※以下の文章は『乙女理論とその周辺』のネタバレが含まれます。全クリ後にご覧ください。
こんにちは。
私はロカの知人である****(名前は匿名)です。
どうにも困ったもので、ロカは気違いを極めております。
アホみたいな文量でアホみたいな事を書いています。一体誰の真似なのやら…
ただ、批評というものは当然自由です。罵倒はここまでにしておきましょう。
ちなみに私****から見て『乙りろ』のシナリオは傑作です。
ロカの気違いじみたブログでは、リリアがデザインコンペの際に参考にしたスタンダール作の小説『赤と黒』に対する言及が薄い(そもそも読んでいないらしい)ので、ここではその小説を元に言及します。
リリアが考える『愛』とはどのようなものか。
それを考える上で、この小説*1はあまりにも重要だったのです。
- 結論
- マチルド的『愛』
- ”苛烈”は分かる。だが”純情”は?
- どこまでも『自己中心的』
- 『理性的な愛』は『真の愛』の前に屈する
- レーナル夫人はリリアの眼中にない
- なぜリリアはマチルドを気に入ったのか?
- だから最低評価もやむなし
- レーナル夫人をモチーフにしていれば接戦だった
- リリア√は地獄である 云々
結論
先に結論から言います。
一月上旬に行われたデザインコンペ時のリリアの愛。
それは即ち
「理性的な愛」です。
「愛は決して理性を超えてはならない」
「自分が持っている夢や矜持を、一時の愛によって奪われるなんて馬鹿げている」
という信念を強く持っているであろうと推測します。
最も、ここで言う愛とは当然「恋愛」です。
マチルド的『愛』
※ここから先は『赤と黒』の内容を話します。どんな小説か知らないという読者は、上記ブログ中の「『赤と黒』とは?」をご覧頂きたい。
リリアはデザインコンペの際、『赤と黒』に登場するマチルドをモチーフにした。
彼女はこう説明します。
「マチルドの愛は苛烈かつ純情であった」と。
”苛烈”は分かる。だが”純情”は?
マチルドの信念は何か。
私が思うにマチルドは、
・身分(家柄)を大事にする
・退屈な人生を歩みたくない
・とにかく自尊心を傷つけられたくない
という3つの信念がとにかく尋常ではありません。
マチルドは、自分より身分が低い召使いのジュリアンに、他の貴族の男性(しかもこの中には私の婚約者候補もいる)とは違う非凡なものを見いだします。
ですが、所詮召使い如きに支配されるのが何よりも耐えられない事だったのです。
本来恋愛とは対等なものだと思います。
ですが、マチルドは常にジュリアンに対してマウントを取ってないと気が済まなかったのです。
『ジュリアンには非凡なものがある。
でも召使い如きに私が屈するのはあり得ないし耐えられない』
そんな中での恋愛(結局マチルドは自ら屈服し、やがて彼女はジュリアンの子を身ごもる)でしたので、苛烈ではあったと言えるでしょう。
だが純情であったかについては些か疑問に思います。
純情とは『よこしまな念のない純真な心。また計算を抜きにして相手を信じて疑わない気持ち』とあります。
「ふーん…それならリリアの発言は馬鹿げている。なぜならマチルドは邪な気持ちで相手を疑い、常にマウントを取ってないと気が済まないからな!」
「これはいけません。簡単に罵倒しすぎですぞ!」
という訳で、なぜリリアが純情だと言ったのか考えてみましょう。そのためにはマチルドとジュリアンについて最後まで説明しなけれないけません。
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懐妊したマチルドは、自身の父親で侯爵であるラモール氏に付き合う事を納得させジュリアンを貴族身分にさせる事に成功します。
ですがその後直ぐ、レーナル夫人の手紙により彼と夫人が不貞を働いていたと分かるとラモール氏は激怒し婚約を取り消します。
夢や地位諸共消滅したジュリアンは激怒し、レーナル夫人を殺害しようとし実行します。その後牢獄に入れられたジュリアンは「殺そうとしたのだから死刑に値する」と言い自ら死刑を望もうとします。撃たれたレーナル夫人は幸いにも軽傷で済み、今でも自分を愛していると分かるとジュリアンは感激します。ですがそれでも死刑を受け入れようとします。
マチルドは陪審員を買収するなどして死刑回避に奔走しますが、死刑を受け入れようとするジュリアンに対して「死ぬなんてあり得ない」という態度しか見せません。その後彼女は断固として自身の言うことを聞かないジュリアン、そしてレーナル夫人にまで嫉妬します。
結局ジュリアンは処刑されてしまいます。処刑される場面は彼の意思により見る事の出来なかったマチルドですが、通夜には参列して切断されたジュリアンの頭にキスし、自ら彼の亡骸を埋めて供養したのでした。
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リリアはおおよそこの部分においてマチルドが「純情」だと言っているのでしょう。
確かに、死を受け入れて望もうとする(実際は殺人未遂なので死刑回避が出来なくもない)ジュリアンは彼女からして(そしてこの感情は恋人なら誰でも)あり得ないと言うでしょう。
『死ぬ』というのは全てが終わってしまいます(哲学は私には専門外)。
「『死刑を受け入れる』というジュリアンの考えは間違っている。だから私は死刑を回避するために合理的で最適な行動を取る。地位や財産、名誉をつぎ込んでも構わない。そのためなら自尊心やプライドなんて捨ててやる!」
このマチルドの意思をリリアは『純情』だと読み取ったのでしょう。
どこまでも『自己中心的』
『彼の死刑を回避するためなら、自尊心やプライドなんて捨ててやる!』
純情を「よこしまな念のない純真な心」と読み取れば、そう読み取れない事もないともいます。
ただ、純情の意味を
「計算を抜きにして相手を信じて疑わない気持ち」
と読み取るとしたらどうでしょう?
なぜジュリアンは死刑を望もうとするのか?
その断固たる意思を、マチルドは1ミリたりとも考えようともしなかったのです。
思えば、マチルドはジュリアンとの恋路において一度も彼を思いやった事はないのです。それどころか、無遠慮な発言ばかり繰り返していました。
「彼が今どんな心境なのか?」
そんな事を考える事が出来ていたら、こんな事にはならないでしょう。
マチルドはどこまでも傲慢で自己中心的な女なのです。
それは彼が処刑された後でも変わる事は無かったのでしょう。
『理性的な愛』は『真の愛』の前に屈する
真の愛…つまり本能的な愛の前には、計算され尽くした理性的な愛の前には叶いません。
終始相手を想う純粋な愛と、相手を見下し合った末に辿り着いた理性的な愛。
どちらが心を動かされるか、言うまでもありません。
ちなみにジュリアンは牢獄にて最終的にはレーナル夫人を愛します。一方マチルドはあまりにも自己中心的な発言しかしないので彼は苛立ち牢獄で会う度にずっと口論になります。ちなみにジュリアンの弁護士は最終的には彼の心情に幾ばくか理解を示します。
つまりジュリアンはマチルドよりも”融通の利く自身の弁護士”の方を信頼していたのです。哀れなマチルド(望み通り彼の子を妊娠したんだし、まだマシ)。
レーナル夫人はリリアの眼中にない
レーナル夫人は田舎の町長であるレーナル氏の妻です。
この時点で身分が違うリリア(彼女はパリ在住の名家)が共感するのは難しいでしょう。
しかも彼女は夫人でありながら、当時自身の子供の家庭教師をしていたジュリアンに恋をするという不貞を働きます。
いわゆる不倫です。ここまで来ると、「こんな夫人をデザインのモチーフにするのは恥ずかしいし周りから軽蔑される」と思っても仕方ないと感じます。
またレーナル夫人はジュリアンの通夜に来る事なく、彼が死んだ三日後に死んでしまいます。
「レーナル夫人のような弱い人間になりたくない」
リリアはレーナル夫人を軽蔑していたのでしょう。
なぜリリアはマチルドを気に入ったのか?
単にマチルドと身分や考え方が似ていて憧れを抱いていたから、でしょうね。
また、『赤と黒』においてマチルドは日本製の花瓶を毛嫌いしていました(後述)。
自身の境遇と照らし合わせて、リリアはマチルドの考え方を気に入ったのでしょう。
だから最低評価もやむなし
マチルドは最初から最後まで相手を思いやる気持ちが欠片もなかった。
そんな彼女をリリアはモチーフとして使った訳です。
『愛』がテーマにおいてそれでは…ね。
技量はあると思いますが、感情に訴えるデザインでは到底なかったという訳です。
レーナル夫人をモチーフにしていれば接戦だった
ではリリアは何をモチーフとして採用すれば良かったのか?
答えは簡単です。
レーナル夫人の『愛』をモチーフにすれば良かったのです。全てのプライドを捨てて。
夫人は離れ離れになっても心の奥底でずっとジュリアンを想い続け、死後も彼の意思に従ったのですから。
その『愛』を描いたデザインは、メリルのデザインと充分張り合えていたのではないかと思います。
少なくとも朝日から「酷くつまらないデザイン」なんて思われるハズがありません。
ただし、『乙りろ』という作品は私の考えだとおおよそ
『レーナル夫人』→りそな
『ジュリアン』→遊星(朝日)
となっている(と思われる)ので、残念ですがリリアはマチルド以外の選択肢が許されていない…つまり負けキャラ確定なのです。
ま、リリアはデザインコンペ前まではメリルやりそな達を見下していましたからね。これは必然の負けなのです。
リリア√は地獄である 云々
もしリリア√を望もうとするエロゲーマーがいれば、その人は覚悟が全く足りていません。
リリアはマチルドをモチーフにする位の人間だからです。
あの傲慢で自己中心的な女を!です。
アレを再現しようとなると読者の方々、発狂しますよ。とにかく見下されまくり、無遠慮な発言の数々…《このヒロインの××が気に入らなかった》とか《処女じゃないとダメ!》とすぐお気持ちしてしまう程度の雑魚メンタルでは耐えられないでしょう(あ、また口が滑った)。
それがどのようなものなのか…
小説なんて読まないエロゲーマーの皆さん、
まあ、いつか分かる日が来るかも知れませんね!
その時にでも言えば良いのです
「あのマチルドとかいう女は地獄だ!○ね!」とね。
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ちなみに私は『乙りろ』の脚本家である東ノ助氏を尊敬しております。
だからこそ私は腹が立つのです。
「どうして?脚本家が嫌いなの?」
「違う!批評者の1人(しかも奴は気違いの極み!)だけしかこの部分に言及しようとしない事に激怒しているんだよ!」
「でもたった三行しか書かれてない(上記ブログ『リリアが作成したデザイン』参照)よ」
「って事は、脚本家にとってあの小説は教養の一つだった…即ち『大した労力ではない』という事では?」
「それはどうかな。【つり乙】と【乙りろ】は『赤と黒』のオマージュだと思うがな。その理由は、奴が上記の気違いじみたブログで言及した事以外にもまだあるんだよ」
「え?つり乙も!?」
「【つり乙】の最初、遊星は大蔵家の屋敷で《屋根裏部屋》に閉じ込められていただろ?実はジュリアンもラモール家に秘書として来た際、主人から与えられた部屋も《屋根裏部屋》だったんだよ*2」
「そして遊星は愛人の子だったよな。ジュリアンは愛人の子ではないが、彼はラモール家に来てから暫くして、とある事件がきっかけで愛人の子として振る舞ったんだよ」
「へえ~」
「ラモール家の秘書として務めていた際、ひょんな事から従男爵と決闘する事になったんだ」
「その決闘はすがすがしいものだったが、従男爵からするとジュリアンのような秘書分際と決闘したと知れ渡ったら、大恥をかくことになる」
「だから、従男爵はジュリアンを『(ジュリアンは)むろんりっぱな青年ではあるが、ラ・モール侯爵の親友の私生児なのだと、あちらこちら吹聴してまわった*3』と書いてある。
「ジュリアン側はその吹聴に乗ったの?」
「そう。その方がジュリアンやラモール家側にとっても都合が良かったんだ」
「つまりジュリアンも遊星と同じく貴族身分の愛人の子として振る舞った…という訳だ。百姓身分なんかより貴族身分の私生児(愛人の子)の方が良いに決まってるからな」
「当時は身分制度が厳格だったんだな…」
「ちなみに、リリアの口癖である「真心を込めて」も『赤と黒』に頻繁に登場する言葉なんだ*4。もう一つ、彼女は日本が嫌いだけど、それは『マチルドはこの青い(日本製の)花瓶をことのほか汚らしいと思っていたので、こわれたのを見て内心大いに喜びながら、母親の動作を見守っていた*5』を参考にしたに違いない」
「従者の華花が日本人ではなく中国人なのは恐らくそのためだろう。日本人は嫌だけど中国人なら仕方ない…ってところだろうな。欧州の人からしたら日本人も中国人も同じに見えると思うし、中国は日本と同じくアジア有数の国だからな。…こんなこと言ったら右に怒られるのかもしれんが」
「他にも(ドイツ人の)リンデや(ロシア人の)ヴァレリアの国籍も『赤と黒』が関わっているものだと思われる。前者は小説内に出てくる密書事件*6にて侯爵に頼まれたジュリアンが大使に手紙を届けた場所はマインツ…つまりドイツだったんだよ*7。後者は手紙を届けた後にその人に命じられるままストラスブールで待機していたけど、その場所で再会したロシア人公爵から恋の手ほどきを授かったんだ*8。ジュリアンは教えて貰った手ほどきを実行してマチルドを焦らしに焦らし、恋路を成就させる事に成功したんだ。イタリアやスペイン人でないのは恐らく上記理由からだと思う」
「んーー、まあそういう見方も出来るのかな…?」
「それに何より、大蔵家のお家騒動なんて政治的な話じゃないか! 流石に『赤と黒』のように史実を元にしたバリバリ政治的な文章(実際に起こった陰謀のオマージュ)を追加してもしょうがないから、お家騒動という形を取ったに違いない。これなら購入者も『音楽会の最中にピストルがぶっ放された*9』ような不快な気持ちにはならないからな」
「恐らく脚本家は、スタンダールが政治的な史実を取り入れた事に感銘を受けて真似したかったと思う。でも単に政治的な話をしたらつまらないし不評だろう。だから大蔵家のお家騒動という形を取ったに違いない。あまりに計算され尽くした脚本だ」
「は、はぁ…、ともかく『赤と黒』は【つり乙】と【乙りろ】は重要な小説なんだね」
「重要すぎた、あまりにも重要だったんだよ」
「大体、シナリオ偏重者が(奴以外)誰一人として言及しない事に腹が立つんだよ。偏重者ならエロゲに出てきた小説くらい読んで評価しろ!面倒ならせめてあらすじくらいは調べる努力をしろ!何で奴以外誰も批評しないんだよ!」
「その部分を批評せずにシナリオ偏重者が『××√は文量が少ない』『もっとこの部分を書いて欲しかった』と言う浅はかさよ! そこに言及した上で『』内の事を言うのなら見る価値はあると思うが……おっと口が滑った、批評は自由でないと!」
「…」
「ま、批評出来ないのも無理ないか。私****としては『誰にも批評される事無くよくここまで隠しきったな』と脚本家を賞賛したいよ」
「…あのエロゲはそんな視点で楽しむゲームじゃないでしょ」
「そうだな。ま、それでもいいさ」
「…誰も注目しないのなら、私****があの小説を責任持って使う!オマージュとしてな。何なら不評でもいい。『つり乙』や『乙りろ』の脚本が再評価されるに超した事はないからな!」
「ああ、貴方はエロゲシナリオ過激派ですな!」
「『赤と黒』は”気違い”という言葉ばっかり出てくるから仕方ないだろ!ページをめくれば気違い気違い……ま、クリエイターというのは大なり小なり気違いなんだよな…それはともかく」
「全ての矢印を私の作品に向ける…エロゲやってるやってない関係ない。何人たりとも無視できないエロゲを作れば、いずれ私****のブログも無視できないものになるだろうからな。少なくとも脚本だけはその心意気で作る。算段なら、勿論ある」
「…で、その算段って何なの?」
「そうだな…」
「とりあえず近々「アイドルやってるエロゲヒロインに*定申告やその他諸々の話をさせるようなシナリオを書いていますが…興味ありますか?」とエロゲ会社や同人サークルを相手に売り込む事にしようかな」
「それって****の妄想?それともアイドルに取材して書いているの?」
「当然それは企業秘密だな」