに。

 

 

読者の皆さん、出来ない事ではないと思いませんか?

 

 

それでもそんな事はせずに従者として、そして私のパタンナーとしての職務を全うしてくれた。

 

 

血も繋がっていない、家族でもない、私の従者。

 

 

「何故華花は私(リリア)にここまで尽くしてくれたのだろう…?」

 

 

この世界で唯一本音を言える相手

その答えが見つかった瞬間、リリアはいてもたってもいられなくなったと思います。現従者から華花を居場所を調べ上げて、そして見つけます。

 

 

でも…

その事に気づいた時にはもう…遅かったのです。

 

 

ちょっと考えてみましょう。

リリアが華花に、家でどのように接していたのか書かれていません。暴言を言っているのか、一応貴族なりの礼節を持って接しているか分かりません。

 

ですが、服飾に関しては別です。

【リリア】「私が今まで応募したコンクールの衣装は、全て華花に真心を込めて型紙を引いてもらっています」

リリアは幼い頃から型紙を担当する華花と共に衣装を製作してきたのです。

 

デザイン…というのはある種の芸術作品として捉える事が出来ます。そして描くのはAIではなく人ですから、そこには少なからず感情がこもります。

例えば極端な話、親しい人と死別した直後に描かれたデザインは、少なからず負の感情が出てしまうと思います(やっぱり人間なので)。

 

つまり、リリアは自らのデザインを通して型紙を務める華花に今感じている思いを伝えていたのです。それを華花は最大限汲み取り衣装に反映する。

 

例えば、自然(ここでは海)をテーマにしたデザインをリリアが描くとします。彼女が描いたデザインを見た華花は、彼女が説明したのに加えてこんな事を思うでしょう。

「この海は○○の海だなぁ。そういえばあの時、私と一緒に砂の城を作ったなぁ。結局完成しなくて『家に帰りたくない!』なんて言ってたっけ?…きっと、そんな思いを込めてこのデザインを描かれたのだろうなぁ(あと、リリアーヌ様の水着が取れてリリアヌス様が…)」

 

結局のところ、

衣装製作をしている際、華花はずっとリリアの事をあれこれ考えながら作業をしていたのです。「どうやったらリリアーヌ様の衣装が世界で一番輝けるか」

 

 

リリアは”デザインだけに”一生懸命すぎて、華花の想いを込めた型紙を軽視していたのでしょうね。

 

 

【ユーシェ】「衣装をお芝居にたとえれば、デザインが役者なら型紙は脚本」

これはユーシェが短期留学に来た際に学院のサロンにて言った台詞です。言い得て妙ですね。役者を生かすも殺すも脚本次第。デザインも同じです。

 

つまり、

優れたデザインだけでは衣装は完成しないのです。

 

 

 

ですが…何度も言いますが、もう遅いのです。

いくら後悔しても、もうどうしようもありません。

 

 

「では、リリアは華花を再び取り戻す気はなかったのか?」

 

ないでしょう。

だって、彼女自身が放逐する決断したのですから。

その決断を曲げる事はしない。その代わり、今までのお礼だけをして別れる。

 

それこそが、彼女なりの贖罪だったのでしょう。

 

 

 

 

だから彼女は手短に

 

【リリア】「私の過去の栄光は、全てあなたのお陰でした」

 

決して華花の目を見る事なく、手短に話して頭を下げて帰る。

 

 

そうしないと、感情が込み上げてきてしまうから…

 

 

リリアは放逐した責任を、今の従者や家族に頼る事なく自分一人で立派にやり遂げたのです。(でも彼女の意思で放逐したのだから自業自得

 

 

華花はリリアをどう思っていたのか?

これについては主に、二月上旬にメイド達だけで話していた場面を参考に考えてみます。

型紙は「才能1割、努力9割」

【華花】「あれ(デザイナー)はだって才能(センス)9割、技術(スキル)1割の世界でしょう。その点パタンナーなら才能1割、技術9割でも務める事が出来ます」

 

デザイナーには先天的なセンスが必要だが、パタンナーは後天的なスキルを身につける事が出来ると考えていたのです。(実際彼女はラグランジェ家に命じられて0から型紙をやっていますから)

 

とは言え、才能も1割は必要という事です。

私が「パタンナー」になろうにも、1割の才能がないので無理です。

 

リリアは努力家で研鑽している

では才能9割の世界に身を置くリリアについてはどう思っていたのでしょう?

 

 

これは以前華花がリリアについて語っていた場面です。

【華花】「あの方(リリア)は昔から服飾の世界で成功する気でしたね。努力家で研鑽もしていました。性格は温厚でも欲がある。成功するべくして成功したと言ったところです」

つまりリリアは、彼女が認めるレベルの努力家だったのです。もしかしたら主人を立てただけの発言かもしれませんが、だったら努力家に加えて研鑽なんて言葉は使わないでしょう。

 

1割の努力を大事にする彼女だからこそ、華花は彼女にあれだけ尽くせたのでしょうね。

本人にも『愛』が何なのか分からなかった

【華花】「私からすればそっち(朝日)の方が羨ましいですけどね。好みで完成度が左右されるほど、感情込めてやってるってことでしょう?」

【華花】「職人としては褒められたもんじゃないですが、人間としちゃいいんじゃないですか。どんなに私が優れた型紙を引いてもいわゆる工業製品ですしね」

【華花】「人の心を打つ作品は、昔から作者の気持ちがこもったものだと言うでしょう?それでも私はリリアーヌ様の側で立派な賞をいただいたので、気持ちだなんだはあまり信じていませんけどね

 

この発言からも分かる通り、華花は自身の型紙を愛のこもっていない工業製品だと言っているのです。つまりそこには『愛』なんてないと思っていたのでしょう。

 

【華花】「ご主人様の描かれたデザインを最も美しい衣装にするため、頭の中の教科書から一番優れた型紙を引っ張りだしてきて、サイズに合わせて調整する。それ以外に感情はこめないよ。

これはどうなんでしょうね。リリアがどう思っていたかについての項でも話しましたが、この発言以外にもデザインの意味を汲み取っていたのではないかと思います。ただし華花にとってそれは”型紙の技術には関係ない事である”という認識だったのではないでしょうか。でも実はそれも、彼女のデザインを輝かせる上でとても大切な事だったのです。

 

【華花】「というよりも、服飾自体にそれほど興味があるわけではありません」

【華花】「ああ。最も美しい線を引くために、0.1ミリもずらさずにラインを見極める。そこには拘りあるかもね」

 

服飾に興味があった訳ではないのにここまでの拘りよう…『愛』がなければ出来る事じゃないでしょう、と私には思います。

 

お嬢様育ちと自分の境遇を比較して

【華花】「ま、そこ(大蔵りそなは物事(ここでは服飾)に取りかかるまでが遅いという点)はお嬢様育ちですよねえ。苦労知らずというか。生まれる家は自分じゃ選べないので、お嬢様であることを責めるのもなんですが」

 

この発言に私はちょっと引っかかりました。

何故ならリリアも(身分的には)お嬢様なのですから。

 

もしリリアがりそなのようなお嬢様だったとしたら、主従関係が切れたときに「リリア様は典型的なお嬢様だった」くらい言いたいですよ。

 

この一文から私はこう読み解きました。

リリアは家の事、デザインの事で苦労してきたのだな…と。

 

(私の想像)も、前述で紹介した文章とこの文章を大いに参考にしています。

 

 

黒下着のプレゼント

さて、二月中旬の火鍋。

 

あの時のプレゼント、華花は本当に嬉しかったでしょうね。

 

例えその経緯が「下ネタキャラを貫き通すため」でもです。

 

だって、下着は実用性がありますよね?

チョコは食べたら無くなりますが、下着は体型が変わらない限りずっと身につける事が出来る(それに華花の縫製能力なら修繕もお手のものだと思います)。

 

だから、半永久的に使い続ける事が出来るのです。これ程までに嬉しいプレゼントもないでしょう。

リリアを止める事、逃げ出す事も可能だった

タイトルの通りです。

 

りそなのいじめをやめさせる事も(理論上)出来たし、衣装を燃やさすに密告して逃げ出す事も出来た。

 

それでも私は結局、見て見ぬふりをした。(恐らく未経験の人はリリアより年上でしょう。何故見て見ぬふりをする?従者だから?そんな事で逃げるな甘えんな!

 

「だから、私にだって非がある」

 

私にだけは本音を言ってくれる

まあこれは(私の想像)から考えた事なのですが、結局リリアは私にだけは本音をさらけ出してくれていたでしょう。

 

前述の通り、リリアはあまり家族の「愛」を持っていなさそうなので。

 

 

さて、またしてもユーシェの台詞を貼るときが来たようです。

【ユーシェ】「衣装をお芝居にたとえれば、デザインが役者なら型紙は脚本」

またしてもです。

 

脚本が(型紙)がどれだけ優れていても、役者(デザイン)がいなければ芝居は成り立たない。

 

結局のところ、優れた型紙だけでは衣装は完成しないのです。

 

もしかしたら華花はリリアから放逐されてからこう思ったのかもしれません。

「あ、もしかしたら私って、リリアの(真の)母親みたいな立ち位置だったのかな」

 

 

でもやっぱり、もう何もかもが遅かったのです。

 

 

あの時、ふと現れたリリアは華花に感謝の言葉を口にします。

そこでリリアの覚悟を華花は感じ取ったのでしょう。

「もうリリアーヌ様とは一生会えないかもしれない…」

 

 

分かっていたはずです。

 

 

分かっていてもなお、華花はリリアとまた他愛もない話がしたかったのだと思います。

 

何故なら華花の栄光もまた、全てリリアーヌ様(のデザイン)がいなければなし得なかったものですからね。

 

だからラグランジェ家に電話したり色々したのです。ですが彼女からの返事は来ませんでした。

 

 

 

それを踏まえた上で、もう一度この台詞を見てみましょう。

 

【華花】「彼女(リリアーヌ)に嫌われようと、とっくに見捨てられていようと、誰に何といわれようと、私にとっては大切な人ですから」

 

【華花】「時間を掛けて、いつかお会いしたいと思います。出来れば笑顔のリリアーヌ様と。(今度は)友だち、として話せたらなと思うんです」

 

「出来れば笑顔のリリアーヌ様と。友達として」

 

二人きりの時には真の笑顔などなかったと私は判断しています(少なくともフィリア女学院に入学してからは)。そして主従関係としてではもう会えない(リリアが放逐した責任を取る決意をしたと感じたから)のなら、今度は友達として…例え時間がかかってもいいから、また会いたい。

 

「私にとってリリアーヌ様は大切な人ですから」

 

これを愛と呼ばず何が愛なんでしょうか?

 

 

きっと華花は彼女からの贈り物である「黒下着」を身につけている事でしょうね。

 

これも一つの「愛」ではないか?

さて、この華花の言葉を聞いてどう思うでしょうか?

 

【衣遠】「くだらん」

合理的観点から見ると、全くその通りです。

 

 

【朝日】「素敵です」

私は朝日の感想に同意です。

合理的観点から見るとあり得ない華花の想い……

 

それこそ

 

」ではないでしょうか。

 

 

この愛は「友愛」なのかなと私は思います。

 

 

 

この「愛」の程度はどれ程のものなのか。

それを考える上で参考になる文章を載せておきます。

 

三月下旬、朝日はルナ様とユーシェらと共にリリアの衣装を見に行った時の事です。朝日は彼女の衣装を見て、こう思います。

華花さんが担当したリリアーヌ様の衣装がこちらの想像を遙かに上回る出来になったいたからだ。(略)ルナ様やお兄様と比べると「(リリアのデザインは)完成度は高くてもぱっとしない」。そんな印象だった。もちろん彼女より成績の劣る僕が言えることではないのだけど。

 

それが衣装として完成に近付いてみると、明らかに優勝作品のオーラを纏ったすばらしい輝きを放っていた。ルナ様やユルシュール様が「ほう」と感心の声を漏らしてしまうほどだ。

 

リリアの衣装は彼女のデザインだけでは成り立ちません。

華花の『愛』のこもった型紙があって初めて、天才達にも匹敵する輝きを放つ衣装になるのです。

 

 

 

 

 

さて…この作品は十年前に発売されてもう続編も作られないと思うので、ほんの少しだけ創作してみましょうか(私は断じて『パクられた!』なんていいませんので)。

 

 

リリアはともかく、華花はまたいつか彼女と再会したいと願っている事でしょう。

 

 

もし、華花の願いが叶いリリアと再会できたのなら…

 

どんな表情でどんな話をするか、私には分かりませんし想像も出来ません。昔の事なんて私には分かりませんからね。

 

 

 

ですが、華花はリリアにどこかのタイミングで必ずこう伝えるでしょう。

それは、彼女があの時リリアに言うことが出来なかった言葉です。

 

ちゃんとリリアの目を見て、一言。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《華花》

「私の過去の栄光も、全てリリアーヌ様のお陰でしたよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作品とは「書かれている事が全て」なのか?

と、言うわけで…

 

まだ長旅は終わっていません。(さっさと終わらせろこのクソ野郎!

「書かれている事が全て」なら?

書かれている事が全てなら、リリアはただの悪役でしよう。

それと同時に、今まで書いてきた事の大半は無意味になります。

 

 

はい、という事でここからは少し書かれていない事、書かれていてもあまり注目を浴びない事を中心に話していきます。

 

赤と黒』の時代背景

リリア覚醒の際、彼女は階級を盾にメリルやりそな、自身の従者を馬鹿にしていました。

 

ですが、彼女のデザインでモチーフとなった『赤と黒』の時代背景を考えると疑問が湧きます。

その疑問とは

「彼女は階級社会を忌み嫌っているのではないか?」

です。

 

赤と黒』の主人公ジュリアンは貧しい家庭で産まれました。そして、この物語では

王政復古により復活した旧来の支配階層に対する作者の批判が込められています。

 

つまり、言ってしまえばリリア自らを否定するような作品なのです。

何故なら、ラグランジェ家は元々貴族身分ですから。

 

もし彼女が貴族身分を愛するなら、『赤と黒』をモチーフにするでしょうか?

 

 

「デザインのためなら自分の思想と違う作品もモチーフとして使うのでは?」

 

その可能性もあると思います。

 

 

ですが、彼女は以前自身の階級が災いして外国人に襲われたのです。

 

【外国人B】「幸せなのはおまえらの階級の人間だけじゃねえか! こっちは毎日必死に生きてんだよ!」

【リリア】「ごっ、ごめんなさい…でも、いまは階級なんてなくなって…貴族せいどだってありません…」

【外国人A】「だけどおまえらは楽して生きてんだろ? どこの家の人間だおまえ…ラグランジェ?」

 

階級のせいで、虐げられた。

階級のせいで、自由恋愛なんて許されない。

階級のせいで、私は所詮ラグランジェ家の駒でしかない。

 

確かに、階級の”おかげ”で見かけ上は良い暮らしができていたはずです。

 

ですが、階級のせいで我々一般人が普遍的に感じる『愛』を得る事はできなかったのではないでしょうか。

 

リリアを護ってくれるはずの執事すら彼女を見殺しにした。

 

【衣遠】「ー事件は表沙汰にはならなかったものの、それ以降ラグランジェ家の娘はふさぎ込み、大蔵家の人間が顔を出しても姿を見せないようになった…」

 

んー…人間不信になるのも頷けますね。

 

 

まあ、総合的に考えると

リリアにとって階級とは、得した事より損した事の方が大きかったのではないでしょうか。それに加えてデザインコンペという大事な場に『赤と黒』をモチーフにしたデザインを発表した事からも、彼女は階級社会…貴族という自分の身分を憎んでいたのではないかと私は思います。(というか、ボナパルトを自身の犬の名前にしている辺り、この作品は相当好んでいたのだと私は思います)

 

 

地位や金、物はあります。

ですが、「自由」や「愛」とはほど遠い環境ですから。

 

 

 

国粋主義・人種差別」について考える

シナリオからリリアーヌは「国粋主義・人種差別者」であると言えます。

だから混血のメリルや東洋人(それも大蔵家!)のりそな、そして従者の華花(彼女だけは本心かどうか疑問)を人間以下の存在だと言い放ちました。

 

まあ、読者からは「屑だな」と思われて然るべきでしょう。

可愛いヒロインが理不尽に罵倒されたのですから。

 

 

ではここで少しだけ、現実世界の話をしましょう。

 

 「は?ゲームの話だけしていろよ!」

 

まあまあ、少しだけなら良いじゃないですか。

 

「混血」や「東洋人」を

在日○○人(ハーフ)」や「技能実習生(移民)」に置き換えてみると、どうでしょう?

 

どう感じましたか?

 

 

リリアのあんまりな主張が、少しは身近に捉える事が出来たのではないでしょうか?

 

 

そして彼女が幼い頃、慈善活動中に外国人の暴漢に襲われたように、読者の方々がまだ幼い頃、手をさしのべてあげようとした外国人に襲われたら…?

 

 

 

国粋主義・人種差別について考える事は、私達の生活に関わる重要な事だと言えるでしょう。

 

 

もう一人の「国粋主義者(?)」

 

りそなと遊星が糸を買いに行った場面です。

リリアの妨害に遭い、何処に行っても必要な糸がみつかりません。

 

そこで二人は気むずかしい店主の店へと向かいます。

 

店主は糸を中々売ろうとはしません。

その理由について、こう言います。

【店主】「余所から来て、この街で服を作るのが好きになったって連中は、今までにもいたさ(略)だけどな、服作りが出来なくなったらどいつもこいつも必ず冷めた面でこう言いやがる。『パリは思っていたような場所じゃなかった』」

これは店主も辛いでしょう。

 

【店主】「だから俺はよそ者が嫌いだ。(略)愚痴を吐くくらいなら初めから来るなってんだよ。俺はパリが好きなんだ。俺の街と、俺の街での服作りを否定するんじゃねえよ」

この店主、当初は「よそ者」が嫌いだとは特に思っていなかったでしょう。

ですが、愚痴を吐かれるばかりだったのでそういう気持ちになるのも理解出来ます。そして下線部だけ見ると、いかにも典型的な国粋主義者だと読み取る事も出来るでしょう。

 

そうして店主はりそなに「俺が言ったようなよそ者にならない理由を教えろ」と言います。

りそなの答えに満足した店主は、戸棚を開き、こういいます。

 

【店主】「(特定の糸を大量に買い占めようとする)理由を聞いたら言えないって言うんだよ。いいから全部売れ、それか、誰にも売るななんて言うから、頭来て、欲しい奴が来たらそいつに売ってやろうと思って戸棚から引っこめておいたんだ」

この店主が買いに来た人物をラグランジェ家だと認識していたかについては分かりません。

でも、もし認識していたとしたら「ラグランジェ家」はフランスの貴族の家柄で「よそ者」ではありません。ですが店主はよそ者ではないラグランジェ家に対しての命令には従わなかったのです(恐らくその客は、ラグランジェ家という身分を明かし、多額の金を支払おうとしたと思います。それでも拒否したのです)。

 

そうして、店主は棚を開けます。喜ぶ朝日を見て

【店主】「ああ…十や二十はあるから、欲しいなら買って行けよ。その代わり十五日(のショー)、楽しみにしてるからな」

とエールを送ります。

 

要はこの店主は国粋主義者ではなく、服飾を愛する店主だと言えるでしょう。どんな時(例え辛い時)であっても服飾を愛せる人にだけは協力する。そこには国籍なんて関係ないのです。

 

「書かれていない事を読む」のも作品の醍醐味

はい、そうだと私は思います。ただ、あくまでも個人的感想という事は意識しないといけませんね。

 

いや、それにしても文量多すぎる。

 

ふう…ようやくこの長旅にもゴールが見えてきました。

 

結局リリアは純粋な悪人なのか?

華花とはどんな人間なのか?

簡潔にまとめると

パタンナーとしての能力は元より、誰よりもリリアを愛し、彼女の描いたデザインを最大限衣装として具現化する事が出来る天才」

 

リリアに対する愛は、放逐された後でも続いていました。

リリアとはどんな人間なのか?

簡潔にまとめると

「デザイナーとしての才能は確かに持ち合わせていたが、『愛』に翻弄され、その才能を発揮出来なかった才人」

 

才人…と書いていますが、あの華花に「彼女は努力家で研鑽もしている」と言わしめる人物なのも確かです。そして華花は主従関係が切れた今でもリリアに友愛の感情を抱いています。

 

「愛」を理解するためにリリアは必死になっていた事でしょう。ただ、ショーが終わり一人になるまで、彼女がそれを理解する事は出来なかったのです。

 

 

私の結論

「華花との関係こそ『愛』だったんだ…」

 

衣装を燃やす決断をする前に気づいていたのなら、彼女のデザインは天才であるメリルやりそなに匹敵するもの(少なくとも、朝日の心をも揺さぶるもの)が描けていたでしょう。そこに華花の「愛」が加わったのなら…

 

 

で、私の結論。

「リリアは純粋な悪人ではない」と思います。ただただ「愛」に気づくのが天才達より少し遅かっただけなのです。

(まあ、お世辞にも善人とは言えないけど)

リリアこそ真の主役に相応しい

 

ただの一悪役が、ここまでの読みを可能にするなんて…

 

いやー、夢にも思いませんでした。

 

リリアこそ本作のシナリオライターである「東ノ助」氏が、氏自身の境遇を照らし合わせ緻密に計算されて創ったキャラクターだと言えるでしょうね。

 

ここまでの読みを可能とする(考える余地がある)キャラは早々いません。

まさに、リリアーヌこそ真の主役に相応しいと私(だけ)は言いたいです

 

 

さて、これにて長旅もようやく終わりを迎えました。

読者の皆さん、お疲れ様でした。

 

 

(自称)創作者である私の批評

ここからは、この長旅を通して私が思った事を話します。

 

「意図的に隠された物語」

リリアや華花に関しては、『赤と黒』『マチルド』を含めて意図的に隠されているなと感じます。深い意味があるのに…です。

誰にも評価されない前提で書いたのなら…

 

このブログを書くにあたり、某批評空間、アマゾン、fanza、Xに投稿された購入者の感想を一通り読みました。

 

まあ結果なのですが…これは検索結果を紹介した方が早いでしょう。

 

乙女理論とその周辺 国粋主義

乙女理論とその周辺 赤と黒

乙女理論とその周辺 マチルド」

 

共に0!google検索より)

 

ちなみに”一名だけ”人種差別的観点を感想に加えている人がいました。

が、それだけです。

 

これは本当に不思議だなと思います。どうして誰も触れないのだろう…と。

結局その事に触れたのは、(自称)りそな並に捻くれている私だけですし。そんな私でも時間を掛けて解読しなければ分かりません。

 

赤と黒』や『マチルド』なんて、誰が覚えているのでしょう。

もし評価されない前提で書いたのなら、私は凄いと思いますね。

 

どちらが良いのか

「意図的に隠されている物語」

 

このような物語のメリットデメリットは何なのでしょうか?

 

 

まずメリットは、「物語全体に深みを持たせるため」でしょう。

私のような捻くれ者が解読という名の創作に使うかもしれませんからね。

 

 

 

デメリットは「隠れたままであり続ける可能性がある」という事です。

 

「作品ではあまり触れていないけど、『赤と黒』『マチルド』からリリアと華花を読み解く事が出来ますよ」

 

そこまで読み取れる購入者はいるのでしょうか?

読み取れなければ肝心の評価に結びつきません。

このゲームの魅力は「大蔵家の三兄妹」とメインヒロインだと私は思うので、尚更注目されません。

 

評価に結びつかない物語など意味はあるのでしょうか?

例えば、主人公とヒロインの雑談パートなら意味はあります。楽しいですから。

 

それに比べたら「赤と黒」や「マチルド」なんて皆さん眼中にすらなかったでしょう(私も初見プレイの際は全く眼中になかった)。

 

 

ですが、本作品に登場する「赤と黒」はこの作品において相当重要な話だと私には感じます。にも関わらずこの作品の批評(感想)で「赤と黒」について触れるプレイヤーは一人もいませんでした。

肝心の評価に結びつけるためにも、せめて物語のあらすじ位は説明しておいて良かったのではないでしょうか?

でないと、「あれだけ本を読んで時間を掛けて作ったデザインが誰からも評価されずに終わる、現実にもあり得るシーンを再現していて凄いと感じた」なんて批評が生まれない訳ですよ。これは明らかに損でしかないです

 

 

ちなみに私も自身の創作にてシナリオを書く際、海外の文献を参考にする時もあります。その際は出来る限り最低限の説明はするようにはしたいと思いますね。やっぱり、読み手が「?」になりますから(とは言え、都合上意図的に隠す場合もあると思うので理解出来ない訳ではありません)。

 

 

まあ、この辺りの話は難しいです。何が正解かなんて分かりません。

隠すメリットデメリットを考えながら、私も創作しないといけませんね。

 

リリアと華花はライターの苦悩が反映されている

【リリア】「私が期限を守れないデザイナーとでも? クリエイターにおいて、与えられた時間の中で成果物を仕上げる事は、プロになる上で最低限の能力です」

プライベートで何があろうと関係ない。

時間内に成果物を仕上げる事は、プロとして最低限守るべき事。

 

 

そのようにして必死に時間を掛けて書いた企画書が、天才の前ではつまらない物と化す。

 

プライドを全て捨てて作ったモノが、見下していた相手に負ける。

 

 

感覚だけでやるメリルを華花は

【華花】「ちっ。そういう才能だの技術だの感情だのを無視して、それでも誰よりも優れたものを仕上げる天才が、世界のどこかにいるとは聞いてたんですよ」

と、羨みます。そりゃーそうですよ。

 

 

ただし、

努力の天才なら誰にでもチャンスはあります

【メリル】「賞を取りつづけてきたのは、華花さんが苦しんで、型紙と縫製の力で良い衣装を仕上げていたんです。あの人は天才です。あなたにとって、華花さんは生命線だったんです」

天才メリルは華花のパタンナー(型紙)としての能力を天才だと評します。苦しみ抜いて作った先に最高の衣装が出来上がるです。

 

で、またしてもユーシェの言葉を借りると、デザインは「役者」型紙は「脚本家」です。

 

つまり脚本家(シナリオライター)は、努力する才があれば良いものを作り出す事が出来る職業である、という訳ですね、多分。

 

それでも才能が一割は必要でs

「意味のない文章」なんてほぼない

私は共通→りそな√におけるリリアと華花の台詞全てを調べた上で、このブログを書いています。

 

その上での感想なのですが、私は「意味のない文章なんてないんだな」と思いましたね。

 

限られた文字数で過不足なく購入者に伝える。それは凄いことなんだと思います。

 

「ふふっ、ふふふ!」に関しても、ライターからしたら緻密に考えられていると思います。ですが、評価している人なんていないんですよね、ふふっ、ふふふ!

 

でももし、「全ての文章が評価されたいと思って書いた」シナリオがあったとして、そんな作品のゲーム、何だか息苦しくないですか?

 

私は、「全ての文章は何らかの意味を持つ。ただし、それが全て評価に結びつく訳ではない」と感じました。

 

シナリオを書くときはミクロな視点で書く。だが、評価されるのはマクロな視点(例えば○○ルートの評価)からが基本である…という事ですね。

 

 

シナリオライターというのは、「いかに購入者が評価しない(評価の対象にならない)文章であっても緻密に計算し考え、書き抜くことが出来るか」が大事なんでしょうね。

 

 

 

ちなみに、今書いた文章に近いのではないかと思われる事を言っている台詞がありましたので紹介しておきます。

 

これはリリア覚醒時に朝日が彼女に言った台詞です。

【朝日】「あの衣装を見ればわかるはずです。(華花さんは)見返りなんて求めない、あんな細かい直しを…誰に気付かれなくても構わない、ただあなたを輝かせるために続けていたのがわからなかったんですか?」

 

ユーシェが言ったように、デザイナーが「役者」で、型紙が「脚本家」なら。

 

朝日は型紙なので「脚本家」と言えるでしょう。この台詞、脚本家(シナリオライター)目線で見ると中々に面白い文章だなと思います。

 

本作の脚本家である「東ノ助」氏目線で朝日が言った言葉を訳してみましょう。

 

「シナリオの細かいところまで拘る(例えばふふっ、ふふふ!とか)、それは決して見返り…評価される事がなくても構わないし、誰に気付かれなくて構わない、ただ乙女理論とその周辺』という作品を輝かせるために必要な事なのです

 

 

「東ノ助」氏、私だけでしょう。部外者でここまで気付ける事ができたのは。

 

 

私は思います。

このゲームは私にとって、自身の創作論を考え直すきっかけになった神様のようなゲームです。本当にありがとうございました。

 

 

”作品全体の評価”に影響を与えるかは別問題

と、ここまで書いてきたのですが、結局のところ

 

「へえ~『赤と黒』ってそんな作品なんだ~

でも印象に残らなかったし、プラス評価ではないね

 

その評価でも全く問題ないでしょう。

そもそも本ブログの大半は書かれている内容ではないですし、(当たり前ですが)私の想像が正しいという事ではないので。

 

あくまでも、「こういう読みも出来ない事はないよね」という感じなので、各々自分の好きなように作品を評価するのが一番です。

 

 

 

「というか、そんなにシナリオを凝る暇があるならエッテルートを何とかしてください!」

 

 

シナリオライターである「東ノ助」氏に一言

ここまで深い物語だとは思いませんでした。大いに勉強になりました。私だけは頑張って貴方のシナリオを解読できればと思います。(ところで、ルミネルートは分かりやすさを重視されたのですか?

 

 

 

 

終わりに

私の『乙女理論とその周辺』感想

感想を見返した際、当時の私が書いた感想はヒロインどころか”りそなの名前すら”ありませんでした。

ではどんな事を書いたかというと…

 

本作のテーマである「愛」を『家族愛(衣遠・駿我)』と、『友愛(リリア・華花)』との対比で見て、上手く描かれているなと感じた。

 

としか書いてませんでした。

 

恋愛模様(りそなと遊星)は皆注目するところでしょうし、私にはあまり印象に残ならかったんだと思います。勿論シナリオがダメとかではありません。

(エロゲシナリオライターになろうとしているのにそれでいいのか…

 

ですが解読していくと、どうやら私の感想は完全に的外れではなかったようです。

 

本来ならこのブログは「何故華花は放逐された今でもリリアの事を想っているのか」を説明しようとしただけだったのですが、気づいたらこんな文字数に…

 

愛とは難しいです。

 

 

ちなみに本ブログを書いている際に私がヒロイン達に思った事を書いておきます。

 

りそな→システムボイスが癒やし。

エッテ→「メヌエッテ」(彼女のテーマ曲)が気に入っている。

 

メリル→可愛い。とりあえず犯したい。天才?わからせてやるよ

エロゲの感想なので許して)

 

んーまあ、リリアと華花の立場からして天才メリルは嫉妬の対象だったでしょうから仕方ないですね…(だってメリルが憎いもん

 

 

ちなみにりそなには元からデザイナーとしての天賦の才があったのではないかという説があります。誰か調べてください。

まあ衣遠の教育が良かったんでしょう。

 

それにしても…りそなと衣遠の声優さんは本当に素晴らしいと思います。替えのきかない声優さんだと思いますね。これ以上ないハマり役です。

 

 

本作の裏テーマ「天才VS才人(という名の努力家)」

ドイツの哲学者であるショーペンハウアーは、才人と天才の違いについてこう述べています。

『才人は、誰も射ることのできない的を射る。天才は、誰にも見えない的を射る』

 

メリルとりそな(衣遠曰く、才能はあったが覇道の邪魔だったので潰しておいた)は天才だと言えるでしょう。『愛』とはなんたるかを理解して、誰にも見えない(想像できない)視点から射貫いてみせたのですから。

 

 

メリルは衣装テーマである『愛』について、こう説明しています

【メリル】「友人に送る、祝福の愛。この衣装を着て、華やかな栄光の中で夢を叶える友人が、全ての観客から受けるべき愛を表現した」

 

と言います。

 

ここからは想像ですが、メリルはそれ以外にもこんな事を思いながらデザイン画を描いていたはずです。

 

「私の服飾の腕を認め進路を変えてくれた事。私のために彼女が慣れない服飾の授業でもしっかりサボらず受けてくれている事。そして何より、私のために尽くしてくれている事(でも私に恋愛感情を持つのは…ちょっと…)」

 

次にりそなです。

 

【りそな】「家族愛(遊星に対して)。一人では羽化できず、長い時間を動けない姿ですごしたさなぎ(これはりそな自身)が、自らの力で羽ばたく瞬間を表現したものです。蝶の家族の鳥(遊星)が、さなぎの体を包んでいた繭を割ってくれたんです。だから家族愛なのです」

 

何が言いたいのかというと、この二人は、複雑な『愛』という感情を自分なりに読み解き、上手くデザインに反映する事が出来る天才なのです

 

 

対して、所謂才人のリリアでは『愛』を

「恋愛をしたら分かるのではないか」

「慈善事業をしたら分かるのではないか」

という視点からでしか捉えきれなかったのだと私は思います。

 

だが、華花を失って初めて『愛』が何だったのか彼女なりに分かったのでしょう。でも、もう戻って来る事はありません。天才なら何かを犠牲にする前に分かってしまうのでしょうから。

 

 

 

 

 

てかそもそもこれ、ホントに合ってるの?自信満々に嘘言ってない?

 

自分の作品のためなら悪にでも魂を売る

本ブログを書くに当たって見返した際、印象に残った台詞を紹介します。

それは、大蔵家の三兄妹が絆を深め方針を決めようとしていた際の衣遠の台詞です。

【衣遠】「(芸術家が)成功を求める以上、つまらない正義を理由に機会をふいにする必要は無いと思うがな(略)パリの芸術家たちは、作品を生み出すのと同じだけ、発表の場を得る事に血を吐くほどの苦労をした

【衣遠】「要は縋れるものなら悪にでも縋る。その代わり、発表の場で才能を示せなかった者に降り注ぐ栄光もない」

 

「悪魔に魂を売った」と表現したのはこの一文があったからです。時を同じくして彼女は自身のプライドを全て捨てた事でしょう(結果は既知の通りですが…)。

 

 

さて、芸能人や芸術家等、所謂『芸』を生業にしている人間は「発表の場がとにかく欲しい」と思っている事でしょう。「もっと多くの人に見てもらいたい、評価されたい」と思うのは自然なことです。

そのためにはプライドなんか捨てないといけません。コネでも何でも使う、前座でもちょい役でもいいのです。ちょうど本作でもりそなが果敢にデザインコンペに挑んでいましたよね?

とにかく『発表する機会があれば死に物狂いで食らい付く』気がなければ「」で食っていくなんて出来ないのだと感じました。

 

 

余談ですが…

もしかしたら私は将来、自身の作品のためなら極論リリアのようになってしまうかもしれません。

とは言え、「人を大切にする」「最低限の礼儀を持って接する」「明確な間違いは認め訂正する」は意識して生活しています。そうじゃないと魂を売ろうとしても売る相手すらいないでしょうからね。

 

だからといって、他人を陥れるとかはダメです。

丁度サッカー代表の選手が週刊誌(極東の筆)によって代表途中離脱とかありましたし。あれは創作ではない(もし創作だったら大問題)のでかなりの悪意を感じます。特にそのタイミング。

 

あくまでも

自分が創作した作品を発表するため

 

その一点において”悪にでも縋る”という言葉は赦されるものだと思います。

 

 

 

私がリリアの立場だったら…

デザインコンペにて、彼女のデザインは天才メリルに完敗しました。

 

その絶望感は相当なものだったと思います

 

もし私がリリアの立場なら…

それでも私は、自分の作品が良いと思わずにはいられないでしょうね。

それが創作者なのです。

 

 

あと,余談ですが

乙女理論とその周辺」という素晴らしい作品を私なりに解読した今であっても、私は(シナリオだけに限定するという条件で)自分の創作している作品が本作品よりも優れていると思っています。

 

そうです。創作者という人種はいつだって、自分の作品が一番最高に見えますからね(面白さでは負けない…!)

 

とはいえ、解読してみたら学ぶ事も多かったです。

雑談パートの重要性とかですね。

 

そんな感じです。もういいでしょう、充分学べました。

いい加減、予定文字数200万字の自分の創作にとりかかれ!

 

私なりに「真心を込めた」つもり

はっきり言うと、私はリリアが好き…とは言えないです。

 

ですが、(自称)創作者として彼女を見ると、嫌いの一言では片付けられない底知れぬ魅力があると感じます。

 

魅力に関しては…もういいでしょう。語り尽くしましたよ。

 

全ての憎悪がこもったこの台詞だけ、私はリリアの人生全てが出ていると思い(不覚にも)格好いいなと感じました。何も茶化さず真面目な表情で言っていますからね。

 

 

本当の最後「美少女ゲームは面白い!」

美少女ゲームは面白いですよ!(白目)

 

はい、どうも、キチ×イです。

読者の皆さん、こんな読み方する必要ないですよ。

 

総文字数、引用含め四万字。

内容を確認するためのスクリーンショットの数、約230枚

んーアホすぎる…

もうね、自分が何書いているのか分からない…。いや、全て意味ある文に思えてしまって頭がパンクする。(ハッキリ言って、ここまで分析して書くんだったら有料ブログにしたい、マジで!

 

 

 

こんな読み方しなくていいです。時間がかかりますし。

ですが、数年に一度はどれか気に入った作品を深読みしてみるのも面白いですよ(白目)

 

 

とりあえず、こんな感じで「大蔵衣遠」「駿我」「アンソニー」「リンデとヴァレリア」あたりも誰か調べてみてください(他力本願)。

勿論リリアでも構いません。というか、どなたでも構いませんのでリリアと華花について語りたいです(切実)。

 

 

 

 

あともう一つは、私の創作能力と文章能力はどれくらいなのかも教えて頂けると助かります。これは違う!お前は馬鹿だ!…何でも良いです。

 

個人的に気になるのは…

好感度-100のリリアを、私の力でどれだけ魅力を引き出せたのか…とか。

 

 

はい、なんか好きにコメントお願いします。罵倒でもいいですから!

 

 

最後に…

 

もうこんな長旅には出たくない!

引き籠もって自分の創作に専念します。

 

 

(コメント等お待ちしてます!どんな意見でも歓迎です!)

 

 

 

*1:ウィキペディアより引用

*2:高村忠成『フランス復古王政の政治状況』248-249頁『復古王政は僧侶と貴族にしか利益をもたらさなかったように見える。』『フランスの政治生活は不活発ではなかった。(中略)しかし、この政治的活発の中にあったのは国民のうちほんのわずかであった。農民、都市労働者、低い身分の僧侶、企業家、地方公務員などは除外された』を参考

https://soka.repo.nii.ac.jp/record/35734/files/sokahogaku2_3-4_2.pdf

*3:池田英俊井上円了の近代仏教論と慈善』より「また一方では井上円了国粋主義的思惟には、他の正教社の同人に比べて慈善や福祉の意識が欠如しているとの厳しい指摘がある」より参考。(https://www.jstage.jst.go.jp/article/ibk1952/49/2/49_2_518/_pdf/-char/ja